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幼子がいる世帯の平日の帰宅時間の推移をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
幼い子供がいる世帯における帰宅時間の推移は(画像素材:ダ鳥獣戯画)

共働き世帯の増加や子育てへの関心が高まるに連れて、就労者における平日の帰宅時間に注目が集まっている。睡眠時間との兼ね合わせもあるため就寝時刻は遅くにずらせない以上、帰宅時刻が早ければ早いほど、家事や育児に従事する時間も取れるからだ。今回は総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用いて、幼子がいる子育て世帯における平日の帰宅時刻の経年推移を確認する。

まずは、特に手間がかかる6歳未満の子供がいる世帯における、平日の平均的な帰宅時刻を確認する。専業主婦世帯は妻が就労していないので、当然帰宅時刻は無い。

↑ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻(時:分)(2021年)
↑ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻(時:分)(2021年)

共働き世帯の場合、妻はパートやアルバイトに就労しているケースがほとんどのため、そして自宅に戻って夕食の準備などの家事を行う必要があるため、帰宅時刻は16時台。祖父母がいる世帯では家事の一部を任せられる可能性があるため帰宅時刻は遅くなってもよいはずだが、現実にはむしろ早くなっている。あるいは介護が必要な状態のケースがあるのか、早く帰るよう急かされているのか。

夫の帰宅時刻は19時半前後。専業主婦世帯で祖父母がいる場合は少し早く帰宅しているが、これも祖父母に急かされている感がある。他方、夫婦と子供のみの世帯の場合、専業主婦世帯の方が帰宅時刻はいくぶん遅くなる。

この帰宅時刻に関して、社会生活基本調査でさかのぼれる過去の分まで取得して反映させたのが次のグラフ。残念ながら2006年より前は調査の対象項目として挙げられていない。

↑ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻(夫、時:分)
↑ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻(夫、時:分)

↑ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻(妻、時:分)
↑ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻(妻、時:分)

まず夫。夫婦と子供のみの世帯では、経年推移で帰宅時刻に大きな変化は無いように見える。他方、夫婦と子供に加えて、夫婦の親(子供から見れば祖父母)の世帯では、専業主婦世帯では傾向だった動きは無いものの、共働き世帯では帰宅時刻が遅くなる傾向が見られた。そしてどの属性でも2021年では帰宅時刻が早くなる動きが見られる。これは新型コロナウイルスの流行で残業が減り、帰宅時間が早まったのが数字となって現れのだと思われる。

そして妻。専業主婦世帯では就労からの帰宅そのものが無いので空白になっているが、共働き世帯では、夫婦と子供のみの場合は帰宅時刻が遅くなり、祖父母もいる世帯では早まる傾向が見受けられた。祖父母もいる共働き世帯では、妻の帰宅が早まり、夫が遅くなるという、相反する動きが生じており、注目すべき動向には違いない。その一方で2021年では夫同様に、新型コロナウイルスの流行で残業が減り、帰宅時間が早まったのが数字となって現れのだと思われる現象が生じている。

今件はまだ4回分しか調査の結果が取得できない項目で、傾向だった動きも確証度はさほど高くない。さらに直近2021年分は新型コロナウイルスの流行下での調査という特殊事情があるため、今後の長期間の調査の中では、一部の属性でイレギュラーだったと認識されても仕方がない。

共働き世帯の帰宅時刻がどのような変化を遂げているかは、男性の家事・育児問題や共働き世帯を精査する上で知っておいても損ではないだろう。

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※令和3年社会生活基本調査

国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。

調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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