B・ワトソンの暴露発言が米ゴルフ界に波紋。「PGAツアーでも、内緒でお金をもらって試合に出ていた」
マスターズ2勝を挙げた元PGAツアーの人気選手、現リブゴルフ選手となっている屈指のロングヒッター、米国のバッバ・ワトソンの暴露発言が米ゴルフ界で大きな波紋を呼んでいる。
サウジアラビアの政府系ファンドの支援を受け、グレッグ・ノーマンが創設したリブゴルフは、破格の契約金と破格の賞金をアピールしてPGAツアーやDPワールドツアーのスター選手たちを引き寄せることに成功。
そして、予選落ちのない3日間54ホールをプレーする選手たちは、たとえ最下位でも、途中棄権しても、12万ドル以上、日本円に換算するとレート次第では1600万円~1800万円もの大金を受け取ることができる。
どんなゴルフをしようとも、途中で止めようとも、出場しさえすれば手に入るこのお金は、PGAツアーやPGAツアーの選手たち、メディアや関係者からは「ギャランティ・マネー(guranteed money=約束されたお金)」と呼ばれ、リブゴルフに対する最大の批判ポイントとされている。
しかし、ワトソンは米ESPNの取材に対し、「その批判を聞いたとき、僕は大笑いしたよ」と語ったそうだ。
ワトソンの発言は、こんな内容だった。
「僕はPGAツアーでプレーしていた間、内緒でお金をもらって試合に出た。何度も出た。もしバッバ・ワトソンがPGAツアーにおけるベスト・プレーヤーではなかったとすれば、ベスト・プレーヤーとされていた選手は僕以上にたくさんのお金をもらって試合に出ていたはずだ」
さらに、ワトソンは、こう続けた。
「(リブゴルフへの批判を)聞いて、僕は大笑いした。だって、僕らは、ある場所に姿を見せるために、ギャランティ・マネーをもらっていたからね。勝っても負けても、途中で止めようとも、お金をもらう。それをみんながやっていた。みんなギャランティ・マネーのためにプレーしていた。PGAツアーのこんな話をしたくはないけど、みんなそういうことをやっているんだ」
しかし、ワトソンのこの暴露発言は、事実とはやや解釈が異なるようで、ESPNの取材に対し、PGAツアーは文書でこう回答した。
「PGAツアーは、特定の大会に選手を勧誘するためにアピアランス・マネーを支払うことを禁じている。しかし、いくつかの(大会)スポンサーが、(スポンサードしている大会において)スポンサー関連の活動に参加することを選手との契約に盛り込み、その活動に参加した契約選手に対価を支払うケースは、PGAツアーのガイドライン上、許可されている」
つまり、ワトソンが受け取っていたお金はスポンサーとの契約履行に対する対価であって、リブゴルフが全参加選手に約束しているギャランティ・マネーとは異なるということになる。
PGAツアーの説明を聞いて、「なるほど。その通り」と頷くのか、「やっぱり、それもギャランティ・マネーだ」と受け取って、リブゴルフと同じではないかと批判するのかは、それぞれの受け取り方次第、判断次第だ。
ワトソンが明かしたマネーのやり取りが行われていたことが事実だとすれば、PGAツアーの説明は「限りなくグレーな解釈」という印象は否めない。
だが、ワトソンの暴露的行為に限りなく不快感を抱かされることも否めない。
PGAツアーとリブゴルフの対立は激化の一途ではあるが、ゴルファーとして、人間としての倫理観や節度は保ってほしいと願うばかりだ。そうでなければ、この対立の中で、ゴルフファンが激減してしまうだろう。