デジタルカメラの普及率の長期推移をさぐる(2023年公開版)
カメラ機能を実装するスマートフォンの普及で肩身の狭いデジタルカメラ。その普及率の長期的な推移を、内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。
次に示すのは二人以上世帯におけるデジタルカメラの普及率と保有世帯における平均保有台数の長期的推移。長期調査の対象は二人以上世帯のみなので、二人以上世帯のみでの動向確認となる。
普及率では2004年から2005年にかけて大きな減少が起きている。これはグラフタイトルにも注意書きしているが、2005年以降はデジタルカメラ機能付きの携帯電話を除外したのが原因。デジタルカメラそのものはデジタルカメラ機能搭載の携帯電話の普及と、その機能の高性能化により、汎用機は市場で非常に厳しい立場にある。大手メーカーは次々に、携帯電話に搭載されているレベルの機能を持つデジタルカメラの販売を縮小したり、市場から撤退を続けている。そして昨今では「携帯電話のデジタルカメラ機能をはるかに超える超高性能・多機能」化を推し進め、難局を乗り切ろうとしている。
現状では普及率は漸増中から2014年に(2005年のイレギュラー以外では)はじめて減少に転じ、それ以降はおおよそ減少の動きに転じている。携帯電話、特にスマートフォンの普及が進むに連れ、一般的な家庭におけるデジカメ機能の需要は、スマートフォンなどにシフトしつつあるようだ。
属性別ではおおよそ女性より男性、若年層より高齢層、単身世帯より二人以上世帯の方が普及率は高い。昔購入したものを使い続けており新規購入をする人は減っている、女性は男性以上にスマートフォンで撮影に満足してしまいデジタルカメラを買うには至らないと考えれば納得のいく動向ではある。
携帯電話、特にスマートフォンの普及が進むに連れ、一般的な家庭におけるデジタルカメラ機能の需要は、スマートフォンなどにシフトしつつあるようだ。さすがにゼロ%となることはないだろうが、今後もデジタルカメラの普及率は減少していくことだろう。
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※内閣府の消費動向調査
今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。
毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の普及・保有状況」を今件精査では用いている。これは「回答者の世帯において対象品目を回答時点(直近分の場合は2023年3月末時点)で持っているか否か」「持っている場合は保有数量はどれほどか」を尋ねた結果。具体的な利用状況は尋ねていない。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。