日銀はマイナス金利解除だけでなく、イールドカーブ・コントロールも完全撤廃か
日銀が金融緩和の正常化を円滑に進めるため、先行きの国債買い入れ規模をあらかじめ示す、新たな「量的」金融政策の枠組みを検討していることが8日、明らかになったと、時事通信が伝えた。
早ければ今月18、19日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除とともに決めるとあったが、何かしらのアクシデントが出ない限り、19日の金融政策決定会合にて、マイナス金利の解除とともに、イールドカーブ・コントロールが完全撤廃される可能性が高まったとみざるをえない。
新たな枠組みは、金利を直接操作する手法を撤廃し、国債購入額という「量」を対象とする方向で検討。買い入れ額は当面、現行の月間6兆円弱の規模を軸に調整する(9日時事通信)。
月額6兆円規模と償還分見合いか、それを超える規模の買入を残す必要性があるのかという疑問は今後への課題として、まずはイールドカーブ・コントロールが完全撤廃される可能性が出てきた。
これにはやや意外感もあったが、当然そうすべきであると考えていたこともあり、この動きは歓迎したい。
長期金利の行方は市場に委ねるべきである。市場は行き過ぎることもあるが、すぐに修正も入るなど柔軟性を持っている。やや膠着的な金融政策で決めるべきものではない。
19日の日銀の金融政策決定会合では、マイナス金利政策の解除を行い、当座預金については以前の一層構造に戻すとみられる。政策金利は日銀当座預金の付利から、無担保コール翌日物に戻すとみられる。
イールドカーブ・コントロールは完全撤廃するが、ある程度の規模の国債買入は継続する。ETFやJ-REITの新規買入は停止し、今後はその処理についても議論を開始する。
11日に東京株式市場で株価指数が大きく下落したにもかかわらず、日銀はETFの買入を実施しなかったこともそれを裏付けるものとなるのではなかろうか。
フォワード・ガイダンスも当然、修正すると予想されるが、実質的なゼロ金利政策となっても、「緩和的な金融環境を維持する」ことをアピールするものとみられる。
今回も全員一致での大きな修正になると予想される。しかし、リフレ派委員などが最後の意地(?)をみせて反対票を投じてくる可能性もある。委員会制である以上、全員一致である必要は当然ないため、久しぶりに賛成多数での決定となるかもしれない。