食料品の値上がりは続く
カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2024年10月に371円となった。1年前の2023年10月(308円)から63円の大幅増となり、7カ月連続で最高値を更新した(帝国データバンク)。
総務省が11月22日に発表した10月の消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月と比べて2.3%の上昇となった。食品の値上がりは続いており、「生鮮食品を除く食料」は3.8%の上昇となっていた。なかでも「米類」は58.9%上昇し、比較できる1971年以降で上昇幅は最も大きくなっていた。
コメの価格上昇が大きく影響していることは確かだが、他の食材も円安などの影響もあって上昇し、「カレーライス物価」を引き上げている。コメの価格上昇は一時的なものとは考えられず、当面は「カレーライス物価」も高い水準が継続すると予想される。
食料品の値上がりによって、消費支出に占める食費の割合が上がっている。
2024年1~8月のエンゲル係数(2人以上世帯)は28.0%と、年平均と比較すると1982年以来の高い水準となった(10月18日付日本経済新聞)。
エンゲル係数家族の総支出のうち、食物のための支出が占める割合となる。
2022年以来、日本でも物価の上昇が続いており、なかでも食料品の値上げラッシュが続いている。
帝国データバンクによると、主要な食品メーカー195社における家庭用を中心とした2025年の飲食料品値上げは3933品目を数えた。前年同時期に公表した24年の値上げ品目見通し(1596品目)を大幅に上回った。
食料品の値上げは続いていても、食生活は大きく変わることは難しい。このため、物価上昇に賃金が追いつかないと値上げが家計に直接影響を与え、これによってエンゲル係数が上昇する。
世界的な物価上昇そのものは収まりつつある。このため欧米の中央銀行は利上げを停止し、利下げに転じてきている。
これに対し日本では小幅な利上げに止まっており、その分、円安ともなりやすく、これも物価を押し上げる要因となる。
日銀は今後も利上げを行ってくると思われるが、それなりの時間を有することとみられる上に、積極的な利上げには抵抗も強くなることも予想される。
日本の主食であるコメが現在、食料品価格の原動力ともなりつつある。エネルギー価格は政府の対策で無理矢理抑えている面もあり、実際の物価指数も抑えられている。
利上げを急ぐ必要はないかもしれないが、淡々と日銀は利上げを行い、物価に応じた金利も形成させることで、我々のデフレマインドを解消させることが必要となろう。