【ランナー必見】脂質を活用しよう!知らなきゃ損する。「油」と「脂」
|脂肪は敵か?味方か?
メディア(テレビやSNS)を見ると、脂肪を分解とか、体脂肪燃焼などCMや特集が流れてきます。確かに身体に体脂肪がつきすぎれば、体型は勿論、健康を害してしまいます。そこで体脂肪を燃やすために、筋トレなどの無酸素運動で代謝を上げる。ランニングなどの有酸素運動で体脂肪を分解しエネルギーとして消費するなどの運動方法が推奨されています。一見すると悪の権化のような脂肪。しかし身体にとっては必要不可欠なものです。沢山蓄えてしまうから身体に影響するのであって必要量は常に摂取しなければなりません。先ずは前回紹介した脂質の身体の役割を参照してください。
|油と脂の違いは?
身体から取り込む脂質を「油」もしくは「脂」と言いますが、何が違うのでしょうか?これは「oil」と「fat」英語で分けますが、常温で液体の状態を「油もしくはoil」、固まるのを「脂もしくはfat」と言います。食品表記の栄養素としては脂質と表記されますが、脂質と脂肪に関して栄養学的には同義語になります。
油;常温で液体
・サラダ油、ごま油、オリーブオイル、魚の油など
脂;常温で固体
・牛や豚などの脂(ラードなど)、バター、ココナッツオイル、カカオバターなど
|脂質の特徴は2つの脂肪酸
脂質には「油」と「脂」があると紹介しました。このような違いを生み出すのが、脂質の成分である脂肪酸です。この脂肪酸は大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。この2つは、「脂」の方は飽和脂肪酸を多く含み、「油」は不飽和脂肪酸を多く含みます。
|脂肪酸の食品は?
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つのみならず、食品によってさらに分類されます。それは以下の通りです。
多く含まれる食品
飽和脂肪酸
・短鎖脂肪酸;酢、バター、チーズ(大腸でも作られ腸内環境を整える)
・中鎖脂肪酸;ココナッツオイル、MCTオイル(直ぐにエネルギーとして利用出来る)
・長鎖脂肪酸;牛や豚などの動物性脂肪(中性脂肪として貯蔵もされる)
不飽和脂肪酸
1.一価不飽和脂肪酸(n-9系);マカデミアナッツオイル、オリーブオイル(LDLを下げやすくする)
2.多価不飽和脂肪酸(身体で作れない)
・n-3系(EPA DHAなど);青魚、エゴマ油、亜麻仁油(中性脂肪を下げやすく、血液サラサラ)
・n-6系;サラダ油など(コレステロールを下げやすい)
※食品の脂質には、単一の脂肪酸だけでなく例えば動物性脂肪にも不飽和脂肪酸は含まれています。
摂取のバランスとして脂質の量は、全体の10~15%とそれほど多く摂取する必要はありません。(カロリーのバランスではその約倍に相当します)
特に「脂」と言われる動物性脂肪は中性脂肪として貯蔵されるので、摂取をコントロールする必要があるでしょう。更に糖質は多く取り過ぎると中性脂肪として蓄えられるので、消費カロリーとの兼ね合いも大事になります。
最近ではスマートウォッチに消費カロリーや摂取カロリーの表示されるタイプもあるのでそれらを有効活用するとよいでしょう。
ちなみに、フルマラソンの消費エネルギーは単純計算すると体重×距離(60kgであれば2520カロリーの消費)で表されます(気温など環境影響を除く)。身体にある糖は約2000カロリー程度しか貯蔵が出来ないので脂肪をうまく活用する必要があります。普段のランニングから脂肪を活用した走りを目指すと効率よい身体が維持できます。脂肪をうまく活用するためにも、脂質をバランスよく摂取し、良い身体作りに努めましょう。
Written by マラソン完走請負人/牧野仁です
有限会社スポーツネットワークサービス代表取締役。初心者向け走り方教室「Japanマラソンクラブ」を立ち上げ、様々な方々に走るまでの準備やケガを防ぐ走しり方などを指導。走ることを軸に、旅行(旅RUNの名付け親)や食、健康、美など提供しています。ジョギングインストラクター資格認定講座も開催。
著書;楽して走ろうフルマラソン(ランナーズ)。フルマラソンスタートBOOK(エイ出版)。目からウロコのフルマラソン完走新常識(実業之日本社)など多数。
テレビ;「ラン×スマ(NHK BS)」「ソレダメ(テレビ東京)」など出演。
「相棒」「警視庁・捜査一課長」などランニング監修。
雑誌;Tarzan(マガジンハウス)ランニングスタイル(エイ出版)MONOQLO(晋遊舎)など、監修
YouTubeチャンネル:ビギナーランニングマガジン / 完走請負人牧野.