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米国タレント スティーヴン・コルベア氏「ニュージーランドはキラーロボット反対だが米国は賛成」脅威訴え

佐藤仁学術研究員・著述家
スティーヴン・コルベア氏(写真:ロイター/アフロ)

米国のタレントで司会者のスティーヴン・コルベア氏が自身のYouTubeチャンネル「The Late Show with Stephen Colbert 」でキラーロボットについて解説する動画を投稿していた。スティーヴン・コルベア氏の軽快な切れ味のあるトークが人気で登録者数も870万人いる。

「Stephen Colbert's Cyborgasm: The Race To Stop Killer Robots(スティーヴン・コルベアのサイボーグ:キラーロボット開発禁止に向けた競争)」というタイトルで、スティーヴン・コルベア氏がキラーロボットの脅威を訴えている。

AI技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。

人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。2021年12月にはジュネーブで特定通常兵器使用禁止制限条約のハイレベル会議が開催されている。

番組の中でもニュージーランド政府は自律型殺傷兵器の開発や使用に反対しているのに、アメリカ政府はキラーロボットの開発を推進しようとしていることへの懸念を表明したり、ロボットが自律して人間を襲ってくることの脅威を訴えている。アメリカ政府は軍事分野でのAI技術の活用をこれからも積極的に進めて自律型殺傷兵器を開発していき、必要に応じて戦場でも利用することを明言している。アメリカだけでなくロシア、イスラエル、インドや欧州諸国なども自律型殺傷壁の開発や使用には反対していないので、積極的に軍事分野での自律化を推進しようとしている。中国は使用には反対しているが開発には反対していない。

2020年3月にリビアでの戦闘で、トルコ製の攻撃ドローンKargu-2などの攻撃ドローンが兵士を追跡して攻撃を行った可能性があると、国連の安全保障理事会の専門家パネルが2021年3月に報告書を発表していた。兵士が死亡したかどうかは明らかにされていない。神風ドローンのオペレーションは人間の軍人が遠隔地で操作をして行うので、攻撃には人間の判断が入る。攻撃に際して人間の判断が入らないでAI(人工知能)を搭載した兵器自身が標的を判断して攻撃を行うものは自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)と呼ばれている。実際の紛争で自律型殺傷兵器で攻撃を行ったのは初めてのケースであると英国のメディアのインディペンデントは報じていた。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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