FRBは景気・物価予測を見誤り、利上げを再加速か
上院銀行委員会で半期に1度の議会証言に臨んだパウエルFRB議長は「最新の経済データは予想より強く、金利の最終到達水準が従来想定を上回る可能性が高いことを示唆している」と発言。「経済データが全体として、より速い引き締めを正当化するのであれば、利上げペースを加速させる用意があるだろう」と述べた(8日付ブルームバーグ)。
これを受けて、FRBは次回3月21、22日のFOMCでは0.25%ではなく0.50%の利上げとなることが想定される。どうやらFRBは景気の動向予測をやや見誤っていた可能性が出てきた。それは2月に発表された経済指標などからも窺える。少し振り返ってみたい。
2月3日に発表された1月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比51.7万人増と予想を上回り、失業率は3.4%と53年ぶりの水準に低下、労働需給の引き締まりが改めて意識された。
これを受けてアトランタ連銀のボスティック総裁は2月6日に、政策金利のピークを従来予測よりも高めに引き上げる必要が生じる可能性を指摘した。また、パウエル議長もFRB議長は1月の雇用統計について、あれほど強いとは予想していなかったと述べ、力強い経済指標によってインフレ低下の進展が脅かされれば、金利を予想以上に引き上げる必要があるかもしれないと述べていた。
8日にFRBのウォラー理事が講演で、インフレ抑制について長い戦いになるかもしれないと、金融引き締め継続を示唆。ニューヨーク連銀総裁も引き締め的な金融政策を継続する必要があると述べた。
14日に発表された1月の米消費者物価指数は、前年同月比6.4%上昇と予想を上回った。リッチモンド連銀総裁は、さらなる行動が必要になるかもしれないと発言。ダラス連銀総裁は政策金利を想定よりも高い水準に引き上げる必要があるかもしれないと発言した。
15日発表の1月の米小売売上高は前月比3.0%増と2年ぶりの大幅増となり予想も上回った。また、2月の米住宅市場指数は2020年半ば以来の大幅な伸びとなった。
16日発表の1月の米卸売物価指数は前月比0.7%上昇と上昇に転じ、予想も上回った。エネルギー・食品を除くコア指数も予想以上に上昇した。
22日に発表された1月31日~2月1日開催のFOMC議事要旨ではほとんど全ての参加者が0.25%の利上げに賛成した一方、少数の参加者が0.5%の利上げを主張していたことがわかった。
23日に発表されたFRBがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は1月、総合指数および食品とエネルギーを除くコア指数が共に予想を上回る伸びに。
3月2日に発表された10~12月期の米労働生産性指数確定値で単位労働コストの伸びが上方修正され、昨日の米国債券市場では、全ての年限で利回りが4%を上回った。