意外? やっぱり!? 賃貸住宅の空き室率推移(2014年)
先日総務省統計局が発表した「住宅・土地統計調査の速報集計結果」により、住宅全体の空き家率が2013年時点で13.5%であることが発表され、話題を集めた。しかしこの値はすべての住宅を勘案したもの。多くの人が利用する賃貸住宅に限り、その空き室率について状況の確認をしていくことにする。
「住宅・土地統計調査の速報集計結果」における「空き家」の定義は、居住世帯が無い住宅のうち、建築中や一時現在者のみの住宅を除いたもの。賃貸用・売却用・二次的住宅・その他の類すべてが含まれている。そして「賃貸住宅の空き室率」だが、次の式で算出する。
「賃貸住宅の空き室率」=
「空室の賃貸住宅数」÷(「空室の賃貸住宅数」+「稼働している賃貸住宅数」)
「空室の賃貸住宅数」は1978年より前は計測されていないので、それ以降のもののみをデータベースから抽出し、空き室率を算出。それをグラフ化したのが次の図となる。
賃貸住宅の供給数自身は大きな伸びの中にあるが、同時に空き室数も同様、むしろそれ以上に増加している。結果として空き室率も増加する結果となる。概算ではあるが、2013年時点で賃貸住宅5戸のうち1戸は空き室となる。
もちろんこれは全国平均で、しかも物件の築年数や立地条件などによる区分もない。例えば首都圏の駅そばに建てられた新築賃貸住宅も、押し並べて2割近い空き室率を数えているわけではない。当方の経験の限りでも、「10戸の賃貸アパートで入居世帯は1、2世帯しかない」という物件も条件次第では見受けられるので、絞り込みの条件次第でこの「18.9%」とは違った値が出る。
試しに大まかな地域別で、賃貸住宅の空き室率を算出した結果が次のグラフ。
多少ではあるが、関東地区の方が空き室率が低く、地域の方が高い値を示している。
また経年別「空き室率」の増加の要因には、既存の経年賃貸住宅の建て替えが進んでいない可能性もある。昨今近郊地域でよく見かけるようになった「築数十年が経過してあと数年で立て壊す予定の賃貸住宅」も含め、「そろそろ建て直しの時期では?」という外装・内容の賃貸住宅が、今だに多数存在しており、それらへの新規入居者が(当然ながら)少ないのも、空き室率増加に拍車をかけているものと考えられる。過去の水準・流行で設計された賃貸住宅の人気が低く、空き室率が上昇するのは当然の話ではある。
今後は古い賃貸住宅の建て替えと共に、人口の減少、世帯数の増加など、複数の要因が絡むため、賃貸住宅の空き室率がどのような動きを示すのかは予想し難い。実際直近の2013年においては、その前回調査の2008年分から0.1%ポイントしか増加していない。
人口構成の変化なども合わせ、どのような動きを示していくことになるのか。大いに注目したいところではある。
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