大地震への備えをしていない人3割強、その理由は…
先の震災を経て、自然災害、特に大きな地震に対する対策への意欲は高まりを見せている。経験則に基づくものだから、切迫感も大きいし、自他の経験を活かした減災対策を講じることも可能となる。しかしながら、いまだに大きな地震への備えをしていない人も少なくない。
次のグラフはライフメディアのリサーチバンクが2010年以降、毎年行っている震災対策に関する調査結果を元にしたもの。2011年3月の震災を経てもなお、約3割の人が大地震への備えを一切していないと答えている。
「備え」には非常用持ち出しグッズの用意や飲食品の備蓄の他に、耐震設備の設置や配置換え、避難訓練への参加や非常時の避難ルートの確認・家族における待ち合わせ場所の決定、消火器などの準備など、さまざまな手立てがあるが、それらを一切していない人が3割もいることになる。
この3割の人に、なぜ備えをしないのかについて理由を聞いた結果が次のグラフ。
男女とも順位そのものに大きな違いは無い。一方で複数項目で男女間に多分な差異が確認できる。
まず「何をすれば良いのか分からない」では、男女差が2倍近くあり、女性の回答率が圧倒的に高い。この選択肢には「対策をしたいのだけれど」という前向きな意志が含まれており、多くの女性が知識不足でその意志が実現できない状態にあることが把握できる。そのような場合、「インターネット上で検索をして調べるにしても、その検索キーワード自身が分からない」「何を探せば良いのか自体分からない」という暗中模索状態にあることが多いため、自発的な行動を期待するのは難しい(例え具体的なガイダンス、マニュアルが存在していたとしても、そこにたどり着けない)。第三者、一般的には行政機関などによる積極的な啓蒙・啓発が求められる。
他方男性は「無駄だから」「時間がないから」などの点で、女性を大きく上回る。対策方法を知っていることが前提で、その上でコストパフォーマンス的に割りが合わない、後回しで良いと考えている人が多い。つまり男性に対しては、同じ啓蒙でも、女性に対するような「情報公知」では無く、「必要性の認識」など、より具体的な情報の提供が必要であることが分かる。
震災対策は詰まるところ保険のようなもの。備えをして結局役に立たなければ、それはそれで(役立つ機会が訪れる事無く時が過ぎて)良かったことになる。また、その期間中は備えによる安心感を得られるというメリットもあることを忘れてはならない。まさに「備えあれば憂いなし」である。
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