Yahoo!ニュース

日銀がこっちを重視しろと言っていたはずの4月のコアコア消費者物価指数が41年7か月ぶりの上昇率に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 総務省が19日に発表した4月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品=コア)は、前年同月比で3.4%の上昇となった。伸び率は3か月ぶりに拡大した。

 総合指数は前年同月比で3.5%の上昇。

 そして以前に日銀はこちらを重視したいと言っていた生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコア)は、同4.1%もの上昇となっていた。消費税導入時や増税時の伸び率を上回り、第二次石油危機の影響で物価が上昇していた1981年9月以来、41年7か月ぶりの上昇率となった。

 4月の消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、政府による電気・ガス料金の負担軽減策の影響分が含まれ、これを除外すれば前年同月比で4%を超す上昇となっている。

 米労働省が12日に発表した4月の消費者物価指数は、前年同月比5.0%の上昇と日本の消費者物価指数を上回っていたが、 上昇率は前の月の6%を下回り、9か月連続で縮小していた。

 米国では消費者物価にピークアウト感がみられるのに対し、日本の場合は上昇はこれからが本番のような様相となっている。

 食品や日用品といった生活必需品の値上げがまだ続いていることに加え、賃金の上昇などによる影響が今後拡がってくる事が予想されるのである。

 4月の全国消費者物価指数での寄与度は食料品ばかりでなく、家電や携帯電話など多岐にわたる。値上げの動きは食料品からさらに拡がりを見せつつある。

 財・サービス分類指数でみると、持家の帰属家賃を除くサービスは前年同月比2.4%の上昇となっている。

 日銀は賃金が伴わない物価上昇では、異次元緩和を修正する気はなさそうだが、現実には賃金上昇も伴う物価全般に上昇圧力が加わってきている。

 これについて、いまだ「デフレ」との認識(経済諮問会議)というのは、現実離れし過ぎてはいまいか。しっかり現実を見据え、適切な金融政策を行わなければ、相応のしっぺ返しを受ける可能性がある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事