中国の長期金利が過去最低に、デフレによる日本化リスクも意識か
市場情報を提供する英LSEGによると、中国の10年物国債(ベンチマーク債)の利回りは、2月29日に一時2.341%まで低下(債券価格は上昇)した。LSEGでデータを取得できる範囲でこれまで過去最低だった2002年6月5日の2.352%を約22年ぶりに下回った(3月2日付日本経済新聞)。
中国の長期金利が過去最低にまで低下したのは、デフレ圧力の強まりによるものであった。中国国家統計局が2月8日に発表した2024年1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.8%下落となっていた。これは4か月連続の低下となり、下落率は2009年9月以来14年4か月ぶりの大きさとなっていた。
不動産不況をきっかけに物価に下落圧力がかかり、値下げで需要を喚起しようという企業が、価格競争を繰り広げた結果、物価が上がりにくくなる「ディスインフレ」が常態化している(3月2日付日本経済新聞)。
このあたりは一時期の日本の状況に似ており、「日本化」へのリスクが意識されているとか。中国でも、デフレによって賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわばノルム(社会通念)が強まりつつあるというのであろうか。
中国人民銀行(中央銀行)は2月20日、2月の最優遇貸出金利のうち、住宅ローン金利の目安となる期間5年超の金利を、年4.2%から年3.95%に引き下げた。2月5日には市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率も引き下げていた。
ちなみに中国債券市場は時価総額からみて、世界第2位の規模の債券市場となっている。しかしつい数年前まで、海外からの中国債券市場へのアクセスは、中国当局に認可された一部の外国人投資家しか与えられていないなど、規模は大きいものの、ややアクセスしにくい市場でもある。