世界主要国のスマートフォン普及状況をさぐる(2019年時点最新版)
スマートフォンは人の表現能力を大きく飛躍させ、情報の価値をけた違いに大きなものとし、社会構造にも小さからぬ影響を与えている。そのスマートフォンなどの世界主要国における普及状況を、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年春に実施した携帯電話関連の世界規模での調査結果報告書「Smartphone Ownership Is Growing Rapidly Around the World, but Not Always Equally」(※)から確認する。
次以降に示すのは回答者の携帯電話の所有状況。携帯電話を持っているか否か、その携帯電話がスマートフォンか否か(=従来型携帯電話など)を尋ねてまとめている。なおスマートフォンは質問票では「インターネットやアプリケーションを利用できる携帯電話」と定義されている。
まずは先進国。
調査対象国の中ではもっともスマートフォンの所有率が高いのは韓国で、95%が所有している。従来型携帯電話などは5%となり、携帯電話を所有していない人はゼロ。驚異的な所有率に違いない。次いでイスラエルが88%、オランダが87%、スウェーデンが86%。従来型携帯電話の所有率は10%程度で、携帯電話を持っていない人はそれぞれの国で2%でしかない。
以下少しずつスマートフォンの所有率は下がり、その分従来型携帯電話の所有率が増え、携帯電話全体の所有率は9割台を維持している。アルゼンチンでスマートフォンの所有率が68%とやや高めなものの携帯電話を持っていない人が16%とやや多め、カナダではスマートフォンが66%である一方で携帯電話非所有者が25%もいるのは意外ではある。
日本ではスマートフォンの所有率は66%でカナダと同等。他方、従来型携帯電話の所有率は26%と高め。他の調査結果と合わせ鑑みるに、高齢者へのスマートフォンの普及が遅れているがゆえの結果だろう。
なお先進国全体の中央値はスマートフォン所有率76%、従来型携帯電話17%。日本のスマートフォン所有率は先進国の中央値より低い値なのが実情ではある。
続いて新興国。
調査対象国ではもっともスマートフォンの所有率が高いのは南アフリカの60%。ブラジルも同率の60%だが、携帯電話全体の所有率は南アフリカの方が10%ポイント高い。次いでフィリピン、メキシコ、チュニジア、インドネシア、ケニア、ナイジェリア、インドと続き、新興国の中央値は45%となる。
先進国と比べると新興国では携帯電話そのものを所有していない人の割合が高く、また持っていてもスマートフォンでは無い人の割合も高いのが特徴的。インターネットや携帯電話関連の話でよく話題に上るインドやインドネシアだが、イメージと比べるとスマートフォンの所有率の実情は低めかな、という感はある。
もっとも見方を変えれば、新興国では今後従来型携帯電話からスマートフォンへのシフト、さらには携帯電話非所有者がスマートフォンを所有するようになるなどの動きが活発になるであろうことは容易に想像ができる。とりわけ人口の多いインドやインドネシアでの動向が、大いに注目されるところではある。
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※「Smartphone Ownership Is Growing Rapidly Around the World, but Not Always Equally」
2018年春に対象国に居住する18歳以上の人に対し、電話による通話あるいは対面回答方式によって行われたもので、調査対象数は各国1000~1500人程度。それぞれの国の国勢調査の結果に基づいたウェイトバックが実施されている。対象国は先進国として韓国、イスラエル、オランダ、スウェーデン、オーストラリア、アメリカ合衆国、スペイン、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、アルゼンチン、日本、カナダ、ハンガリー、ポーランド、ロシア、ギリシャ。新興国として南アフリカ、ブラジル、フィリピン、メキシコ、チュニジア、インドネシア、ケニア、ナイジェリア、インド。
なお今記事では携帯電話=スマートフォン+従来型携帯電話(ガラケー、フィーチャーフォン)などと定義している。
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