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「漫画みたい!」デーブ・スペクター氏も感動 韓国”超絶ジャンプ始球式”の美女アスリートは何者?

韓国プロ野球SSGレイダース公式サイトより

全米、とはいかなくともデーブ・スペクター氏は少なくとも感動した。

フォロワー数189.8万、御本人のTwitterで11日にこうつぶやいたのだ。

いいね!の数1083が多いのか少ないのかは不明だが、ここで紹介された1週間前の<韓国超絶始球式>の情報がじわりじわりと海外でも反響を呼んでいる。

デーブ氏の投稿も始球式から3日後の11日だったが、韓国でも反響が反響を呼び、おととい13日頃まで「優雅に舞い、豪速球でまとめた」といった関連記事の報道が相次いだ。

空中でクルッと回って”ノーバン”に成功した美女の正体は…

キム・イェリム(Kim Yelim/金藝林/김예림)。

韓国の女子フィギュアスケート選手だ。先の北京冬季五輪に出場し、個人9位となった。

さる4月8日、韓国プロ野球のSSGランダースーKIAタイガース戦(SSGのホーム開幕戦)に招待され、始球式を披露。マウンドを降り、打者にやや近い位置から氷上ばりのダブルアクセルを入れて投じたのだ。

彼女はいったい、何者なのか。

キム・ヨナキッズとも呼ばれた19歳

2003年1月23日生まれの19歳は、パフォーマンス直後に球団オフィシャルYouTubeに対してこうコメントしている。

「いつもウォーミングアップでやっている動作なので、難しくはなかったです。ただ多くの方が見ていらっしゃる前でやるのはちょっと緊張しました~」

写真:エンリコ/アフロスポーツ

身長170cmの細身から繰り出される柔軟でかつ優雅な演技で知られる。

キム・ヨナと同じソウル郊外の京畿道軍浦(グンポ)市出身。高校も同じスリ高校。所属事務所も同じで、コーチも同じ(一部)という有望株だ。「ヨナキッズ」とも呼ばれ、幼少期には豊富なジャンプの種類をこなすことでも知られた。2021-22シーズンには4大陸選手権で銅メダル獲得の実績もあり、北京五輪当時はユ・ヨンにつぐ”韓国2番手”との評価だった。

「ニックネームは”フィギュア将軍”、”イェリム将軍”なんです。優雅に見えて、気が強い。先の北京五輪でもショートプログラムで自身のパフォーマンスに満足が出来なかったか、リンクを去る際に”チッ”と顔をしかめる表情が話題になりました。ギャップ萌え、ですね」(韓国スポーツ紙記者)

”ギャップ萌え”の幼少期インタビュー、ワリエワもバッサリ

子どもの頃にもその片鱗を見せていた。2016年、小学生の頃にKBSのニュース番組に出演。国際大会での結果が振るわなかったことについて聞いたキャスターとのやりとりも話題になった。

――自分が金メダルだ、と思ったはずなんですが、ちょっと残念ではありませんでしたか?

「残念だというよりは(ちょっと笑う)、私は常に試合をする時、点数や順位よりも『自分がやるべきことだけをやろう』といつも考えているので、残念だということはなかったと思います」

あまりに堂々とした態度に、キャスターは思わず「ああ、そうですか。聞いた私が申し訳なくなりますね...」と返すしかなかった。

  • 韓国メディアMBCも「これがフィギュア将軍様の始球式だ!」

また北京五輪の現場では、共同取材エリアでロシアのワリエワ

のこと(ドーピング疑惑がありながら大会に出場)を聞かれ、バッサリと答えた。

「実際のところそんなに気分のいいことではありませんね。同じ選手として少し不公平なことなので、それについて別によくは思っていません」

なかなかのギャップだ。ちなみに日本との縁は、2016年9月のジュニアグランプリ大会に出場経験がある。またコーチのひとりシン・ヘスク氏は高校時代に日本に留学して技術を磨いた。同コーチが「新百合ヶ丘に住んでいたのよ~」とペラペラの日本語で話しているのを聞いたことがある。

なんでそんな始球式を??

…そんな彼女が、地上でも華麗に舞ってみせた。なぜそんな始球式を? という質問に対し、球団公式YouTubeにこう答えている。

「フィギュア選手としてお見せできる、空中で2回半程度の回転をする美しい振付をした後、パワフルな投球ができたらな、と思いました」

「自分でも考えましたし、先生にもサポートを申し出て一つの作品のように考えてやりました」

なお埼玉県上尾市在住のデーブ・スペクター氏以外にも、「ニューヨーク・ポスト」のメジャーリーグ専門コラムニスト、ジョン・ヘイマン氏もこの始球式を絶賛したと韓国メディアは伝えている。

「100万ドルの価値がある」

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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