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増加傾向の小中学生のテレビゲームプレイ時間と学力テストとの相関関係

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ テレビゲームばかりしてないで…とは親の小言の常套句ではあるが(ペイレスイメージズ/アフロ)

「ゲームは1日1時間」は守られているのか

「ゲームで遊びすぎると勉強できなくなる」とは、親の立場にある人なら一度ならずとも子供に向けて口に出した事がある小言。実際に子供たちはどれほどゲームに時間を割いているのだろうか。文部科学省が2016年9月に発表した全国学力・学習状況調査(※)の結果から確認していく。

今調査によると、平日にテレビゲーム(パソコン(PC)や据え置き・携帯ゲーム機、従来型携帯、スマートフォンによるもの)を1時間以上遊ぶ人の割合は、小学生で54.6%、中学生で56.6%。この比率は年々増加しており、記録が確認できる2008年度以降では小学生は2013年度、中学生は2014年度で初めて過半数に達することとなった。直近年度では前年度比で小学生は増加したが、中学生では減少している。

↑ 平日にテレビゲーム(PC、携帯型ゲーム機、従来型携帯、スマホ含む)を1時間以上する人の割合
↑ 平日にテレビゲーム(PC、携帯型ゲーム機、従来型携帯、スマホ含む)を1時間以上する人の割合
↑ 平日にテレビゲーム(PC、携帯型ゲーム機、従来型携帯、スマホ含む)をする時間(平均、時間)
↑ 平日にテレビゲーム(PC、携帯型ゲーム機、従来型携帯、スマホ含む)をする時間(平均、時間)

1日1時間以上遊ぶ人の割合、平均プレー時間共に漸増する傾向にあるが、特にこの2、3年で急激に増加傾向にあることが分かる。中でも2014年度は小学生と中学生の順位が逆転している点でも注目に値する。スマートフォンの普及に伴い利用者・利用時間が大きく底上げされたものと考えられる。

直近年度は久々に前年度比で、小中学生共に平均時間は減っている。今件は平日にはゲームをまったくしない人も含めた平均。「しない」との回答率の変移を見ると直近年度は前年度比で増加しており、それが多分に影響したものと考えられる。ただし誤差領域での値動きであることから、これがトレンドの転換を意味するものとは考えにくい。

↑ 平日にテレビゲーム(PC、携帯型ゲーム機、従来型携帯、スマホ含む)をまったくしない人の割合
↑ 平日にテレビゲーム(PC、携帯型ゲーム機、従来型携帯、スマホ含む)をまったくしない人の割合

留意をしつつ、様子を見たいところだ。

相関関係だが、ゲーム時間が長いとテストの正答率は低下する

子供がゲームで遊ぶ時間が長くなるに連れ、保護者の立場にある人は「遊び過ぎて勉強しないのでは」と気にしてしまうもの。その不安をさらに強いものとしてしまいかねない結果が、今調査では確認されている。

次に示すのは、平日にテレビゲームをする時間区分別に、学力テストの平均正答率を示したもの。あくまでも相関関係を示したものだが、非常にきれいな形で「長く遊んでいる子供ほど、正答率が低くなる」結果が出ている。

↑ 平日にテレビゲームをする時間と、教科の平均正答率との相関関係(小学生)(2016年度)
↑ 平日にテレビゲームをする時間と、教科の平均正答率との相関関係(小学生)(2016年度)
↑ 平日にテレビゲームをする時間と、教科の平均正答率との相関関係(中学生)(2016年度)
↑ 平日にテレビゲームをする時間と、教科の平均正答率との相関関係(中学生)(2016年度)

朝食関連の話で良く話題に登る「朝食をしっかりと食べるとテストの成績が良くなる」ではなく「朝食をしっかりと食べるような、規則正しい生活をしている子供は、必然的に勉強にも規則的に取り組むようになるので、テストでは良い成績を取る傾向が出る」のように、今件もまた、あくまでも相関関係を表したにすぎず、因果関係を証明したわけでは無い。つまり「ゲームのし過ぎはテストの成績を悪くする」との証明にはならない。

しかしながら平日で1日4時間以上もゲームで遊んでいれば、その他の行動をする時間は圧迫されるのは必然的。それが睡眠の時間か、勉強の時間かまでは個々の事情によるが、いずれにせよ勉学にとってマイナスとなることは容易に想像ができる。「1時間未満」と「しない」との間の差がほとんど無いことから、平日でも息抜き程度のゲームはほぼ影響を与えないものの、1時間を超えると確実に時間の伸びと共に正答率が落ちていくことから、何らかの因果関係もあることは容易に想像ができる。

最終的には保護者の、あるいは保護者と子供との間の話し合いなどで決めることではあるが、平日における「ゲームで遊ぶ時間」については、再考慮が必要となるかもしれない。

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※全国学力・学習状況調査の調査要綱

直近分は2016年4月19日、国公立及び私立の小中学校に対し悉皆調査方式(標本調査ではなく全体を調べる)で行われたもので、実施学校数は小学校が2万0049校、中学校が1万0526校。教科調査(学力テスト)は国語A・Bと算数(数学)A・B、そが実施されている。なお2011年度は震災のため調査が中止されている。また今回年度は4月に発生した熊本地震により、熊本県の全校や宮崎県、大分県の一部の学校で同一期日での調査実施が見送られている。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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