湿疹やアトピー性皮膚炎と類似した皮膚悪性腫瘍 - セザリー症候群の症状と最新治療法
セザリー症候群は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の一種で、比較的まれな疾患です。CTCLの中でも、菌状息肉症に次いで2番目に多いのがセザリー症候群です。セザリー症候群は、全身の皮膚に紅斑(発赤)が広がり、リンパ節が腫れ、血液中に異常なT細胞が出現する特徴があります。
CTCLの発症頻度は年々増加傾向にありますが、依然としてまれな疾患であるため、診断の遅れが課題となっています。セザリー症候群の皮膚症状は、湿疹やアトピー性皮膚炎など一般的な皮膚疾患に似ているため、見過ごされやすいのです。早期発見と適切な治療が予後改善につながるため、皮膚症状が長引く場合は皮膚科専門医への相談が大切です。
本記事では、セザリー症候群の原因や症状、最新の治療法について解説します。皮膚の異変を感じたら、ためらわずに専門医に相談しましょう。
【セザリー症候群の原因と症状】
セザリー症候群の正確な原因は分かっていませんが、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)や特定の薬剤が発症の引き金になると考えられています。
セザリー症候群の主な症状は以下の通りです。
- ・全身の皮膚の発赤(紅斑)と痒み
- ・リンパ節の腫れ
- ・血液中の異常リンパ球(セザリー細胞)の増加
これらの症状は、一般的な皮膚疾患(特に湿疹やアトピー性皮膚炎)と似ているため、診断が難しいことがあります。確定診断には、皮膚生検や血液検査が必要です。
【セザリー症候群の診断基準】
セザリー症候群の診断基準は、国際皮膚リンパ腫学会(ISCL)によって定められています。以下の5つの基準のうち、1つ以上を満たす場合にセザリー症候群と診断されます。
- 1. 血液1mm³あたりのセザリー細胞が1,000個以上
- 2. CD4/CD8比が10以上
- 3. フローサイトメトリーでのT細胞マーカーの異常発現
- 4. 血液中のT細胞クローンの増加
- 5. 染色体異常を伴うT細胞クローンの存在
【セザリー症候群の治療法】
セザリー症候群の治療は、皮膚科、血液内科、放射線科など複数の診療科が連携して行います。治療法は病期や症状に応じて選択されますが、一般的には以下のような方法が用いられます。
- ・皮膚への治療(ステロイド外用薬、光線療法など)
- ・全身療法(レチノイド、分子標的薬、抗体薬など)
- ・化学療法
- ・造血幹細胞移植
近年、セザリー症候群に対する新たな治療薬の開発が進んでいます。例えば、CCR4抗体薬のモガムリズマブは、再発・難治性の皮膚T細胞リンパ腫に対して高い効果が報告されています。また、PD-1抗体薬のペムブロリズマブも、再発・難治性のセザリー症候群に対する有効性が示されています。
セザリー症候群は進行が速く、予後不良な疾患ですが、早期発見と適切な治療により生存期間の延長が期待できます。皮膚の異常が長引く場合は、皮膚科専門医への相談をおすすめします。
参考文献:
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