高齢者のテレビへの熱中ぶりが明らかに…世代・時間帯別でテレビがどれだけ利用されているか
従来型大手メディアの中でも最大の市場規模と発信力を持つテレビ。とりわけ高齢者がよく利用していると言われているが、その実態はどのような状況なのだろうか。テレビ番組の視聴状況を総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果から確認していく。
今件の「行為者」とは10分以上連続して利用した人のことを指す。そしてテレビ(生)に該当する行為とは、テレビ番組のリアルタイムによる視聴を意味する。パソコンのチューナー利用による視聴やモバイル端末によるワンセグ視聴も含まれる。
まずは平日。就業中や授業中にテレビを観る機会はあまり想定できないため、日中は押し並べて値は低い。
それでも10代と比べて20代から50代で高めの値が出るのは、無職の人や専業主婦の人がいるから。報告書の詳細データには男女別の値も掲載されているが、それを見ると日中における就業世代の値は押し並べて女性の方が高い。10代は学校の授業で観る機会はほとんどないものの、大学生で授業が休みの場合もあるため、ゼロでは無い。一方20代以降は12時台でやや高めの値を示しているが、これは昼食の休憩時間に外食先でテレビを視聴する、あるいはワンセグなどを利用する機会があるからだと考えられる。専業主婦などはお昼時に食事がてらにテレビの番組を観る機会も多いだろう。
10代は学校が終わる16時ぐらいから、20代から50代は仕事が終わる18時ぐらいから急上昇の動きを示す。学校の方が終わる時間は早いため、成人よりも上昇タイミングが早いのは興味深い。そして夕方から夕食時にかけて上昇は続き、夕食とその後の家族団らん的なリラックスタイムまで視聴は続く。21時から22時がピークで、それ以降は24時にかけて急激に行為者率は下がる。10代は早めの就寝時間の人もいるため、ピークは20時台。
そして60代だが、朝食以降値が低下するのは他の世代と変わらないものの、低下しても一定率はテレビを観続ける。回答時点で就業している人もいるが、多分に定年退職を迎えて自宅でテレビを観ている人がいるからに他ならない。昼食時の上昇、夕方以上の上昇も他世代と同じ傾向だが、日中も仕事などに従事をする必要も無く、視聴続けている人が居るために、底値が高い。ただしテレビから離れて就寝をする時間は他の世代より早く、ピークは20時。23時以降の動向も10代とあまり変わらず、「行為者率そのものの差は大きいが、視聴動向は10代と60代で似通っている」と表現することもでき、納得のいく動きをしている。
これが休日になると少々趣を変える。
就業・授業の枠が取り払われるために世代別視聴傾向は同じになるように思える。実際、世代別の差異はあるものの、ピークなどは大きな違いが無い。大よそ歳を経るほど行為者率は高く、若年層ほど低い。休日でもテレビよりも他に、することがあるのだろう。ただし夕方や夜の番組時間枠では10代と20代の行為者率は逆転しており、この時間帯の子供向け番組にくぎ付けとなっている動向がつかみ取れる。
10代から40代までは早朝に大きく上昇し、お昼時にやや増加する以外は、夕方まで大よそ一定率を示し続けている。休みの日は一日テレビを観ながらのんびりと過ごしているのかもしれない。
60代はといえば視聴傾向そのものは他世代とさほど変わらないものの、行為者率そのものは他世代より高く、さらに平日の60代よりも高い。休日はより多くの人がテレビ番組に夢中のようだ。
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