【ウルトラマンに嫉妬したヒーローって誰?】身分詐称に新宿大破壊、冥王と呼ばれた闇のウルトラマンとは?
みなさま、こんにちは!
文学博士の二重作昌満です。
特撮を活用した観光「特撮ツーリズム」の博士論文を執筆し、大学より「博士号(文学)」を授与された後、国内の学術学会や国際会議にて日々活動をさせて頂いております。
早いもので10月も締めくくり・・・今年も残り約2ヶ月ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、今回のテーマは「ハロウィン」。本場アメリカから日本に定着し、すっかり我が国の秋の風物詩のひとつとして感じることの多いハロウィンですが、おうちにカボチャやお化けの装飾をしたり、ご自身で衣装をつくったり、はたまたアメリカ文化の代表格ともいえるテーマパークで異国情緒を楽しむという方も多いのではないでしょうか?(かくいう私もその一人ですが・・・)
私も研修やプライベートで度々アメリカを訪れたり、幼少期よりハワイでよくロングステイをしていたので、時に現地のハロウィンやクリスマスを体験する機会も多々あったのですが、異なる文化や宗教圏において、両イベントに対する日本とアメリカの風俗習慣や空気感の違いを現地の生活を通じて感じることもしばしばでした。
特にハロウィンは、奇々怪々なカボチャや魔女といったダークな印象こそありますが、アメリカでのハロウィンは基本、陽気な秋のお祭りです。ニューヨークでは仮装行列が実施される他、カボチャを使ったホームパーティ等も開かれ、よくアメリカのホームドラマやディズニー映画等でも描写されています。
ただしそんな楽しいお祭りに乗じ、アメリカのテレビ番組や映画、さらには日本のアニメ・特撮作品でも、悪事を働き、人々を困らせたりする悪党も多々出現していました。
そこで本記事では、ハロウィンというお祭りについて簡単にご紹介をした後、我が国を代表する特撮ヒーロー番組である『ウルトラマン』シリーズに登場した、悪魔的な存在感を放ち「冥王」と呼ばれた邪悪な巨人の誕生と転落について特集していきたいと思います。
※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。
【そもそもハロウィンってなあに?】有名なカボチャのランタンが生まれた背景とは?
ウルトラマンのお話に入る前に、まず「ハロウィン」とはどういうお祭りなのか簡単にお話をしたいと思います。
「ハロウィン(ハロウィーン)」は10月31日に行なわれる欧米の催事です。アイルランド人の祖先でもある古代ケルト人は、当時の「新年」にあたる11月1日になると地下の国の扉が開き、死者が地上にさまよい出ると信じていました。それ故、悪霊を追い払って地下に帰すために、10月31日の夜に集まって宗教行事を実施するようになったのだとか。
一方、キリスト教も11月1日に全ての聖人をお祝いする「All Hallows(万聖節)」という祝日が、その前夜祭(Eve)として「Halloween」という言葉が生まれたのだそうです。
先述した2つの風習は中世に結びつき、大勢のアイルランド人がアメリカに移住したことで古代ケルトの風習はアメリカに持ち込まれ、現在のハロウィーンになったと言われています。
「日本でいうお盆みたいなモノか?」と言われると、文化としてその本質は大幅に異なります。祖先や先に旅立たれた人達を敬い、その魂を家に迎え入れる厳かな催事としての「お盆」と比べて、ハロウィーンは死者の霊を恐怖の対象として捉えていることも違いのひとつです。先述した古代ケルトでは10月31日には死者の霊がこの世にさまよい出たり、精霊や魔女が横行するとされていました。タチの悪いことに、人間に取り憑いてあの世に連れて行こうとするお化け達を懲らしめるために、悪い霊を彷彿とさせる仮装をして仲間だと思わせるのが、ハロウィンに仮装する起源の一説とされています。
また、ハロウィーンといえば定番のカボチャ。人の顔のように表情をつけて、内側に電灯を仕込んで装飾するカボチャですが、そのルーツは「ジャック・オ・ランタン」というカボチャの堤灯。その呼称の起源はアイルランドの民間伝承にあるようです。ジャックという農夫の物語があり、悪魔さえ騙すようなずる賢い男だったため、彼は死後に天国にも地獄にも行けず、さまよう存在となってしまいました。そんなジャックに悪魔はカブをくりぬいて石炭を入れたランタンを1個渡してやったことで、ランタンはさまよう哀れな魂の導き役としてハロウィーンのシンボルになったのだとか。カボチャではなくカブにルーツがあったのも面白いですね(余談ですが、ディズニー映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1993)』の骸骨男の主人公の名前はジャック・スケリントン。ジャックという名前は、映画の世界でもハロウィンの代名詞なのです)。
このようにハロウィンの下地には宗教行事としての基盤がありますが、現在は仮装をしたり、お菓子を食べたりと、みんなで仲良く楽しい時間を過ごす催事として世界中に定着しています。しかしながら、このお祭りを巡っていくつもの悲しい事件も世界各地で発生しており、特に2022年10月29日には韓国の首都ソウルの特別市である繁華街、梨泰院におけるハロウィン混雑の中で群衆雪崩が発生し、150人以上の若者達が命を落としたことも記憶に新しいことと思います。ルールを守り、身の安全を考慮し、みんな一緒に楽しむことを心がけていきたいものです。
さてさて・・・そんな幽霊や悪魔、はたまた魔女といった怪物達とも縁深いハロウィンですが、日本のサブカルチャーであるアニメや特撮作品においても大きな影響を受けてきました。特に、実写の世界において怪獣や宇宙人といった非日常的な存在を描くことの多い「特撮」ヒーロー番組では、ハロウィンになると死者が蘇るというお祭りの本質を活用し、一度ヒーローに倒された存在がハロウィンに乗じて復活し、時に催事や舞台で活躍することもしばしばありました。
次の章より取り上げるのは、そんな闇の集団である「ダークネスヒールズ」のひとり、ダークザギ。彼はかつて冥王と呼ばれ、地球に大破壊をもたらし滅亡させる存在でした。しかし凶悪そのものであった彼は、宇宙の守護神とも呼べる伝説の存在・ウルトラマンノアによって消去されました。次章より、そんなダークザギの誕生と転落についてお話をしていきたいと思います。
【もしも人間がウルトラマンを造ったら?】人造ウルトラマンの誕生と転落、冥王と呼ばれた最強最悪のダークザギとは?
さて、ここからは邪悪な冥王「ダークザギ」についてのお話・・・。彼はウルトラマンシリーズの1作品『ウルトラマンネクサス(2004)』において登場し、そのデザインインパクトと破壊衝動に溢れた描写、その反面で実は冷静な戦略家であったというギャップも含めて、現在もウルトラマンシリーズを代表する名悪役として高い人気と支持を獲得しています。
お話の本題に入る前に、少しだけウルトラマンシリーズについてご説明をさせて頂きたく存じます。ウルトラマンシリーズは、株式会社円谷プロダクション制作の特撮ヒーロー番組『ウルトラマン(1966)』(及び特撮怪獣番組『ウルトラQ(1966)』)を起点とする特撮シリーズです。
1966年に『ウルトラマン』が放送され、M78星雲「光の国」からやって来た身長40mの銀色の宇宙人が巨大な怪獣と戦い、最後は必殺光線(スペシウム光線)で怪獣を退治するという物語はたちまち子ども達の心を掴み、最高視聴率42.8%、平均視聴率36.8%を記録する大人気番組となりました。
大衆的な人気を博した『ウルトラマン(1966)』の放映終了後も、その次回作である『ウルトラセブン(1967)』、『ウルトラマンタロウ(1973)』、『ウルトラマンティガ(1996)』、『ウルトラマンコスモス(2004)』と世代を跨ぎながらシリーズが続いていき、現在は『ウルトラマンブレーザー(2023)』が好評放送中です。
そんな約60年にも渡る長い歴史を持つウルトラマンシリーズの中から、今回ご紹介するのは、2004年に放送された『ウルトラマンネクサス』。
本作において、ダークザギは登場しました。しかしながら、なんとダークザギは『ウルトラマンネクサス(2004)』がデビュー作ではありません。実は、2004年の秋に放送された『ウルトラマンネクサス』以前に、同年の春に『テレビマガジン』や『てれびくん』といった児童雑誌で『ネクサス』の前日譚が描かれており、ダークザギはこの前日譚でデビューした存在でした。バルタン星人やゼットン等、これまでウルトラマンシリーズを代表する人気怪獣や宇宙人達はテレビ番組や映画が通例であったのに対し、ダークザギは誌面デビューという異色の経歴だったのです。
ダークザギは、2004年春に『テレビマガジン』や『てれびくん』といった児童雑誌で連載されていた、伝説の巨人・ウルトラマンノアを主人公とした物語『バトルオブドリームNOA』にて、ウルトラマンノアのライバルとして華々しいデビューを果たしました。当連載においてダークザギはウルトラマンノアによって封印され、その消息は不明のままでした。ところが、同年秋に放送が開始された『ウルトラマンネクサス(2004)』の最後の敵(いわゆるラスボス)として登場し、視聴者に強烈なインパクトを残して散ることになりました。
そのダークザギですが、彼は誰によってつくられ、なぜ破壊神となるまでに至ったのか、その誕生と転落について少しお話をしていきたいと思います。
【人間がウルトラマンをつくるとロクなことが起きなかった!】ダークザギが誕生した背景とシビアすぎた事情とは?
さてここからは、なぜダークザギが誕生したかについて少しお話をしていきたいと思います。ことの発端は、はるか遠い宇宙の彼方にある「M80さそり座球状星団」の中にある、とある惑星でした。
その惑星で暮らす人々は高度な文明と発達した科学技術を持っていましたが、ある日、恐怖心を求めて人々を捕食する怪物「スペースビースト」(ウルトラマンの世界でいう怪獣)の侵攻を受けるようになりました。人間を食い殺す物騒な怪物達を相手に、為す術のない人々。そんな人々の前に姿を現したのは、ウルトラマンノアと呼ばれる全能の超人でした。
ノアは人々に力を貸し、スペースビーストを一掃します。人々を救ったウルトラマンノアは星を去り、平和が戻ったのです。しかし例え星が救われても、人々の心はビーストの恐怖から逃れられませんでした。
つまり「今が平和でも、またあいつらは襲ってくるかも・・・」と考えたわけです。
そこで人々は、高度な文明と科学技術で、自分達の星を救ってくれたウルトラマンを模した巨人の創造に着手します。永久に自分達を守ってくれる守護神をつくろうとしたのです。
その守護神こそ、永遠の命を持つ人工の神、「ウルティノイド・ザギ(通称:ザギ)」でした。いわばウルトラマンノアの「模造品」だったのです。
ザギは対ビースト用の最終兵器。怪物を一掃する大きな力を与えられたザギは、ゆらぐ未来を見通して思いました。「この宇宙に二度と苦しみが生まれないためには何を成せばいいのだろう。」、「永遠の平安とはなんだろう」・・・と。
ザギは考えた末、なんと「永遠の平和とは虚無である!」という過激な思想に行き着きます。生命が存在しなくなれば、苦しみも悲しみも消え失せると考え、宇宙そのものを無にしてしまおうとする悪魔になってしまったのです。
ザギは野獣のように創造主の星を破壊しまくり、炎上する街の中で声高らかに吠えます。守護神(ウルティノイド・ザギ)をつくろうとした結果、破壊神(ダークザギ)をつくってしまったのです。そこで創造主達は自らの惑星ごとダークザギを爆破しました。母星を失った人々は星を脱出して宇宙を彷徨い、地球へとやって来ます。地球へと行き着いた人々は、地球人達によって「来訪者」と呼ばれ、来訪者は「自分達の星を滅ぼしたザギが地球へやって来て、地球は滅亡する」ことを警告します。
その一方、ダークザギは死んでおらず健在でした。なんと星が爆発した衝撃(超新星爆発)で時空を超えてしまい、別の宇宙(パラレルワールド)に飛ばされてしまいます。その宇宙とは、ウルトラマンやウルトラセブンをはじめとする歴代のウルトラマン達が、平和のために悪い怪獣や宇宙人達と戦っていた世界でした・・・。
【ウルトラマンやセブンも手に負えなかった!】バルタン星人をも従え、大暴れしたダークザギを止めるために現れた守護神とは?
当章まで、ダークザギの誕生の物語についてお話してきました。ここからいよいよ『ウルトラマンネクサス(2004)』の前日譚である誌面展開『バトルオブドリームNOA』の物語に入っていきます。
来訪者が故郷の星を爆破した後、大爆発の影響で時空を超えたダークザギが行き着いた場所は、自分が大暴れした宇宙とは全く別の宇宙(パラレルワールド)。その宇宙では、ウルトラマンやウルトラセブン、ゾフィーを筆頭にたくさんのウルトラマン達が守っていました。
自分が元にいた宇宙へ帰る手段を知らないダークザギは、なんとバルタン星人をはじめとする悪い宇宙人達と手を組みます。ウルトラマン達を倒すために怪獣達を次々と復活させて、ウルトラマンやウルトラセブン、ゾフィー達を宇宙を舞台に苦しめますが、そこに駆けつけたのはダークザギを追って時空を超えてきたウルトラマンノアでした。
ノアは自分は大昔から全宇宙を守っていた存在であり、ウルトラマン達をずっと見守ってきた存在であることを明かした上で、ダークザギこそ怪獣復活を引き起こした張本人であることをウルトラマン達に告げます。ウルトラマンノアはウルトラマン達と協力し、ついにダークザギを宇宙のブラックホールまで追い詰めることに成功します。ブラックホールに吸い込まれそうになりつつも、ひるまずに暴れ回るダークザギ。ノアはウルトラマン達に語ります。
「ダークザギを完全に封じ込めるために、私もブラックホールに行かなければならない。ウルトラ戦士よ、私は必ず帰ってくる!」(ウルトラマンノア)
ノアは再会をウルトラマン達に約束し、ザギが吸い込まれたブラックホールへ向けて飛び立ち、ザギをブラックホールの向こうにある別の世界に閉じ込める大技「ノア・ザ・ファイナル」を使用します。こうしてノアはザギと共に、ブラックホールの中に姿を消していったのでした・・・。
【実は嫉妬深くて戦略家?】身分詐称に自作自演!新宿で暴れたい放題のダークザギとウルトラマンノア、その因縁の決着は?
バルタン星人をはじめとする悪い怪獣達を率いて、ウルトラマンやウルトラセブンですら手に負えなかったザギさん。やっとのことでウルトラマンノアにより別の世界に飛ばされました。彼が行き着いたのは、なんと自分がかつて大暴れしていた宇宙でした。つまり、元にいた宇宙に戻ってきてしまったのです。ここからはいよいよ、『ウルトラマンネクサス(2004)』の物語の世界へと入っていきます。
そこでザギは来訪者達の逃走先である地球へとやって来ます。その理由は大きく2つありました。1つ目は、ザギがウルトラマンノアが地球へやって来ることを予期していたこと、2つ目はザギ自身がウルトラマンノアの模造品であることを認識していたため、ウルトラマンノアを倒して自分が唯一無二のウルトラマンになろうとしていたからでした。この2つを総括するなら、ウルトラマンノアに対するコンプレックスから地球にやって来ていたのです(そういう意味では、かなり人間臭いキャラクターであるとも言えます)。
さて、地球へ舞い降りたザギさん。身長50m、体重5万5千トンの巨体で地球に滞在するわけにはいきません(悪目立ちします)。そこで、歴代のウルトラマンが地球人と一心同体になって地球に長期間滞在したように、日本人科学者である男性(山岡一)に憑依します。山岡を名乗ったザギさん、なんと殺人を犯してしまいます(山岡さんの師である西条波博士)。これにより山岡さんを名乗るわけにいかなくなったザギさんは、山岡時代に自分と接触した人間の記憶を全て消し去り、名前も戸籍も全てねつ造するという、かなり手の込んだ身分の詐称を実施します(もはや異次元レベルの詐欺行為です)。
ザギさんは山岡に代わり、自分を石堀光彦を名乗って、怪獣(スペースビースト)から人々を守る特捜チーム「ナイトレイダー」に入隊します。その当時はザギの予想通り、ウルトラマンノアは地球へ来訪し、人々を守るためにスペースビースト達と戦っていました。しかし、ノアはかつてのザギとの戦いでエネルギーを使い果たしてしまい、「ウルトラマンネクサス」として活動していました。本調子ではないウルトラマンネクサス、言ってしまえば「弱いヒーロー」でした。
ウルトラマンネクサスに変身する人物はひとりではなく、はじめに変身した人、2人目に変身した人、3人目、4人目・・・と変身する人物(適能者)が存在しており、リレー形式で変身する人達が変化しながら、ウルトラマンが進化していく(ノアに戻るために力を取り戻す)ことが特徴でした。しかしながらネクサスは怪獣をよく取り逃がす上、戦いが終われば「ぜえぜえ」と肩を揺らすことも多く、変身している人物達は常に苦悩し、「ウルトラマンになること=過去に罪を犯した自分への罰」とネガティブに捉える者、さらには、自らの命が短いことを悟り、自分は死んでも良いと思って変身する者もいた状況でした。
そこでザギさん、弱かったウルトラマンネクサスがノアに戻るために、戦略的に彼を強化する策を講じます。彼の目的はウルトラマンノアを倒して唯一無二の存在になること。ノアの姿で倒さなければ意味が無いのです。
そのため、わざと怪獣(スペースビースト)を強化したり、自分がウルトラマンノアを模して造られたことに倣い、自分でも悪いウルトラマン達をつくり、彼らを使役してウルトラマンネクサスをノアに戻すための地道な策を講じてきました。ザギが使役した悪いウルトラマン達も、殺された女性を利用して創作した者(ダークファウスト)、さらにその女性を殺害した人物が変身した者(ダークメフィスト)であったりと、正直えげつない背景から誕生した者達であり、ウルトラマンネクサスを苦しめていきました(ちなみに、この展開が描かれた特撮ヒーロー番組『ウルトラマンネクサス(2004)』の放送時間帯は毎週土曜日朝7時30分。朝番組にも関わらず怪奇やホラー描写も多用され、救いようのない展開も続出し、もはや深夜番組並みのシリアスさでした)。
次々に展開される激しい戦いを乗り越え、ウルトラマンネクサスは強いウルトラマンへと成長していき、ザギが期待する戦闘レベルにまで達しました。この瞬間を待っていたとばかりに、ザギ(石堀光彦)は勤務先であるナイトレイダーを見限り、自分に思いを寄せていた同僚の女性隊員にも発砲し、基地を脱走してしまいました。
石堀はダークザギとして復活し、新宿の街で破壊の限りを尽くします。その前に立ち塞がったウルトラマンネクサス相手に戦いを挑むザギ。数々の苦しい戦いを経験してきたネクサスですが、強すぎるダークザギを相手に圧されます。しかし、その戦いを見守る新宿の人々の声援を受け、ネクサスはついに本来の姿であるウルトラマンノアへと姿を変えます。
これは想定外だったザギさん。喜ぶべきか身構えるべきか、ウルトラマンノアを倒して自分が唯一無二となるためにノアに戦いを挑みます。
・・・ところがノアは強すぎました。戦闘は圧倒的な強さであるウルトラマンノアのペースで進み、最後にザギさんは宇宙空間まで放り出されます。そして、ノアが放った必殺光線を受け、宇宙で雄叫びと共に爆発四散するのでした。
戦いを終えたウルトラマンノアは、その後地球からたくさんの宇宙へと活躍の場を広げます。ある時はウルトラセブンの息子に新たな力を与え、またある時はウルトラマン一族と対立する他の一族との間の仲歳に入り、相互理解を薦めることもありました。大昔から宇宙を守り続け、ウルトラマン達の活躍もずっと見てきたというノア。もしかしたら、今も地球をはじめ、宇宙のどこかで戦い続けるウルトラマン達の活躍を厳しくも温かな目で見守り続けているのかも知れません。
いかがでしたか?今回はハロウィンの時期に併せて、冥王・ダークザギについてお話をしてきました。そのビジュアルと「ラスボスはウルトラマンの隊員だった!?」という強烈なインパクトから、数あるウルトラマンシリーズの悪役の中でも名悪役の座を不動のものにした彼。宜しければ、来年誕生20周年を迎える『ウルトラマンネクサス(2004)』の物語(外部リンク。コンテンツ配信サイト「TSUBURAYA IMAGINATION」)をチェックしてみて下さいね。
(参考文献)
・佐々木健夫、『ディズニーファン11月号増刊「ディズニーハロウィーン」完ペキ紹介号』、株式会社講談社
・小野浩一郎(エープロダクション)、『ウルトラマンノア シール101絵本』、株式会社講談社
・松井聡・中門努(てれびくん編集部)、『小学館のテレビ絵本 ウルトラマンノア』、小学館
・間宮尚彦、『ULTRAMAN “N”の全貌』、バンダイビジュアル株式会社
・椎名高志、『ウルトラマンネクサス』、株式会社小学館
・堤哲哉+EPY、『ウルトラヒーロー完全ガイド 1966-2012』、株式会社メディアックス
・鈴木洋一、『テレビマガジン特別編集エクストラ 講談社ヒットブックス ULTRAMAN NEXUS THE DUNAMIST』、株式会社講談社
・杉田篤彦、『ファンタスティックコレクション ウルトラマンネクサス NEXUSEED』、株式会社朝日ソノラマ