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「¥」マークを巡ってトラブルが相次ぐ。中国の人民元と日本円の記号はともに「¥」なのはどうしてなのか

久保田博幸金融アナリスト
(提供:イメージマート)

 ¥1680=3万2916円。え?とある通販サイトで、中国の人民元が、まるで日本円かのように、表記されていました。「まさか」「だまされた」「¥」マークを巡ってトラブルが相次いでいます。

 これは19日の夜のNHKニュースで報じられたものである。1680円かと思って通販で購入したところ、1680人民元であったことで、日本円では購入価格が約20倍となっていたというものである。1人民元は約20円程度となっている。

 国民生活センターには、「消費者が著しく誤解するサイトだ」との指摘もあったようで、これは日本円にみせかけて高額で商品を販売するという詐欺サイトであった可能性が高い。

 ここで注意すべきは、中国の人民元と日本円の記号はともに「¥」であること。これは間違いではない。

 日本の円は明治政府により1871年に定められている。記号では「¥」となり、JPYとも表記される。

 「円」の名前の由来としては、新貨のかたちが円形に統一されたためとか、洋銀の中国別称である「洋円」を継承したため、さらに香港銀貨と同品位、同重量の銀貨を製造することとした関係から香港銀貨の「壱圓」(洋円1個の意味)にちなむといった説がある。また、人々がお金を表すときに人差し指と親指で円を作ったところから、この名がついたという説も。

 しかし、もともと中国の通貨単位であった「圓」(Yuan)が、日本のYenに転訛したとの説が有力となっている。

 中国の通貨単位である「元」は「円」の正字「圓」の同音を当てたものであり、韓国・北朝鮮の「ウォン」も「円」の朝鮮語読みとなる。

 ちなみに日銀本館が「円」にみえるが、建設当時使われていた漢字は「圓」なので、円を意識して建てられたものではないとされる。

 韓国のウォンは「圓」の朝鮮語読みとなるが、通貨記号はWに横線を二本入れたものとなっている。これに対して人民元の通貨コードはCNY(Chinese Yuan)であるが、通貨記号は「¥」で表示する。つまり円と人民元の記号は同じなのである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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