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北京五輪まであと半年、異例づくしの2021-22カーリングカレンダー(後編)

竹田聡一郎スポーツライター
周知や普及という意味でも女子カーリングにかかる期待は大きい (C)JCA IDE

 北京五輪シーズンとなった今季のカーリング、2021/22シーズンのカレンダー後編も、時系列に追っていきたい。

 五輪イヤーの2022年に入ると、年頭から国内外で大会が集中している。2月の北京五輪の最終調整としての意味合いも強いだろう。

 まず、フィンランド・ロホヤでは1月3日から世界ジュニアB世界選手権が開催される。11月の日本ジュニア選手権(札幌)の勝者が日本代表として派遣されるが、ここで上位入賞すれば3月にスウェーデン・ヨンショーピングで行われる世界選手権への出場権を得ることになる。

 さらにロホヤでは、続く1月17日から2022年世界選手権(男子開催地未定/女子カナダ・プリンスジョージ)の出場権をかけた最終予選が行われる。日本は前編で触れた、11月のパシフィック・アジア選手権(カザフスタン・アルマトイ)で出場権を得られなかった場合はこちらに回る。出場チームは12月にJCA(日本カーリング協会)主催の常呂合宿で決定予定だ。

 同時期、1月11日からカナダではグランドスラムのひとつメリディアン・オープンがアルバータ州カムローズで行われる。シーズン前半の結果にもよるが、日本のチームが招待される可能席も十分にあるだろう。

 国内では軽井沢国際が開催する可能性もある。例年なら年末の風物詩的な存在の同大会だったが、五輪シーズンと新型コロナウイルスの影響を考慮すると今季はスケジュールが定まらないのが現状だ。

 大会事務局は「各大会の日程、各チームの意向を確認しながら、感染状況を鑑みて安全に開催できれば」と慎重に構える。実現できれば北京と同じアジア圏のゲームとあって、軽井沢経由で北京入りする五輪チームもあるかもしれない。いずれにしても感染状況と、入国後の隔離措置などとの調整が必要になってくるだろう。

 2月はついに北京五輪が開幕だ。2月4日の開会式に先駆けて、2月2日から8日までミックスダブルスが行われ、男子は9日から19日まで、女子は10日から20日までの長丁場だ。女子は2大会連続、男子とミックスダブルスは初のメダル獲得に期待がかかる。

 3月に入ると1日からミックスダブルスの日本選手権が札幌で始まる。有観客か無観客かは未定だが、これが五輪の凱旋試合となる可能性が高い。

 また、4日からは北京冬季パラリンピックが開幕するが、残念ながら日本は出場権を獲得できなかった。ミラノ/コルティナ大会で2010年バンクーバー以来、16年ぶりの出場を目指すことになる。 

 欧米では前述のように3月5日からスウェーデン・ヨンショーピングで世界ジュニア選手権があるほか、19日からは女子の世界選手権がカナダ・プリンスジョージで開催される。

 男子の世界選手権は4月2日に、2018年以来4年ぶりにラスベガスで行われる。日本は11月のパシフィック・アジア(カザフスタン・アルマトイ)で優勝するか、1月の最終予選を通過すれば出場権を獲得。出場チームは12月の強化合宿(常呂町)で決定される。

 4月20日からはグランドスラムの「プリンセスオート・プレーヤーズ・チャンピオンシップ」が、今季もオンタリオ州トロントで行われる。同時期に4月23日からはミックスダブルスの世界選手権(場所未定)もあり、3月に札幌で行われた日本選手権の勝者が向かうため、場合によっては選手繰りがイレギュラーになるかもしれないが、選手のスポット的な貸し借りも含め、オールジャパンとして全方位的に世界に挑むのが今季の裏テーマになってくるかもしれない。これがWCF(世界カーリング連盟)主催の世界大会の最終戦だ。

 5月に入り、3日から始まるアルバータ州オールズでのグランドスラムファイナル、キオティ・チャンピオンズカップがツアー最終戦だ。各大会の勝者が招待されるこの大会は、パシフィック・アジア王者、あるいは五輪王者として日本のチームに声がかかる大きなチャンスでもある。

 そしておそらく日本カーリング史上最長のシーズンの大トリは、5月の日本選手権だ。21日から常呂町で開催される。

 昨年の日本選手権優勝チーム、準優勝チームに加え、北海道、東北、関東、中部、西日本の5ブロックの地方予選の優勝チーム、地方ブロックの準優勝チームによるワイルドカード2枠を加えた9チームが出場する。

 長いシーズンではあるが、五輪シーズン特有の盛り上がりが期待できることを考えると、普及という意味では重要なシーズンだ。競技力、広報、育成など、あらゆる面での成長を望みたい。

 そして同時に、五輪シーズンは次の4年のスタートでもある。

 さらにその先のイタリアに向かう4年間の日本代表、五輪代表の選考方法や、そのトライアルの開催時期、開催地などをロードマップとしてある程度でも、今季末、日本選手権の開幕までに4年単位で開示できるのが理想だ。すべての選手が平等に、そして高いモチベーションで2026年の五輪を目指せるように。そして彼らをサポートする団体や企業がビジョンを持って支援を継続してくれるように。

 4年に一度のスポーツをいい意味で脱却するための動きがいまこそ、求められているのではないか。

※新型コロナウイルスの感染状況でスケジュールが変動するため、その都度に追記をする可能性があります

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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