【最もウルトラマンを倒した究極の悪役とは誰?】陛下と呼ばれた最凶最悪のウルトラマンとは何者か?
みなさま、こんにちは!
文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。
早いもので、2024年も後半戦!
いかがお過ごしですか?
さて、今回のテーマは「最凶最悪のウルトラマン」です。
「唐突にどうした?」と言われそうですが、
このテーマにしたのは、ちゃんとワケがあってのこと。
この「最凶最悪のウルトラマン」と謳われる彼の名は、ウルトラマンベリアル。
日本が世界に誇る人気特撮ヒーロー番組『ウルトラマン』シリーズの中で誕生し、今や当シリーズを代表する大人気の悪役(ヴィラン)となりました。
ひとくちにウルトラマンベリアルの魅力といっても様々ですが、中でも象徴的だったのは、あらゆる者を圧倒的な力でねじ伏せる強さと、他者を従えるカリスマ性にありました。
ウルトラマンでありながら悪の心を持ち、破壊の限りを尽くしてきた上、彼に心酔する宇宙人達を配下に一大帝国を築く等、何度もウルトラマン達と対峙してきた極悪の存在。
かくいう私もベリアルの大ファンで、彼に親しみを込めて「陛下」と呼ぶこともしばしば。
そんなウルトラマンベリアルですが、2024年(本年)で登場15周年を迎えます。
本記事では、そんな彼の魅力を少しだけ、掘り下げていきたいと思います。
※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。
【少しおさらい♪悪のウルトラマンの歴史】何者にも縛られない闇のウルトラマン達の美学と魅力とは?
さてさて、本記事ではウルトラマンベリアルの魅力を掘り下げて参りますが・・・。その前に少しだけ、ウルトラマンシリーズの歴史についてお話をさせてください。
ウルトラマンシリーズは、株式会社円谷プロダクション制作の特撮ヒーロー番組『ウルトラマン(1966)』(及び特撮怪獣番組『ウルトラQ(1966)』)を起点とするシリーズです。
1966年に『ウルトラマン』が放送され、M78星雲「光の国」からやって来た身長40mの銀色の宇宙人が巨大な怪獣と戦い、最後は必殺光線(スペシウム光線)で怪獣を退治するという物語はたちまち子ども達の心を掴み、最高視聴率42.8%、平均視聴率36.8%を記録する大人気番組となりました。
大衆的な人気を博した『ウルトラマン(1966)』の放映終了後も、その次回作である『ウルトラセブン(1967)』、『ウルトラマンタロウ(1973)』、『ウルトラマンティガ(1996)』、『ウルトラマンコスモス(2004)』、『ウルトラマンブレーザー(2023)』と世代を跨ぎながらシリーズが続いていきました。
本日7月6日より、最新作『ウルトラマンアーク(2024)』(外部リンク)の放送も開始され、親子三世代に渡り長く親しまれてきたウルトラマンシリーズの物語はますます拡大の一途を辿りつつあります。
そんな長いウルトラマンシリーズの歴史の中で欠かすことの出来ない存在であったのが、「悪いウルトラマン」達の存在でした。
ウルトラマンを光の存在とするならば、彼らは相反する闇の存在。
シリーズの元祖である『ウルトラマン(1966)』にて、ウルトラマンと人間の間に構築された信頼関係を破壊するために宇宙人が化けた「ニセウルトラマン」の登場を皮切りに、以降のウルトラマンシリーズでも次々に悪いウルトラマン達が登場していくようになります。
宇宙人がウルトラマンの姿と能力を分析して模造したロボットや、時にウルトラマン同士でさえも仲違いさせるために宇宙人が変身した者等、そのバリエーションは様々。
しかし時代が「平成」に突入すると、先述したようなウルトラマン達の「ニセモノ」だけに留まらず、本質的に悪い心を持ったウルトラマン達も登場していくようになりました。
その中でも、極めて異彩を放っていたのが、ウルトラマンベリアル。
歴代のウルトラマン達と同じ「M78星雲 光の国」の出身でありながら、悪い心を持って光の国に反旗を翻し、なんと一度は光の国を壊滅に追い込んだ、正に「最凶最悪」と呼べる存在でした。次章より、そんなウルトラマンベリアルが辿ってきた戦いの足跡と、彼の魅力について焦点を当てていきたいと思います。
【なぜ彼は最凶最悪となったのか?】ベリアルと戦友・ウルトラの父、ウルトラの母との恋の三角関係とは?
さて、そんな本記事の主人公である最凶最悪の存在であるウルトラマンベリアル。もともとは他のウルトラマン達と同様、宇宙の平和のために戦ってきた存在である彼がなぜ、極悪人となってしまったのかー?
それは、3万年前の「光の国」の時代まで遡ります。
当時「光の国」を憎む暗黒宇宙大皇帝・エンペラ星人が、たくさんの怪獣軍団を率いて「光の国」に攻め入り、そこで暮らしていたウルトラマン達と大戦争を起こしていました。
その際に著しい活躍を見せたのが、若き日のウルトラマンベリアルと彼の戦友・ウルトラマンケンでした。ベリアルはケン以上の力を持っており、命乞いをする相手を容赦なく倒すやや冷酷な性格であるのに対し、ケンは強さだけでなく、勇気と慈愛の精神を持った人格者でした。
戦争の最中、ベリアルとケンはマリーと呼ばれる女性のウルトラマンと出会います。ベリアルはマリーに一目惚れし「俺に相応しい」と豪語するのに対し(かなり上から目線ですが・・・)、ケンはマリーを安全な場所に逃がします。
ベリアルとケンはこの戦争の主犯であるエンペラ星人と対峙しますが、その力の差は圧倒的。しかしケンはマリーから託された聖剣の力でパワーアップし、エンペラ星人と渡り合う強大な力を発揮。エンペラ星人を退きます。
この事態に驚きを隠せなかったのは、ベリアルでした。
後に「ウルトラ大戦争」と呼ばれる今回の出来事。「光の国」の人々は、母星を守る自衛的な手段、そして自分達のように他者に脅かされる星々の人達を守る平和維持組織として「宇宙警備隊」を組織することを決定します。
後に初代ウルトラマンやウルトラセブン、ウルトラマンタロウといった歴戦の勇者達が所属することになる当組織。初代隊長に選ばれたのはケンでした。
エンペラ星人を撃退した功績、そして心優しき人格者であるケンは、マリーの心を掴み、後に2人は結ばれます。大きな力を持つだけでなく、その器量の大きさから他のウルトラマン達の尊敬を集めるケンは、いつしか「ウルトラの父」と呼ばれるようになり、彼の妻であるマリーは母のような寛大な愛とやさしさに溢れていることから、「ウルトラの母」と慕われるようになりました。
上述してきた事態が面白くないのは、ベリアルでした。自分より格下だと思っていたケンは初代隊長に任命され、さらに想いを寄せる女性はケンの方になびいたのですから。心優しい立派な人格者であるケンの正しさが、ベリアルを苛立たせたのです。
時間の経過と共にどんどん拡がっていく両者の溝。ベリアル自身も徐々に、ケンの力に到底及ばぬことを自覚していきます。そこで彼は力欲しさに「光の国」の法律を犯し、触れてはいけない光の国の聖なる光(人工太陽)に手を出してしまいます。
その結果、ベリアルは光の国を追放されます。絶望し、宇宙を放浪する彼に呼びかけたのは、自らを「全宇宙を支配する者」と名乗る宇宙人でした。彼はベリアルに力を与えてやると唆し、その姿を悪魔的な者に変えます。
強大な力を得たベリアルは、自分を認めず追放した「光の国」に帰還。100体の怪獣軍団を率いて、破壊の限りを尽くします。かつて想いを寄せていたマリーをも圧倒し、戦友であるケンですら苦戦する状況ー。この状況に怒ったウルトラ一族の伝説の長老・ウルトラマンキングは、ベリアルを牢獄の中に永遠に封印。
ベリアルを監禁することで事態は収束したかに見えましたー。
【心なんて何万年も前に捨てたよ!】目指すは宇宙の大皇帝!最凶最悪のウルトラマンベリアルが進む覇道とは?
伝説の長老・ウルトラマンキングによってベリアルが封印されて数万年後ー。
ベリアルの力を利用して宇宙の征服を企む悪い宇宙人(ザラブ星人)が、ベリアルを牢獄の中から解放したことで、状況は一変します。ベリアルは宇宙人を瞬殺し、自分を追放した「光の国」の復讐を開始。大勢の歴代ウルトラマン達を次々になぎ倒し、ウルトラの父母や息子のタロウでさえも彼を食い止めることが出来ませんでした。
その結果、光の国は機能を失い、事実上の壊滅ー。この予期せぬ事態に舞い戻ったのは、ベリアルと同様に大罪を犯して光の国を追放されるも、伝説の長老・ウルトラマンキング達の教えの下で特訓を積んだ、ウルトラマンゼロという新たなウルトラマン。彼はあのウルトラセブンの息子でした。
大罪を犯しつつも、厳しい修行を積み正義の心を持ったゼロと、邪な自我に目覚め、心を捨てたベリアルの決戦の軍配はゼロに上がりました。ベリアルは一時的に消息不明となり、光の国は再びその輝きを取り戻したのでした。
しかしこの戦いを機に、ベリアルとゼロの因縁は果てしなく続くことなります。
打倒ウルトラマンゼロに燃えるベリアルは、ある時は一大帝国を築いた人海戦術で光の国を襲撃し、またある時は自身が亡霊となってゼロの体を乗っ取ることで、精神的に追い詰める戦術を展開する等、何度ゼロに倒されて命を失おうが、強い怨念と野心で蘇りゼロを追い詰めていく、永久不滅の宿敵となったのです。
しかしこの果てぬ戦いに終止符を打ったのは、「ウルトラマンジード」と呼ばれる新ヒーロー。なんと彼は、あのベリアルの息子でした。ベリアルに心酔する宇宙人が、ベリアルの遺伝子から人工的に生み出した存在であるジードは、自分の出自とウルトラマンとしての使命の間に苦悩するも、彼を取り巻く仲間達との絆で幾多の困難を乗り越えていきます。そして物語の終盤、ジードは実の父親であるベリアルを相手に、地球での最後の戦いを挑みます。激しい殴り合いの中でジードが見たのは、これまでの長きに渡りベリアルが辿ってきた哀しい記憶でした。
「力だ・・・力が欲しい。超えてやる・・・俺を見下したあいつらを!」(ベリアル)
「何度も何度もあなたは生き返り、深い恨みを抱いて・・・疲れたよね。もう、終わりにしよう。」(ウルトラマンジード/朝倉リク)
父親であるベリアルの苦しみに寄り添い、これまで彼が内包してきた怒りや憎しみを理解したジードは、果てぬ戦いから彼を解放するために引導を渡します。
「さよなら・・・父さん。」(ウルトラマンジード/朝倉リク)
長きにわたるウルトラマン一族とベリアルとの戦いは、ベリアルの息子によって終止符が打たれ、人類を救ったジードは「みんなのヒーロー」となったのでしたー。
【その後のベリアルが歩む道】新たなる覇道!何者にも縛られない闇のウルトラマン達が紡ぐ未来とは?
ここまで、「じゃあウルトラマンベリアルは死んじゃったから、もう彼の出番はなくなっちゃったの?」という疑問を浮かべる方も多いかと思いますが、決してそんなことはありません。
ベリアルは『ウルトラマンジード(2017)』放送終了後も、国内外にて玩具やアパレル等の商品展開が現在まで続いてきたほか、ショーや展覧会等の様々な催事にてその威風堂々とした姿を確認することができます。
上記のような数ある展開の中でも、特にその個性を際立たせてきたものの1つに、『ダークネスヒールズ(DARKNESS HEELS)』と呼ばれる、惑星テリオで目を醒ました5人の悪のヒーロー達がチームを組み、宇宙の星々を舞台に共闘する物語が挙げられます。
本作はこれまで舞台やコミック、イベント等の多様な媒体を通じて展開され、なんとアニメーション企画も進行中とのこと。今後の展開に期待がかかりますね。
最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。
※参考文献、配信サービス等
(ダークネスヒールズの物語をコミックで楽しむなら)
・綱島志朗、『ダークネスヒールズーリリー 1』、KADOKAWA
・綱島志朗、『ダークネスヒールズーリリー 2』、KADOKAWA
(ウルトラマンベリアルが登場する作品を視聴するなら)
・TSUBURAYA IMAGINATION(通称:ウルトラサブスク、外部リンク)