突発的なリスクに備えるには
9月2日に埼玉県の越谷市や千葉県野田市で竜巻が発生し大きな被害が出た。これまでは日本で竜巻の被害が出るようなことはあまり想定されていなかったと思われるが、関東地方では昨年も茨城県つくば市で発生し、こちらも大きな被害を出している。2009年10月には茨城県土浦市でも発生し被害が出ていた。
昨年5月のつくば市北条と2009年10月の土浦市宍塚での竜巻の被害地域には、それぞれ親戚の家があり見舞いに行ったのだが、直接その被害の大きさに驚かされた。竜巻は茨城で集中して起きるのかと勝手に思っていたが、どうやら関東地方ではどこで起きてもおかしくはないそうである。
3日の朝のワイドショーでは、越谷での被害状況などを取り上げていた。住人が撮影した動画などを見る限り、とっさの判断が必要となる。ただし、その被害状況が想定できない面もあり、身を守るためには、家のなかではなるべく窓側から遠ざかりトイレなどに閉じこもる、外にいた際は頑丈か建物に非難することなどが重要となる。
竜巻が発生して接近してしまうと逃げる余地が限られてしまうが、竜巻をもたらす積乱雲については、現在ネットでその状況を掴むことができる。9月2日も我が家近辺も雷が鳴っていたこともあり、積乱雲の位置情報をネットで確認していた。この確認作業だけでも、突発的なリスクに備えることが可能となる。
さて前置きが長くなってしまったが、相場の変調に対してもその兆候を掴むことはリスク回避のために必要である。短期的な売買を繰り返す市場参加者と長期運用をしている市場参加者ではそのリスクへの備えに違いはあるかもしれないが、相場全体の流れが変化する兆しとなる可能性もあるため、いずれにしてもその兆候を掴むことは重要になる。
過去の大きな相場変動にあたっては、自分が主に見ている市場の値動きをチェックしておくのも重要であるが、意外と他市場の動きがひとつの兆候となっているケースも多い。私がこれまで相場の動きを見てきたなかで、他市場の動きが大きな相場変動の兆候になっていたと思われるものがいくつかあった。そのひとつが1990年の年初からの株式市場の下落である。結果からすればバブル崩壊の象徴的な動きであったが、実は債券市場の動きをみると1989年内に過剰流動性による債券バブルは先に弾けており、債券市場からみて何故株はいつまで上がっているのかと不思議に思えていたのである。
2003年の債券のVARショックについては、株式市場関係者が債券の動きがおかしいとみていたのではなかろうか。こちらも日銀の量的緩和政策による影響はあったものの、株式市場では日経平均が底打ちしており、上昇基調となっていたことで、ここでは債券市場関係者より株式市場関係者のほうが冷静に相場を見ていたことも考えられる。
最近では、これは突発的な相場の動きではあったが、5月23日に長期金利が1%という節目をつけた際にも日経平均は1000円を超す下げとなっていた。結果としては長期金利が1%をつけたあと債券が急速に買い戻されて、株式市場では先物主導で戻り売りが入ったわけではあるが、ヘッジファンドによる仕掛け的な動きであっとはいえ他市場の動きが相場変動の兆候になっいたといえる。
気象の変化に対しては雲の動きなどをチェックする必要があるように、相場の変化については対象商品の価格の変化を絶えずチェックするとともに、影響のありそうな他商品の価格変動にも目を配ることは重要である。債券市場関係者であれば、米債の動きなどとともに、株式市場や為替市場の動きの変化にも常に目を配り、他市場に何かしら変化が生じた際には、原因を確認するとともに、それが何か変かの兆しになっているのではないかと意識しておくことも、リスクに備える上では重要となる。