電気冷蔵庫は何年で買い替えられているのだろうか(2022年公開版)
電気冷蔵庫の買い替え年数は約13年
食品を冷蔵することで長期間保存を可能としたり冷凍で性質を変えたり、さらには製氷機能で涼を提供するなど、今や食生活の維持には欠かせない存在の電気冷蔵庫。何年で買い替えられているのだろうか。内閣府の消費動向調査(※)の結果からその実情を確認する。
今回は電気冷蔵庫の買い替え年数を抽出・精査する。電気冷蔵庫の表記に関して詳しい説明は調査の回答用質問用紙には無い。単に「電気冷蔵庫」とのみ記されている。電気店などでは単身世帯用、あるいは旅館でよく見かける、冷凍庫無しの小型冷蔵庫も多数発売されているが、それも該当する。
世帯区分のうち長期の時期系列による値が保存されているのは二人以上世帯のみ。そこでまずは二人以上世帯における、買い替え年数推移をグラフ化する。
やや凸凹感はあるが、全般的には買い替え年数はほぼ10年強で安定し、大きな変移は無い状態が続いていた。「一般家電の買い替えサイクルは10年ぐらい」との話があるが、電気冷蔵庫はその話がほぼ当てはまっていたことになる。昨今では省エネ化、ドアの開閉方向の変更など、多種多様な機能付きの機種が続々登場しているものの、買い替え年数が伸び縮みする動きは無かった。
ところが2017年では大きな伸びを示し13.3年となり、過去最高値を示す形となった。調査方法や設問の変更は無いことから、明らかに冷蔵庫の買い替えに関して変化が起きた流れとなっている。直近2022年ではいくぶん短縮してはいるが12.9年と、これまでと比べれば長い年数に違いない結果となっている。
この二人以上世帯における買い替え年数の動向を、単身世帯のそれと重ねてグラフ化したのが次の図。
購入意思がそのまま決定に直結できる(他の家族の同意がいらない)、あるいは金銭的に余裕がある単身世帯の方が、買い替え期間が短い傾向にある。これは他のデジタル系アイテムでも当てはまる対象が多い。直近の2022年では世帯種類間の差は0.4年。2009年以降は両世帯種類の差異は1年以内にとどまっており、世帯種類による違いはあまり生じなくなったと見た方が適切かもしれない。
電気冷蔵庫を買い替える理由
続いて買い替えをした人における「買い替え理由」を、二人以上世帯・単身世帯それぞれについて聞いた結果。
小回りが利きやすい、あるいは上記に例示したように人生ステージの変更が容易に起きうる単身世帯の方が、「住所変更」による買い替えが多い傾向がある。しかしその分「上位品目」が少なくなっている。二人以上世帯で「上位品目」回答が多いのは、子供の誕生や成長、親の受け入れなど世帯人数・食品消費量の増加で利用機会・量が増加し、今までの冷蔵庫では容量が足りなくなったといった状況が考えられる。
2014年では消費税率改定に伴う駆け込み需要が発生し、単身世帯の「上位品目」と「その他」、「二人以上」の「その他」にやや大きな増加の影響を与えている。2019年でも似たような動きが見えるのも、やはり消費税率改定(2019年10月実施)に伴うものだろうか。
それらの特異的な動きを除けば、特に大きな動きは無く、買い替え理由の多分には「故障」がついている。冷蔵庫は少々の品質向上では買い替えの動機を与えるほどのものではなく、故障などでようやく買い替えの決断ができる。言葉通り、本当の意味での「耐久財」といえよう。
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※内閣府の消費動向調査
今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査は毎月1回実施され、その月の15日時点の状況が対象となる。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。
毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2021年4月~2022年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。新規に購入した場合や、買い替えが該当時期でなかった場合は回答に加わらない。
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