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日本は4割が「景気は良い」…アジア諸国の景況感の現状と将来の見通しをさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ いまの景気は良いか悪いか。アジア諸国の人に聞いてみた(ペイレスイメージズ/アフロ)

景気は多分に個々の景況感によって左右される。現状と今世紀に入ってからのアジア諸国の景況感を、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年6月に発表した公開調査報告書「Global Publics More Upbeat About the Economy」(※)から確認する。

次に示すのは今件報告書で各値が公開されている国のうち、アジア地域に該当する日本、インドネシア、インド、オーストラリア、フィリピン、韓国における、それぞれ自国の現在の景況感を「とても良い」「良い」「悪い」「とても悪い」の4選択肢から選んでもらい、そのうち前2つ、つまりポジティブな印象を持つ人の回答率を合算したもの。経年変化のグラフでは、調査年によっては調査対象となっていない国もあるため、一部の国ではグラフが中途半端なものとなっている。

↑ 自国の現在の景況感(とても良い+良いの回答率、2017年)(アジア)
↑ 自国の現在の景況感(とても良い+良いの回答率、2017年)(アジア)
↑ 自国の現在の景況感(とても良い+良いの回答率)(アジア)
↑ 自国の現在の景況感(とても良い+良いの回答率)(アジア)

直近では一番高い値を示しているのはインド、次いでフィリピン、インドネシア。日本は41%に留まっている。概して新興国の方が景況感にポジティブな印象を持つ人が多い。

経年変化ではフィリピンやインドネシアが現在の高値に達するまでに、順調な値動きを示していたことが分かる。国民自身が経済の伸長を実感していることの表れなのだろう。インドの調査が2013年以降となっており、それ以前の動向が確認できないのは残念。恐らくはフィリピンなどと同じ傾向と考えられる。

日本はリーマンショックや震災、歴史的円高に伴う落ち込みと、その後の政変により復調しつつあるのが把握できる。他方韓国は金融危機前から下落を示しており、リーマンショック後には早くも立ち直っているが、日本の復調とほぼ同じタイミングで天井感、そして下落に転じている。

同じ諸国に対し、今現在の子供が大人になる頃に、自国経済の実情は今よりも良くなっているか・悪くなっているか・変わらないかの3択で尋ね、良くなっているとの回答率を示したのが次のグラフ。今件設問は2013年以降に設けられているので、経年変化は2013年以降のものしかない。

↑ 今の自国の子供が成長して大人になる頃、自国の経済は今と比べてどのように変化しているか(「良くなっている」率)(2017年)(アジア)(アジア)
↑ 今の自国の子供が成長して大人になる頃、自国の経済は今と比べてどのように変化しているか(「良くなっている」率)(2017年)(アジア)(アジア)
↑ 今の自国の子供が成長して大人になる頃、自国の経済は今と比べてどのように変化しているか(「良くなっている」率)(アジア)
↑ 今の自国の子供が成長して大人になる頃、自国の経済は今と比べてどのように変化しているか(「良くなっている」率)(アジア)

こちらも概して新興国の方が将来への見通しも明るく、先進国の方がネガティブな結果が出る傾向がある。国民性や伸びしろや、昨今の経済の景況感の継続性など、国によって理由は多種多様だろうが、大よそ先進国・新興国それぞれで同じような値動きをしているのは興味深い。

経年変化では元々日本が今回挙げた国の中ではもっとも低いが、少しずつ上昇中なのが注目に値する。他方、韓国やオーストラリアは減退中。フィリピンやインドネシアは横ばい、インドはほぼ上昇傾向にある。

実際に経済そのものが伸長しているか否かは各種経済指標から推し量る必要があるのだが、国を構成する国民の心境は大きな影響を与えることになる。現在はもちろん、将来への展望でも、良い見通しを覚える施策を願いたいものだ。

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※Global Publics More Upbeat About the Economy

直近分は2017年春に91か国の18歳以上の該当国国民に対し行われたもので、有効回答数は各国約1000件ずつ。原則は電話によるインタビュー形式での調査方式だが、一部の国では対面方式で実施されている。各国の国情(年齢、性別、教育、地域)などに従ったウェイトバックが実施されている。過去もほぼ同条件で実施されている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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