宅配便での再配達の発生度合いの実情をさぐる
・宅配便の荷物のほぼすべてを再配達で受け取っている人は1割近く、半分以上で仕切り分けすると1/4強。
・再配達は回答者の居住地都市区分別では、大よそ人口密集地域ほど再配達率が高く、地方ほど低い傾向。
・世帯構成別では単身世帯や共働き世帯では再配達率は高くなる。
利便性の向上や取り扱い業者・品目の拡大でインターネットによる通販は加速度的に普及している。それに伴い、購入した実商品を自宅などに配送する宅配便の需要も急増し、宅配便業者が過負荷状態となっている。状況をより悪化させる要素の一つとして挙げられているのが、配送先に荷物を届けようとした際に受け取り側が不在で受け渡しができず、再度配送が必要となる再配達問題。再配達となれば単純計算でも、宅配業者側の手間が荷物あたり2倍かかることになる。
受け取り側としても再配達はできれば避けたいところだが、受け取り荷物の到着がいつになるか分からなかったり(時間指定ができない、していない、プレゼントなどによる自分が知らない荷物の受け取り)、仕事などで多忙となり受け取る時間帯には在宅していないなどの理由で、再配達をしてもらわざるを得ない場合もある。
次に示すのは内閣府が発表した再配達問題に関する世論調査(※)の結果を基にしたもの。過去1年間で再配達の依頼をどれほどしたのか、その実情を尋ねた結果。「受け取り無し」「分からない」を除いて再計算している。
全体ではほぼすべてを再配達で受け取っている人が1割近く、半分以上で仕切り分けすると約1/4。受け取り件数までは分からないものの、世間一般のイメージよりは随分と多い。逆に「無い」「ほとんど無い」は4割強。
回答者の居住地都市区分別では、大よそ人口密集地域ほど再配達率が高く、地方ほど低い傾向がある。これは地方ほど高齢者のような、宅配便が届く日中にも本人か家族が在宅している環境の人が多いからだと考えられる。
続いて年齢階層別。
大よそ若年層ほど再配達率は高く、高齢層ほど低くなる。70歳以上では半分以上(「半分以上」と「ほぼすべて」を合算)の再配達率は13.0%でしかないが、18~29歳では40.0%に達する。年上ほど結婚して配偶者や子供が自宅にいる可能性が高いからだろう。
就業上の地位別。
雇用者が一番再配達率が高く、次いで家族従事者が高め。他方、自営業主や無職は自宅にいることが多いため、受け取りを逃して再配達依頼をする可能性が低くなるため、再配達率は低くなる。
最後は世帯構成別。
単身世帯はもちろんだが、共働き世帯もまた、自宅に誰もいない、受け取りができる人がいない場合が多いことから、再配達率は高くなる。特に子供がいる共働き世帯では約4割が半分以上(「半分以上」と「ほぼすべて」を合算)を再配達依頼したと回答している。
再配達は配達業者に大きな負担をかけることになる。負担が増えればサービスの質の悪化やコストの引き上げが生じ、利用側にもマイナスとなる。受け取り荷物の多くは自分自身で注文した商品となるが、業者や購入条件によっては細かな配達時間指定ができる場合もある。できるだけその類のサービスを利用し、一度で確実に受け取れるよう心掛けたいものだ。
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※再配達問題に関する世論調査
2017年10月26日から11月5日にかけて全国18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段無作為抽出法で選ばれた3000人に対して調査員による個別面接聴取方式で行われたもので、有効回答数は1803人。年齢階層区分は18~19歳39人・20代129人・30代200人・40代308人・50代249人・60代402人・70歳以上476人、男女区分は男性839人・女性964人。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。