旅客列車は一方通行1日3本!北海道函館本線・藤城支線の旅
北海道函館の近くに、
1.単線なのに一方通行
2.定期旅客列車が1日3本、しかも普通だけ
3.貨物線じゃないのに貨物列車主体
という面白い路線があるのをご存知でしょうか?
日本の鉄道では単線の路線は上り・下り両方の運転がほとんど。ところがこちらは下り列車のみ走ります。
また定期旅客列車は1日たった3本で、しかも定期列車では特急などの優等列車が走りません。
更にJR北海道の線路なのに、貨物列車が定期旅客列車以上の本数を走行するという珍しさ満載の路線があります。
その名は、
JR函館本線・藤城支線(七飯駅→大沼駅)
北海道で人口が3番目に多い函館市周辺なのに、なぜこんな面白いダイヤで走行中なのでしょうか?そこには急坂との戦い、そして2016年3月の北海道新幹線開業という大改造劇的ビフォーアフターがありました。
今回は昼時間帯に走る藤城支線経由の普通列車に函館駅から乗車し、藤城支線の歴史と実際の車窓を取り上げていきます。(訪問:2023年11月12日)
藤城支線は下りのみの”新線”
8の字線形!函館本線・七飯ー森
現在の函館本線・七飯駅ー森駅は大沼駅を中心軸に8の字型の線形をしています。
最初に開業したのは七飯ー仁山ー大沼ー駒ヶ岳ー森。しかし途中には20パーミルという急坂があって登りにくかったため、大沼ー渡島砂原ー森の砂原支線が建設され、1945年に単線で全線開業。更に1966年には七飯ー大沼を迂回する単線で、長万部・札幌方面へ向かう下り列車のみ走行する藤城支線が完成して8の字になりました。
2016年3月までは、原則として
1.本線(七飯ー渡島大野ー大沼)
上り(函館方面)列車の全列車と下り(札幌方面)普通列車
2.藤城支線(七飯⇒大沼)
下り特急・急行・貨物の全定期列車、及び下り一部普通列車
3.本線(大沼ー駒ヶ岳ー森)
下り特急・急行・貨物の全列車。
上り特急の大半(特急北斗、北斗星)、及び上下普通列車
4.砂原支線(大沼ー渡島砂原ー森)
上り貨物列車の全列車と一部特急・急行(トワイライトエクスプレス、はまなすなど)、及び上下普通列車
でした。ところが2016年3月、北海道新幹線の開業によって大幅に変わります。
北海道新幹線開業で一変!貨物主体の運行に
北海道新幹線の終点は開業前の渡島大野駅、開業後は駅名が改称され新函館北斗駅に設けられました。札幌方面と北海道新幹線を接続するために、これまで藤城支線を走っていた札幌行の特急北斗が本線経由の運転となり、新函館北斗駅に停車することに変更。
また藤城支線を走る定期特急・急行列車(北斗星・はまなすetc)が段階的に廃止され、2016年3月にはなくなりました。そのため単線の本線(七飯ー新函館北斗ー大沼)を走る旅客列車が増加した影響で、下り普通列車の一部は以前と同様に藤城支線を走行するパターンが残り、現在に至ります。下り貨物列車は変わりませんでした。
旅客列車は普通列車1日3本!
函館本線藤城支線を走る普通列車は2023年11月現在、下記の通り。
函 館(発) 5:49 12:35 17:35
↓ ↓ ↓
七 飯(発) 6:09 12:56 17:55
↓ ↓ ↓
大 沼(着) 6:25 13:11 18:10
今回は日中12:35に函館駅を出発し、七飯駅から藤城支線を経由して大沼駅に向かう列車に乗ってみました。1年通して明るい時間帯の景色を楽しめるダイヤです。なお函館駅から七飯駅の間は、新函館北斗を経由する列車と同じ車窓を楽しめますので今回は省略します。
新幹線車両基地を見て高架橋を進行!
七飯駅を発車すると左側線路の登坂を進みます。
高架橋からは周辺の住宅などの景色はもちろん、
北海道新幹線の車両基地・函館新幹線総合車両所や新函館北斗駅が高い所から見えます。
高架橋を過ぎ、函館新道の陸橋通過後は森林や畑、山の中を進みます。この後はトンネルを断続的に通過。
トンネルを抜けると大沼
藤城支線は山の中を走ると、大沼駅までの間に6本のトンネルを通ります。
実は第二観音トンネルと新峠下トンネルの間に久根別トンネルがありますが、撮影出来ませんでした。
新峠下トンネルを過ぎると、小沼と駒ヶ岳が見えます。
七飯駅から新峠下トンネルまで単線でしたが、トンネルを出ると「複線」。大沼駅を向いた左側の線路が藤城支線、右側の線路が新函館北斗駅へ向かう本線です。
函館本線8の字の中心、大沼駅に到着して藤城支線は終わりです。
新幹線開業でレア路線に!函館本線・藤城支線の旅に行こう
単線区間なのに下りのみの一方通行、定期列車の普通列車が1日3本、後は貨物列車というJR函館本線・藤城支線。
函館市の周囲にありながらも、北海道内でも乗りにくい旅客列車が運行されています。同じ単線でも本数が多い新函館北斗駅経由の景色と比べる旅はいかがでしょうか。