トップは中国、米国続く…各国再生可能エネルギーの発電量動向をさぐる
直近では中国がトップ、僅差で米国が第二位
昨今注目を集め、同時に問題も指摘されるようになった、太陽光発電などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)。世界ではどのような状況なのか、その発電量動向を、国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」から確認する。
今資料では最新の2016年分だけでなく1965年以降における、各再生可能エネルギー発電所による発電・消費量推移を、エネルギーとしての石油換算で算出し、計上している。今回は最新の公開内容において計上値(石油換算100万トンを1.0とする)が1.0以上のものについて精査の対象とする。なお「再生可能エネルギー」とは風力発電、地熱発電、太陽光発電、バイオマス発電、廃棄物発電などを指す。水力発電は別途計上されており、今件には含まれていない。
さてまずは、最新データの2016年における上位国、そして全世界の再生可能エネルギー発電・消費全量に占めるシェアのグラフを形成する。エネルギー関連では常に上位についている中国がトップ。シェアにして2割強。ほぼ同値・同率でアメリカ合衆国が続く。
中国の86.1(×100万トン石油換算)は、同国の原発発電量48.2をはるかに凌駕する。内訳としては風力発電の割合が大きく、約6割を占める(54.5×100万トン石油換算)。同国ではそれ以外のエネルギー生成量(、そして当然ながら、あるいはそれらの原因としてエネルギー消費量)も急増しており、2016年ではアメリカ合衆国を抜き、はじめて世界でトップの量を計上した。
続いてアメリカ合衆国。2015年までは中国より量は多く世界最大値を示していたが、直近の2016年では中国に抜かれる形となった。同国でも内訳としては風力発電の割合がもっとも多く、約6割(51.8×100万トン石油換算)。
第3位はドイツ、そしてブラジルが続く。ドイツが上位についているのは、太陽光発電の国策的な電力買取によるところが大きい。もっともこの国策も国家財政と健全なエネルギーバランスの維持の上ではプラスをもたらさないとの認識が強まり(例えば「国の買い取り制度」も結局は国民の負担が増えるだけ)、大幅な軌道修正を行っているため、今後もこの順位を維持できるかは不確か。
日本はブラジルに続き第5位。内訳としては太陽光発電が最多で約6割を占める(11.2×100万トン石油換算)。
経年変化で動向を確認
これを2016年の上位国などから抽出する形で、2001年からの(つまり今世紀の)推移を眺めたのが次のグラフ。
アメリカ合衆国では国策としてエネルギー創出に対する関心が高く、各方面の再生可能エネルギーに対する研究も盛んにおこなわれている(昨今のシェールガス・オイルの開発も良い例)。絶対量はともかく、この成長ぶりが、同国のエネルギーに対する熱意を表している。
他方ドイツの伸びは直上で示したように、主に太陽光発電エネルギーの固定買取制度によるもの。しかし加速する財政的負担に、技術進歩によるコストダウン・安定性の増大が追い付かず、国の財務状態を悪化させることとなり、制度そのものが行き詰っている。今後において、これまでの伸び率が維持できる可能性は低い(実際、直近年ではほぼ横ばい)。
インドや中国も、ここ数年間で高い伸び率を示している。特に中国は大きな上昇カーブを描いており、2011年にはドイツを抜いて世界第二位に、そして直近年ではついにアメリカ合衆国を抜いてトップとなった。これは両国の経済発展に伴い、エネルギーの必要性が急増したことによるもの。再生可能エネルギーに限らず、他のこれまでの記事にある通り、他の主要エネルギーもまた、続々と生産・消費量を積み増している。
余談として。これらの再生可能エネルギーは全体のエネルギー消費量のどれほどに該当するのかを把握するため、他の主要エネルギー源と並べたのが次のグラフ。
成長は続けているものの、既存エネルギー源の代替的存在となるのにはけた違いに不足しているのが実情ではある。
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