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携帯電話は何年で買い替えられているのだろうか(2021年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 毎日のように新機種が登場する携帯電話。買い替え年数は?(写真:つのだよしお/アフロ)

携帯電話の買い替えは4年台で

携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)は日々進化、モデルチェンジを続けている。どれほどの年数で買い替えが行われているのだろうか。内閣府の消費動向調査(※)の結果からその実情を確認する。

今回は従来型携帯電話以外にスマートフォンも含めた携帯電話全般の買い替え年数を確認する。世帯区分別では「単身世帯」と「二人以上世帯」、そしてそれを合わせた「総世帯」の3つが用意されているが、長期時期系列データが保存されているのは二人以上世帯のみ。そこでまずは二人以上世帯における、買い替え年数推移をグラフ化する。

 携帯電話買い替え年数(二人以上世帯、年)
携帯電話買い替え年数(二人以上世帯、年)

長らく買い替え年数が伸びていた携帯電話だが、2012年にはじめて値が前年比で縮小する動きを見せた。2013年でも縮小を続けたが、これは従来型携帯電話が十分使用に耐えられる(老朽化していない)状況でも、スマートフォンへの買い替えを行う人が増えた結果によるもの。しかし2014年以降はこの縮小の動きから転じて再び延びはじめている。直近の2021年では前年比で縮んで4.3年に。2020年の4.9年はイレギュラー的な伸びだったのかもしれない。

これを単身世帯の動向と重ねてグラフ化したのが次の図。

↑ 携帯電話買い替え年数(世帯種類別、年)
↑ 携帯電話買い替え年数(世帯種類別、年)

全般的には単身世帯の方が、わずかではあるが買い替え年数は長い傾向がある。家族割引制度などが使えず割高となりがち、そして本体買い替えの際の出費がより「懐に痛い」単身世帯では、買い替えの決断に躊躇してしまう、できるだけ長期間使い続けようとする意図が働いたものと考えられる。最近では2012年と2020年で逆転現象が起きているが、これは多分にイレギュラーとしての動きと思われる。

買い替え理由の中身

続いて「買い替え理由」を二人以上世帯・単身世帯それぞれについて確認する。次に示すグラフではすでに対象外となっているが、2009年では比較的高かった「上位品目への買い替え」が2010年に落ち込み、2011年以降は再び増加の一途をたどっていた。そして2014年以降はその動きが転じ、「上位品目」が減り、「故障」「その他」が増加。二人以上世帯ではその動きは緩やかながらも2020年まで続いていたが、単身世帯では2015年を底に再び「上位品目」が増加する動きの中にある(直近の2021年では単身世帯・二人以上世帯ともに、ここ数年の動きの傾向とは逆の動きを示してはいるが)。

↑ 携帯電話買い替え理由(二人以上世帯)
↑ 携帯電話買い替え理由(二人以上世帯)

↑ 携帯電話買い替え理由(単身世帯)
↑ 携帯電話買い替え理由(単身世帯)

元々携帯電話は流行を追い求められやすい(アクセサリー的な使われ方をする)、そして技術進歩が加速度的なことで、短期間(多くは四半期単位)で高性能な機種が続々発売される傾向があるため、「上位品目への買い替え」の回答率が高い。2013年までは年々「上位品目」を理由に挙げる人が増加したが、2014年以降は低下の動きを見せる。従来型携帯電話からスマートフォンへの買い替えを強く求める層の前倒し需要の消化が進み、通常のパターンに戻ってきたと解釈すれば道理は通る。つまり、買い替えブームが過ぎたということ。今件はあくまでも「買い替えをした人における」理由比率であることに注意しなければならない。

ただし単身世帯に限れば、再び「上位品目」の値が増加しており、二人以上世帯とは異なる買い替え傾向の動きが生じているようにも見える。最新型のガジェットを手に入れる感覚で趣味的に買い替える人が増えているのだろうか。

従来型携帯電話からスマートフォンへの買い替えは、携帯電話の買い替えにおいては大きな後押し(多分に前倒しの意味での)となる。しかしこの数年継続してきた買い替え期間の短縮や買い替え理由の「上位品目」の増加の動きに2014年にブレーキがかかったのが確認できたことから、これまで従来型携帯電話を利用してスマートフォンに一刻も早く買い替えたい人たちの買い替えの動きは終了したようだ。

■関連記事:

【各国の固定電話と携帯電話の普及率推移をさぐる(新興国編)(2020年公開版)】

【世界中で減少する固定電話、増加する携帯電話…固定・携帯電話の普及率をグラフ化してみる(2012年発表版)】

※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することにより、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。なお2018年10月からは郵送・オンライン併用調査法を導入している。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2020年4月~2021年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。新規に購入した場合や、買い替えが該当時期でなかった場合は回答に加わらない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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