ビザとマスターカードがロシアでの業務を停止、海外に資産を持つ富裕層などの決済ルートを封じるねらいも
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米クレジットカード大手のビザとマスターカードは5日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアでの業務を停止すると発表した。ロシア国外で発行された両社のクレジットカードは、同国内で利用できなくなる(6日付時事通信)。
ロシア国内で両社のブランドのクレジットカードやデビットカードが使えなくなるほか、ロシアの銀行が発行したカードは全世界で決済できなくなる。海外に資産を持つ富裕層などの決済ルートを封じるねらいもあるとみられる(6日付日経新聞)。
これはロシア国民にとって大きな影響を与えることになる。
ロシアでは2017年ごろからキャッシュレス決済が普及し拡大してきた。最大手行ズベルバンク傘下の分析機関ズベルインデックスは昨年4月14日、2021年第1四半期のロシアでの支払いにおけるキャッシュレス決済の比率が過去最高の59.4%に達したと発表した(JETROのサイトより)。
決済手段では、カードが主流。決済サービス「スクレプカ」の調査によると、ロシアのスーパーマーケットでの支払い方法の55%がカードで、21%がスマートフォンをはじめとする非接触決済、24%が現金だった(「タス通信」3月25日)。
2014年にも米国などによる経済制裁の影響で、ロシアでは一時的にビザとマスターカードによる決済が一部の銀行で利用不可となったことがあった。しかし、当時よりも普及が拡大してきたことで、これによる影響は2014年の制裁よりもはるかに大きくなると予想される。
ロシア国内で最も高い普及率を誇るブランドは依然としてビザとされている。
ロシアでもIT化は進み、それとともにキャッシュレス化も進んでいたとみられ、ロシアの国民への影響はかなり大きい。さらに通貨ルーブルの急落によって現金そのものへの信用も後退し、それは物価の上昇圧力ともなる。さらにカードも使えないとなればさらに大きな影響が出ることも予想される。