国連本部にてNGO団体がキラーロボット開発反対を表明「想像を絶するような悲惨な結果を招きかねない」
2019年10月21日、ニューヨークの国連本部で、ロボットアームコントロール国際委員会(ICRAC)のLiz O'Sullivan氏、NGO団体ストップ・キラーロボット・キャンペーンのMary Wareham氏、地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)のJody Williams氏が自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapons Systems:LAWS)の開発に対して懸念を表明する記者会見を行った。
LAWSはキラーロボットとも称されており、AI(人口知能)の発達によって、人間の判断を介さないでロボット、兵器自身が判断して標的や人間を攻撃してくることが懸念されている。キラーロボット開発については国家よりもNGOの方が倫理観の観点から積極的に反対を表明し、国際社会での議論をリードしている。
Mary Wareham氏は「人間の判断やコントロールを介さないで標的を攻撃するキラーロボットの開発を回避するために、各国の政府で議論を進めていけるようにプレッシャーをかけていけるように運動を拡大していく必要があります。キラーロボットの開発は完全に禁止されなければなりません。AI技術の開発は急速に進んでおり、早急に対策をしないとキラーロボットが現実のものになります。法制度や条約によってキラーロボットの開発を規制していかないといけません」と語った。
さらに「国連のような機関が主導して規制を作っていくか、もしくは対人地雷禁止条約の時のカナダや、クラスター弾の時のノルウェーのようにどこかの国が禁止条約に向けたプロセスで主導を取っていくかの2つの方法があるでしょう。キラーロボットについては各国の足並みはそろっていません。アメリカがキラーロボット開発では優位で、次いでロシア、中国で、さらに韓国、イスラエル、イギリスが開発に相当な投資をしており、トルコやイランはある程度投資しているでしょう。各国が一緒になってキラーロボット開発に反対していくべきです」とコメント。
対人地雷禁止キャンペーンでノーベル平和賞を受賞したJody Williams氏は「キラーロボットやLAWSの登場は、兵器開発の倫理観とモラルの面でルビコン川を渡ることになります。そのためにもキラーロボットの開発と登場は絶対に阻止されるべきです。キラーロボット開発の反対に向けて、大きなコミュニティが必要です。機械はあくまでも機械であって、機械に人間の生死を判断させるべきではないです」と語った。
Liz O'Sullivan氏は「人間の判断を介さないで、自律したロボット自身が判断して人間や標的を攻撃してくるようになると、とんでもない破壊力で、我々の想像を絶するような悲惨な結果を招きかねない」と警鐘を鳴らした。