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梅雨は事故に注意! 「フロントウインドウ」や「ワイパー」など、雨の安全運転に必須なクルマの対策は?

平塚直樹自動車ライター
梅雨時期に視界確保や思わぬスリップを防ぐクルマの対策を紹介(写真:写真AC)

事前にやりたい視界の悪化や思わぬスリップを防ぐ対策

なにかとクルマの事故が起こりやすい梅雨の時期。雨が降り続くことで、視界が悪くなったり、路面がスリップしやすいなどが主な要因で、運転にも細心の注意が必要となります。

特に、雨中の夜間運転は、昼間よりも視界が悪くなることで、歩行者や自転車に乗っている人を発見しづらくなり、人対クルマの事故も起こりやすくなるといいます。そのため、運転中の視界確保はかなり重要です。

雨中の夜間運転は余計に視界が悪くなる(写真:写真AC)
雨中の夜間運転は余計に視界が悪くなる(写真:写真AC)

また、雨で滑りやすくなった路面では、例えば、タイヤが摩耗していると、余計に滑りやすくなり、交通事故も起こりやすくなるもの。ただでさえ雨は運転しづらいのに、クルマの装備が万全でないと、余計に危険になってしまいます。

そこで、ここでは、特に、雨の日に、安全で快適な運転をするためのクルマ対策について、いくつか紹介してみたいと思います。

ウインドウの油膜などを除去する

まずは、安全な視界を確保するための対策。これには、フロントウインドウやサイドミラーなどをきれいにしておくことが挙げられます。

特に、クルマのガラスに油膜などがあると、雨中の夜間運転で、対向車のヘッドライトに照らされた際にギラギラとガラス面が反射してしまうことがあります。そうなると、かなり視界が悪くなり、運転に支障をきたすだけでなく、歩行者などの発見も遅れてしまいがち。油膜取り剤などを使ってきれいに除去しましょう。

また、事前に撥水コーティングをしておくことも効果的。コーティングが水をはじいてくれることで、視界を確保しやすくなります。

フロントウインドウなどは、油膜を除去するほか、撥水コーティングを施すことも視界確保に効果的(写真:写真AC)
フロントウインドウなどは、油膜を除去するほか、撥水コーティングを施すことも視界確保に効果的(写真:写真AC)

あと、ワイパーのメンテナンスも大切です。ワイパーには、ゴムの部分とゴムをガラス面に押しつける役割をするワイパーブレードがありますが、どちらも消耗品です。もし劣化していると、雨水や汚れをきちんと拭き取ってくれず、やはり視界は悪化します。

ワイパーゴムは1年に1回、ワイパーブレードも1〜2年に1回は交換した方がいいといわれていますが、もし、それらより期間が短くても、ちゃんと雨などを拭き取らない場合は、早めに交換することをおすすめします。

ワイパーは消耗品なので、早めに交換する方がいい(写真:写真AC)
ワイパーは消耗品なので、早めに交換する方がいい(写真:写真AC)

なお、ワイパーには、ワイパーゴムに特殊な撥水成分を含ませた「撥水対応ワイパー」などもあります。ワイパーがフロントウインドウを往復することでガラス面へ撥水効果が生まれるという製品です。このようなタイプなら、コーティングなどの手間も省けますから、梅雨の時期を契機に試してみるのもいいでしょうね。

ウインドウ内側の曇り対策

雨の日は、ウインドウの内側が曇ってしまうこともよくあります。特に、フロントウインドウが曇ると、前方がよく見えず、事故につながりやすくなるため、注意が必要です。

ウインドウの曇りは、カーエアコンの「デフロスタ」のスイッチを押せば、素早く解消できることが多いですね。窓のマークなどで表示されているスイッチです。基本は外気循環ですが、あまりにも湿度が高い場合は内気循環でやってみるといいでしょう。

写真の場合、デフロスタは「FRONT(フロントウインドウ用)」「REAR(リヤウインドウ用)」と書かれたスイッチとなる(写真:写真AC)
写真の場合、デフロスタは「FRONT(フロントウインドウ用)」「REAR(リヤウインドウ用)」と書かれたスイッチとなる(写真:写真AC)

また、特に、フロントウインドウは、内側もきれいにしておくことも大切です。特に、タバコのヤニやホコリなどが付着していると、水分がガラスにつきやすくなり、曇ってしまいがちです。

掃除方法は、きれいなタオルで水拭きした直後に、乾拭きするだけで大丈夫だといわれています。もし、それでも曇る場合は、市販の曇り止めスプレーなどを使ってみるのも手ですね。

タイヤの溝がないとスリップしやすい

雨の日の運転に限らずですが、走行前にはタイヤのチェックもしておきましょう。特に、タイヤの摩耗度は重要。かなりすり減っていて溝がないようなタイヤでは、晴れの日でもグリップしづらくなります。

しかも、路面が濡れて、余計に滑りやすい雨の日は、かなり危険度が増します。さほど速度を出していないと思っても、カーブなどでスリップしてしまう可能性はかなり高いといえます。

溝のないタイヤはかなり危険(写真:写真AC)
溝のないタイヤはかなり危険(写真:写真AC)

また、溝が少ないタイヤは、高速道路などで起こりやすい「ハイドロプレーニング現象」の要因にもなりやすいと言われています。ハイドロプレーニングとは、タイヤと路面の間に水の膜ができることで、ハンドル操作やブレーキが効かなくなってしまう現象のこと。そうなると、ハンドルを取られたりして制御不能となるし、止まろうとしても止まれなくなる危険性があります。

さらに、もしタイヤに溝があったとしても、ゴムが経年劣化していたら同じく危険です。劣化でタイヤに亀裂や傷があると、そこから空気が抜けて、走行中に適正な空気圧を保たない状態になってしまうことや、最悪はバーストしてしまう危険性もあります。

劣化で亀裂や傷などがあるタイヤはバーストする恐れもあり、雨天だけでなく、晴れの日も危険(写真:写真AC)
劣化で亀裂や傷などがあるタイヤはバーストする恐れもあり、雨天だけでなく、晴れの日も危険(写真:写真AC)

なお、タイヤの溝は、グリップ面にあるスリップサインで確認することができます。タイヤの溝にこのサインが出ていたら、ただちに交換しましょう。また、タイヤに亀裂や傷などがないかなども、同様にチェックし、あればやはり交換することをおすすめします。

豪雨後も危ない場所には近づかない

こうしたクルマの対策は、あくまで「普通の雨」が降ったときのことです。近年、大きな被害をもたらしている線状降水帯などによる豪雨時は、かなり危険なので、クルマの運転は避けましょう。

豪雨のときは、クルマの運転は可能なかぎり避けたい(写真:写真AC)
豪雨のときは、クルマの運転は可能なかぎり避けたい(写真:写真AC)

また、豪雨の最中はもちろん、止んだ直後なども、危ない場所には近づかないようにしたいもの。例えば、雨水が溜まりやすいアンダーパス、水量が増している河川、土砂崩れの危険がある場所などには、くれぐれも近づかないようにしましょう。

アンダーパスは水が溜まりやすいため、豪雨時や直後は通らない方がいい(写真:写真AC)
アンダーパスは水が溜まりやすいため、豪雨時や直後は通らない方がいい(写真:写真AC)

「大丈夫だろう」は絶対に禁物です。クルマの運転や用事よりも、命が最優先なのですから。

*写真はすべてイメージです

自動車ライター

自動車系出版社3社を渡り歩き、自動車、バイクなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスとなる。自動運転や自動車部品、ITなどのテクノロジー分野から、クルマやバイクにまつわる身近な話題、キャンピングカーや福祉車両など、幅広い分野の記事を手掛ける。一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。

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