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都道府県別に一般労働者の平均賃金をさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 賃金は地域によってどれだけの違いが生じているのか。(写真:アフロ)

・2017年における男性の所定内給与は平均で33万5500円。もっとも高いのは東京の41万4600円、低いのは岩手の26万200円。

・2017年における女性の所定内給与は平均で24万6100円。もっとも高いのは東京の30万3000円、低いのは岩手の19万8600円。

・男女とも人口密集地域で所定内給与が高い傾向。

賃金は労働内容や成果、勤続年数、就業業態など多様な条件によって違いを見せる。その一要素として地域別の差異がある事も否定できない。周辺環境の違いや物価、取引市場との位置関係により、他の条件が同じにも関わらず、場所によって賃金水準が異なる事例はよくある話。今回は厚生労働省が2018年2月に発表した、賃金関連の情報を調査集積した結果「賃金構造基本統計調査」の最新版報告書から、賃金とほぼ等しい所定内給与(基本給に家族手当などを足したもの)の都道府県別動向を確認する。

今件の対象はフルタイム労働者を指す一般労働者。フルタイムならば契約社員や派遣社員も該当する。ただしパートやアルバイトは一般労働者では無く短時間労働者なので、対象外となる。

次に示すのは男性における所定内給与額の平均値。同時に上位・下位それぞれ5地域の実情をまとめておく。

↑ 所定内給与額(2017年、千円、男性、一般労働者)
↑ 所定内給与額(2017年、千円、男性、一般労働者)
↑ 所定内給与額(2017年、千円、男性、一般労働者)(上位・下位5地域)
↑ 所定内給与額(2017年、千円、男性、一般労働者)(上位・下位5地域)

都道府県一覧のグラフからも東京の値が群を抜いているのが一目でわかる。平均賃金は41万4600円で、唯一の40万円台。次いで高値としては神奈川の35万8800円、大阪の35万8100円が続く。他方、低い順では岩手が26万200円でもっとも低く、次いで宮崎の26万2800円、沖縄の26万3200円。

地域別傾向は見出し難いが、人口密集地帯は比較的高い賃金が支払われている雰囲気はある。無論その地域の物価水準や公共料金まで勘案しないと、賃金面からの住みやすさは評価し難いのだが。

続いて同様のグラフを女性に関しても生成する。

↑ 所定内給与額(2017年、千円、女性、一般労働者)
↑ 所定内給与額(2017年、千円、女性、一般労働者)
↑ 所定内給与額(2017年、千円、女性、一般労働者)(上位・下位5地域)
↑ 所定内給与額(2017年、千円、女性、一般労働者)(上位・下位5地域)

金額そのものは男性と比べるといくぶん低いが、上位陣の動向は男性とさほど変わらない。東京が群を抜いており、次いで神奈川、大阪など、関東や阪神地域といった人口集中地帯が高い値を示している。

他方、低い地域は少々事情が異なり、もっとも下の額面を示したのは岩手の19万8600円。次いで青森、宮崎、佐賀と続く。人口が少なめな地域であることに変わりは無いが、その順位には男性とは少なからぬ違いが生じているのは興味深い。男女で就業する業種の比率などが多分に影響しているのだろう。

地域による賃金格差が生じているのは事実。しかし今件はあくまでも一般労働者全体の平均値でしか無く、業種や企業規模でも小さからぬ差異が生じる。例えば県境そばに住んでいる人が就業先を選ぶ際に、ほんの数キロ隔てた県境を越えると、賃金が大きな違いを見せるわけでは無い。あくまでも全般的な指針のようなものだとして見るのが無難だろう。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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