脱北者、外国系住民、性的少数者…マイノリティを巡る韓国国民の視線の変化
韓国の行政安全省の先月の発表によると、韓国に在住する外国人住民(帰化者を含む)は約225万8248人で、総人口に占める割合は4.4%に達した。コロナ前の約222万人を上回り、史上最高となった。
外国人住民が総人口の5%以上を占める「多文化都市」は全国の226の基礎団体(市町村に相当)のうち97に達し、最も外国人の割合が高いのは、ソウル郊外の京畿道(キョンギド)安山(アンサン)市で、118カ国出身の外国人10万1850人が居住し、人口の14%を占める。
数は増えていても、韓国国民が外国人労働者や移民に抱くイメージが改善したとは言い難い。
今月15日に韓国統計庁が発表した、「2023年韓国の社会動向」報告書によると、外国人労働者や移民を「受け入れられない」とした人は10.0%で、過去10年で多少の増減はあったものの、ほぼ横ばいだ。ただ、「隣人として受け入れる」は29.8%で、2013年の44.0%から大幅に減少している。その一方で、「職場の同僚として受け入れる」は42.3%で、2013年の29.4%から増加している。
(参考記事:コンビニ女性店員暴行事件に見る「ヘイトの時代」に入った韓国)
一方で、脱北者に対する心理的ハードルや偏見は、外国人に対するもの以上に高い。
脱北者を「受け入れられない」とした人は22.2%で、2013年の19.9%より多少増えているが、2021年の25.0%よりは減少している。また「隣人として受け入れる」「職場の同僚として受け入れる」も増減を繰り返している。
これは、南北関係の改善や悪化が“受け入れ度”に影響を及ぼしているものと思われる。北朝鮮という抑圧体制から逃れてきた人が、南北関係の影響を受けるのは非常に皮肉と言えよう。
(参考記事:韓国で教授となった脱北者が求める「差別解消」)
この調査は、性的少数者(LGBTQIA+)についても調査を行っている。性的少数者を「受け入れられない」とした人は55.9%で、2013年の62.1%より減少傾向にあるものの、外国人労働者、移民や脱北者に比べても非常に低い。