バーチャルイベントがコロナ禍のeスポーツを救う
2020年9月5・6日に、『League of Legends』の日本リーグである「LJL 2020 SUMMER SPLIT」のPLAYOFF ROUND3とFINALSが開催されました。優勝チームは世界大会である「Worlds」への出場権が与えられる重要な一戦です。結果は4連覇中の常勝軍団DetonatioN FocusMeを破り、V3 Esportsが初優勝を飾りました。
LJLは昨年より渋谷のよしもと∞ホールで開催されており、日本のeスポーツでは数少ない会場を固定したリーグ戦を行っています。今年もよしもと∞ホールでの開催を予定していましたが、コロナ禍によりオンラインでの開催となりました。優勝決定戦となるPLAYOFFでは、無観客試合ながらよしもと∞ホールで開催され、準決勝にあたるROUND3と決勝戦のFINALSでは、バーチャルSNS「cluster」を使用した配信も行っています。
このclusterは、バーチャル空間に会場を建て、会場内の大型モニターで観戦する新しい観戦メディアです。今回のLJL 2020 SUMMER SPLITではバーチャル空間によしもと∞ホールを用意し、会場に入ると、実物と同じすり鉢状の観客席から観戦できるようになっています。
LJL 2020 SUMMER SPLITのルームに入る時に、アバターの格好を選ぶことができるのですが、ROUND3ではDetonatioN FocusMeとSENGOKU Gamingのユニフォームを着た男女、FINALSではDetonatioN FocusMeとV3 Esportsのユニフォームを着た男女から選ぶことができます。会場内に入ると、それぞれのユニフォームを着た参加者のアバターがそこかしこに存在し、まさに現実の会場に来て応援している雰囲気になります。
チャットで応援をし合うこともでき、単純に試合の配信動画を観ているよりは臨場感があります。
Vtuberの存在がリアルに感じるバーチャル空間
2020年8月29・30日には、eスポーツイベントRAGE初の国際大会である「RAGE ASIA 2020」も開催されましたが、ここでもclusterを使用したバーチャルイベント「V-RAGE」を展開しており、通常配信とバーチャル配信の両方を行っていました。
V-RAGEの会場内には、応援実況の担当として、電脳少女シロなどのVtuberがステージに登場していました。配信内で実況解説、ゲストなどがいるなか、さらにバーチャルステージにおいて、Vtuberによるトークも聞けるようになっているわけです。これはリアルの現場に登場できないVtuberを会場内で観ることができるのは、ある種リアルを超えたステージを展開できると言えるのではないでしょうか。
他にも『ポケットモンスター』のバーチャルテーマパークである「ポケモンバーチャルフェスト」を2020年の夏に開催し、会場内にあるステージでは「ポケモンゲームジム LIVE パブリックビューイング」を行っています。
スマホやPC、VRゴーグルなど対応機器は豊富
clusterはバーチャル空間でイベントを行えるのですが、視聴環境が多岐に渡っているところも入りやすく、イベントをしやすい要因と言えます。VRと銘打っているものの、VRゴーグルなど専用機器がなくても視聴することができます。PC、タブレット、スマートフォンと様々な機器に対応しています。もちろん、VRゴーグルを使用すれば、VR空間にどっぷり入り込めるので、VRゴーグルを所有していれば、そちらを使うのをオススメします。また、いずれの機器を使用したとしても、アプリやソフトのダウンロード、使用は基本無料となっているので、お試しとして使えるのも嬉しいところです。
eスポーツの試合をじっくり観たいと言うのであれば、画面サイズ的にも解像度的にも通常の動画配信の方が優れていると言えます。ただ、アバターとは言え、まわりに人が居て同じ試合を一緒にみて、ハイライトシーンやクライマックスなど盛り上がりの場面で、皆と一緒に騒げるのは興奮度が変わってきます。
コロナ禍でeスポーツもオフライン、会場での観戦ができなくなり、オンラインへの対応を迫られています。オンラインでもオフラインに近い臨場感を得ることができるバーチャル観戦は、新たな観戦方法のひとつとなり得そうです。