【国立市】祝!復元3周年 市民に愛される赤い三角屋根の「旧国立駅舎」の魅力
1926(大正15)年に創建された赤い三角屋根がトレードマークの旧国立駅舎。長い歴史の中で増改築が行われながらも市民の通勤・通学を見守ってきました。2006(平成18)年に、JR中央線の立体高架化工事のため駅としての役目を終え、一旦解体されましたが、復活を望む市民の声が多く、市の指定有形文化財として再築工事が行われました。
2020(令和2)年、“赤い三角屋根の旧駅舎”が創建された当時の姿を再現し、市の公共施設として復活しました。この4月で3周年となります。“まちの魅力発信拠点”の役割を担うこの旧国立駅舎そのものが、市民に愛される魅力的な施設となっています。
JR中央線国立駅を降り、南口すぐの場所に旧国立駅舎のエントランスがあります。自動ドアを入ると、年代によっては懐かしい「改札」が出迎えてくれます。
昔の改札を復元し、展示しています。駅員さんにパチンと硬券に鋏を入れてもらい、ホームへ入っていった時代が懐かしく感じます。
旧駅舎へ入ると、明るく天井の高い空間が広がります。壁際の長ベンチとドーナツ型の丸いベンチが特徴的な「広間」です。今ではすっかり市民におなじみの待ち合わせスポットです。写真などの作品展示やミニコンサートが行われるイベントスペースにもなります。昨年はコミュニティウエディングが開催され、居合わせた市民からもあたたかな祝福を受け、大きな話題となりました。
かつての小手荷物室は、現在、国立や旧駅舎の歴史を紹介する「展示室」になっています。まちの変遷を伝える写真や年表などのパネルや、青焼きの図面、実際に使用されていた瓦や柱など貴重な資料が展示されています。
旧国立駅舎の模型です。柱は解体された後に保管され、再築工事の際には1本1本寸法や強度を確認し、7割ほどの木材を再び使用しています。再築にあたっては、当時と同じ工法で宮大工の手によって再び組み上げられました。
また、展示ケースの下に使用しているのは、ドイツ製のレールです。1887年にドルトムントの製鉄所で作られ、駅で資材として使用されていたレールを、再び活用しています。
展示室で流れる20分ほどの映像では、国立の歴史を知ることができ、旧駅舎の工事中の様子など、貴重な動画を見ることができます。この映像は国立市チャンネル「旧国立駅舎-赤い三角屋根の軌跡-」でも見ることができます。
広間から見た出札室。切符売り場の窓や大理石のカウンターなど大正時代のデザインも再現されています。さらにその奥は駅長室。右手は小手荷物室のカウンター。現在のように宅配サービスがない時代には、駅は荷物を送るための重要な拠点だったんですね。
出札室の内側は、現在、国立市観光まちづくり協会が運営する「まち案内所」になっています。インフォメーションカウンターでは、スタッフが常駐し市内の案内を行うほか、アンテナショップとして地元の特産品やお土産の販売も行っています。各種マップやイベントのチラシも配布していますので、国立散策のスタート地点として情報収集する場所として最適です。
広間の大扉から正面に出ると、庇の下の柱にもレールを使用しています。アメリカ製、イギリス製、日本の八幡製鉄所で作られたレール柱です。庇のまわりのデザインや、上げ下げ窓も特徴的です。時代を感じる旧駅舎を背景に、入学式や卒業式、成人式などの記念撮影をしている姿をよく見かけます。
国立は、春は桜並木、夏の新緑、秋の銀杏並木、冬のイルミネーションと四季折々の風景が楽しめ、カフェや雑貨店なども多く、お散歩にぴったりなまちです。JR中央線の国立駅に降り立ったら、まずはこの旧国立駅舎へどうぞ。国立散策への第一歩となる場所です。
旧国立駅舎
東京都国立市東1-1-69(JR中央線国立駅南口すぐ)
開館時間
平日 広間 7:00~22:00/まち案内所・展示室 10:00~19:00
休日 広間 9:00~22:00/まち案内所・展示室 9:00~19:00
入場無料
国立市旧国立駅舎特設サイト