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平日では21時から寝る人が増加、日曜は夕食時8割が自宅にいる…自宅にいて寝ている時間と起きている時間

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 人はいつ自宅で寝ているのだろうか。(写真:アフロ)

日中は学校や仕事場に足を運んで夜までには帰宅する人、ほぼ一日中自宅に戻らず働いている人、自宅内で仕事を行う自営業の人、定年退職を迎え悠々自適な生活を過ごしている人。多様な事情により、自宅にいる・いないの度合いは大きく異なる。今回はNHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書を基に、平日と休日それぞれにおいて「どれくらいの人が自宅にいるか」に関して、寝ている・起きているそれぞれの状況への区分をした上で確認していくことにする。

一般の人における生活の最大拠点は自宅(現在居住地)。私物の多くは自宅にあり、会社勤めや学生も、多くの時間を自宅で過ごす。一方で自宅での時間経過は「起きている状態」と「寝ている状態」に区分が可能。生活様式の観点において「自宅にいる」場合でも、「起きている」「寝ている」と状態が違えば、可能なことは違ってくる。起きていれば大抵のことは可能だが、寝ている最中には睡眠以外の行動はできない。

公開値には単なる「睡眠」以外に、「在宅」「起床在宅」の値がある。「在宅」のうち「起床在宅」以外は「睡眠在宅」しかあり得ないから、「在宅」の値から「起床在宅」の値を引けば「睡眠在宅」の値を算出できる。この値と単純な「睡眠」は一致しておらず、「睡眠」には自宅以外での就寝(仕事場などでの仮眠が該当するのだろう)が含まれているのが分かる。今回は「自宅における生活様式を在宅の観点から把握する」のが目的のため、「起床在宅」と独自算出した「睡眠在宅」を用いる。

早速平日、そして日曜の動きを確認する。

↑ 在宅行為者率(平日、状態別)(2020年)
↑ 在宅行為者率(平日、状態別)(2020年)

↑ 在宅行為者率(日曜、状態別)(2020年)
↑ 在宅行為者率(日曜、状態別)(2020年)

休日と比べて平日の在宅行為者、つまり在宅率が低いのは(単純加算すると平日は3033.5%、休日は3456.3%)、会社勤めの人や学生が自宅にいないため。自由業などの自宅勤務者や主婦、定年退職者、夜間勤務者などは昼間にも在宅していることになるが、3割程度しかいない。そしてそのほとんどは起きており、寝ている人はごくわずか。

自宅にはいるが「睡眠在宅」に該当する、つまり寝ている人が増えてくるのは平日では21時あたりから。未成年や高齢者はこの時間帯から床に就くようだ。

一方平日と日曜のグラフを比べると、日曜の方が面積、特に青の部分が多い。これはお休みの日は就業者や学生も日中自宅にいる場面が多いことを意味している。特に日曜の夕食時の「起床在宅」は日曜の1日中の中でも、そして平日と比較した上でももっとも高く約8割を示しており、家族団らんの夕食、そしてその後のリラックスタイムを過ごしている状況が想像できる。

今回のグラフ・値はそれ自身が興味深いものであるが、同時に他の生活・行動様式との関連における検証の材料としても有意義なものとなる。例えば家庭における節電対策・効果を検証する際、待機電力対策のような「放置していても打てる手立て」は別として、その世帯の居住住宅に誰かがいないとできないものも少なくない。それらの効用を試算する時に、特にピークタイムとの兼ね合わせを考える場合に、有意なものとなるはずだ。

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※2020年国民生活時間調査

住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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