【神戸市兵庫区】日本のマゼラン「高田屋嘉兵衛」ゆかりの地が点在する西出町交差点周辺をぶらぶら
兵庫津は、かつての大和田泊を起点に西国街道が交わり、宿場町、門前町として栄えた神戸の原点とも言える地。平清盛をはじめ、兵庫運河を開設した神田兵右衛門、北前船交易の工樂松右衛門など、名だたる兵庫商人を輩出しています。中でも「高田屋嘉兵衛」は誰もが耳にしたことある人物ではないでしょうか。その高田屋嘉兵衛ゆかりの地が兵庫区の西出町交差点から半径200m以内に点在しています。
西出鎮守稲荷神社
まず、西出町交差点のすぐそば、国道2号線沿いにあるのが「西出鎮守稲荷神社」。地元では「ちぢみさん」と呼ばれて親しまれていますが、こちらには、1824(文政7)年に高田屋嘉兵衛が奉納した石灯籠があります。
淡路島出身の高田屋嘉兵衛がこの地にやってきたのは1792(寛政4)年。22歳の時に兵庫で船乗りの修行をした後、樽廻船の乗組員となり、西廻り航路で交易する廻船業(海運業)に乗り出しました。
その後、28歳にして当時としては国内最大級の1,500石積みの「辰悦丸」を建造。寂しい漁村に過ぎなかった函館(旧箱館)を商売の拠点として北前船貿易で巨富を稼ぎ、豪商となったのです。
この石灯籠は、1824(文政7)年、高田屋嘉兵衛が海上安全を願って献上したもの。文政7年というと、嘉兵衛はすでに淡路に隠居しているのですが、自分を育ててくれた西出町に深い思い入れと感謝の念があったのでしょう。
ちなみにこの「鎮守稲荷神社」には、日本で2番目に古いビリケンさんもいます。
詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
ビリケンさんは通天閣だけじゃない、日本最古のビリケンさんが神戸に2体も!
七宮神社
西出町の交差点から少し南に歩いたところには、高田屋嘉兵衛ゆかりの社「七宮神社」があります。
歩道橋の直ぐ側です。
1799(寛政11)年、高田屋嘉兵衛は幕府の命で巨船を造り、クナシリ・エトロフ航路を開きました。辰悦丸を含むその航路の模型船3隻を「七宮神社」に献納して海上安全を祈願しました。それ以降、多くの廻船業者は、この神社で航海安全を祈願したと伝えられています。
残念ながら、神戸大空襲の戦災で社殿及び宝物はすべて焼失し、模型船などは現在こちらには残っていません。
高田屋嘉兵衛本店の地
「七宮神社」から東方向に250mほど歩いたところには「高田屋嘉兵衛本店跡地」があります。また、斜向かいの「竹尾稲荷神社」の境内には高田屋嘉兵衛の顕彰碑が建立されています。
本店の地を示すこの石碑の西側あたりには、明治中期まで船入り江があり、船入り江を望むように高田屋の本店や倉庫などが建ち並んでいました。本店の他に、大坂・江戸・函館(旧箱館)にも支店を構えています。
1869(明治2)年当時の地図を見ると、すぐ近くに船入り江があったことがよくわかります。高田屋嘉兵衛が引退する1822(文政5)年まで、本店がこの西出町に置かれており、兵庫津の繁栄に寄与しました。
「高田屋嘉兵衛本店跡地」は、「高田屋嘉兵衛献上灯籠」、北前船の錨などの資料が収蔵されている「神戸海洋博物館北前船収蔵資料」などとともに、日本遺産のストーリー39「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~」の構成遺産の一つとなっています。
「高田屋嘉兵衛」は、教科書でしか知らないという方も多いかもしれませんが、神戸駅から徒歩約15分の西出町交差点周辺には嘉兵衛ゆかりの地が点在。その偉業を今に伝えています。お買い物のついでにでも、少し足を延ばしてこのあたりをぶらぶら歩いてみてはいかがでしょう?
この周辺には兵庫津の歴史遺産が数多くあり、わかりやすい標識、案内板が随所に設置されています。
東山魁夷旧居跡と兵庫津松尾稲荷神社については、下記の記事で詳しくご紹介していますので、併せてお読みください。
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また、兵庫津についてはこちらの記事も。
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基本情報
スポット名:西出鎮守稲荷神社・七宮神社・高田屋嘉兵衛本店の地
アクセス:JR神戸駅から徒歩約15〜20分
神戸市公式サイト 「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」
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