【全スーパー戦隊を巻き込んだ大決戦とは?】海賊戦隊ゴーカイジャーの物語と豪快な海外展開とは?
みなさま、こんにちは!
文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。
厳しい残暑が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、今回のテーマは「海賊」です。
海賊とは「海上を横行し、往来の船や沿岸地方を襲って財貨を強奪する盗賊」と定義されています(広辞苑)。
その歴史は古く、欧米圏では中世以前から近世まで、西ヨーロッパ周辺や新大陸にかけて海賊行為が横行したとされる一方で、我が国でも「倭寇」などに代表される海賊集団が出没したという記録が数多くの文献等で確認することができます。
とはいえ現代の日本人が「海賊」と聞くと、それこそ派手な海賊帽や髑髏マークの海賊旗を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
ディズニーランドの人気アトラクション『カリブの海賊』や、尾田栄一郎先生の大人気マンガ作品『ONE PIECE』等、娯楽施設やマンガ、映画等においても登場する「海賊」ー。これらの物語には町を破壊し金銀財宝の略奪を行なう者達がいる一方、お宝探しの中で悪い海賊を倒し街に平穏を取り戻す義賊的な者達も描かれていました。
そんな「海賊」ですが、日本が世界に誇る特撮ヒーロー番組である「スーパー戦隊シリーズ」においても度々導入されたモチーフでもありました。
ある時は「悪者」として海賊が描かれ、またある時は結果的に「正義の使者」となった海賊達が描かれました。
そこで今回焦点を当てるのが、スーパー戦隊シリーズ第35作目『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』。本作は宇宙を侵略する巨悪・宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、「海賊」の汚名を誇りとして名乗る豪快な6人の若者達の戦いと宝探しの物語が描かれました。本記事では、そんな『海賊戦隊ゴーカイジャー』の物語を少しだけ、辿っていきたいと思います。
※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。
【目指すは宇宙最大のお宝!】34の戦隊の力を受け継いだ海賊戦隊ゴーカイジャーってどんな戦隊?
さて、本記事では『海賊戦隊ゴーカイジャー』に焦点を当てていきますが、その前に少しだけ、スーパー戦隊シリーズについてご紹介をさせてください。
スーパー戦隊シリーズは、第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』が1975年に放送が開始されて以降、『太陽戦隊サンバルカン(1981)』、『忍者戦隊カクレンジャー(1994)』、『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』、『魔進戦隊キラメイジャー(2020)』、『王様戦隊キングオージャー(2023)』、そして最新作『爆上戦隊ブンブンジャー(2024)』まで全48作品がこれまで放送されてきました。
その中でシリーズ第35作という節目の年に放送されたのが、『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』でした。本作の題材は「海賊」であり、先述したようにシリーズ第35作という記念すべき節目を迎えた作品でもありました。よってその内容は豪華絢爛!主人公であるゴーカイジャー達に加えて、シリーズ第1作の『秘密戦隊ゴレンジャー(1975)』から第34作『天装戦隊ゴセイジャー(2010)』までの約200人のヒーロー達が本作で集結しました。
そんな『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』ですが、本作は宇宙に一大帝国を築き、破壊と略奪を行なう「宇宙帝国ザンギャック」から、「宇宙最大のお宝」を求めて地球にやって来た宇宙海賊である海賊戦隊ゴーカイジャーが地球を守る物語。
上述した『ゴーカイジャー』の物語ですが、「5人のヒーローVS悪の組織」というこれまでのスーパー戦隊シリーズの物語フォーマットは継承しつつ、「お宝探し」というミッションがヒーロー達に与えられたのが特徴でした。実は、ゴーカイジャー達は地球を守るために地球へきたのではなく、たまたま「宇宙最大のお宝」を求めて地球へきたところ、偶然ザンギャックと出会して、彼らを敵に回すことになってしまったのです。それ故、ゴーカイジャー達は聖人君子のような正義の味方ではなく、ややクセのある(見方によっては少し悪そうな)若者達の集団でした。
そしてゴーカイジャーが求める「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには、これまで地球を守ってきた34のスーパー戦隊達から「大いなる力」をそれぞれ集めなければなりませんでした。そこでゴーカイジャー達はザンギャックとの戦いの傍ら、「宇宙最大のお宝」を掴むという壮大な夢のために、地球にいる34の歴代スーパー戦隊の先輩達と出会い、彼らとの交流を通じて各戦隊の「大いなる力」を入手する旅に出ることになる・・・・というのが本作のお話。
本作の主人公であるゴーカイジャーが敵対するのが、宇宙帝国ザンギャックと呼ばれる悪の組織(名前からして物騒ですが・・・)。全宇宙の支配を企てる悪の大帝国であり、これまでの多くの星を滅ぼし、多くの命を奪いながらその勢力を拡大してきたとんでもない連中でした。
彼らが得意とするのが、いわば「人海戦術」。つまり、多くの勢力を投入して一気に制圧を図るという総攻撃を主戦術としていました。これまで幾多もの星々がこの戦術によって壊滅してきた中、地球も例外ではありません。
ザンギャックが毎週やって来る度にゴーカイジャーが迎え撃ってきたわけですが、実はゴーカイジャーが地球へ訪れる少し前、ザンギャックは大艦隊を率いて地球へ攻め込んだことがあったのです。
その時にザンギャックを迎え撃ったのが、ゴレンジャーをはじめとする約200人から成る34の歴代スーパー戦隊でした。彼らは総員、命を捨てる覚悟で集結し、ザンギャックの大艦隊を見事退けることに成功します。
アカレンジャーが指揮を執り、ザンギャックから地球を守った34のスーパー戦隊。しかし、ザンギャックとの戦いは一筋縄ではいきません。彼らは地球を守り抜いた代わりに、ヒーローへの変身能力を失い、しかも彼らの力は「レンジャーキー」と呼ばれる、人形の形をした小さな鍵となって宇宙中に散ってしまったのです。
1グループ1グループが強いスーパー戦隊がほぼ全員揃わなければ撃退できなかった上、全員の変身能力さえも失う状況にまで追い込んだ宇宙帝国ザンギャック。表面上は「34のスーパー戦隊の勝利」ではあるのですが、捉え方によっては痛み分けとさえとれる程、ザンギャックは強大な帝国だったのです。
守る者がいなくなった地球を制圧するのは容易いと言わんばかりに、その数年後、ザンギャックは再び地球へ侵攻を開始しますが、そこで鉢合わせたのが「宇宙最大のお宝」を探しにやって来たゴーカイジャー達だった・・・というのが『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』の物語のはじまりでした。
ゴーカイジャーはお宝探しの邪魔をするザンギャックを退けつつ、歴代のスーパー戦隊の先輩達と交流しながら、彼らから「大いなる力」を継承していきます。はじめは「海賊」の戦隊という反社会的な表現から、ゴーカイジャーを警戒していたスーパー戦隊の先輩達も、彼らの人柄や成し遂げたい夢を知ることで、ゴーカイジャーを信頼し、心を許していったのです。
ザンギャックはゴーカイジャーを倒すため、次々に新たな刺客を地球に送り込みますが、ゴーカイジャー達の強い友情と結束力でこれらを退け、ついに「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な、34のスーパー戦隊の大いなる力を全て集めることに成功します。
ゴーカイジャーが求めてきた「宇宙最大のお宝」。それは宇宙を自在に作り変えることのできる力を秘めていました。つまり、宇宙を思い通りにできる上、ザンギャックの存在そのものも消去できる。過去も思い通りに出来る上に死んだ人達や故郷も蘇ることを意味していました。
実はゴーカイジャー達が、わざわざ海賊という汚名を誇りとして名乗り、宇宙帝国ザンギャックへ反旗を翻しながら「宇宙最大のお宝」を求めてきた背景には・・・ザンギャックのせいで彼らが失ってきたものがありました。
ある者は尊敬する先輩をザンギャックに奪われ、ある者は妹を衰弱死で失い、ある者は母星を滅ぼされていたのです。
そんな彼らが辛酸を嘗めてきた経験を全て「なかった」ことにできるわけですが、それには条件がありました。その条件とは、34のスーパー戦隊存在そのものの消滅でした。つまり、そのお宝を使えば200人近くのヒーロー達の命の消失を意味しており、ゴーカイジャー達は悩みます。さらに、ザンギャックは総力を挙げて地球に総攻撃を仕掛け、街は大破壊を被り、ゴーカイジャー達にとって極めて不利な状況に追い込まれてしまいました。そんな状況の中、「宇宙最大のお宝」を使えば、苦しい思いをせずとも、簡単にザンギャックを消去できる上、地球は守れるのですが・・・。
・・・ゴーカイジャー達が出した結論は、「宇宙最大のお宝は使わない」でした。ゴーカイジャー達は34のスーパー戦隊との交流を通じ、彼らの熱い想いと戦いの歴史、そして彼らが地球の人々の希望であることを学んだ上での判断でした。
「この星には、スーパー戦隊が必要だ。」(ジョー・ゴーカイブルー)
辛い過去を否定すれば、これまで死に物狂いで戦ってきた今の自分を否定することになるー。過去を変えれば平和な未来は約束されるが、決められた未来なんてつまらない。
「宇宙最大のお宝」は、悩みを吹っ切った鎧(ゴーカイシルバー)に破壊されました。その後、ゴーカイジャー達はザンギャックに最後の戦いを挑み、皇帝を滅ぼすことに成功します。新たなお宝を探すため、地球を去る決意をしたゴーカイジャー達。海賊旗を掲げ、彼らが乗り込む海賊船(ゴーカイガレオン)は出発します。ゴーカイジャー達を見送ったのは、アカレンジャー(秘密戦隊ゴレンジャー)をはじめとする歴代のスーパー戦隊の勇者達でしたー。
海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な35番目のスーパー戦隊、それがゴーカイジャー。歴代スーパー戦隊の大いなる力を継承してきた彼らにとって、どんなに強大な悪の組織が現れようとも、その熱い魂と友情の前では敵ではありませんでした。
『海賊戦隊ゴーカイジャー』の物語ですが、現在まで拡大を続け、シリーズ放送10周年を迎えた2021年には映画『テン・ゴーカイジャー』が公開され、また後輩スーパー戦隊の窮地に先輩ヒーローとして駆けつける展開も描かれていきました。
またゴーカイジャー達の活躍の場は日本だけに留まらず、米国を筆頭とする海外にまで及び、『パワーレンジャー スーパーメガフォース(Power Rangers Super Megaforce)』と題して2014年に米国で放送されました。現地ではレンジャーキーをはじめとする玩具展開の他、DVDも発売されました。
2024年現在ー。
『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』の放送から約13年の歳月が流れました。
当時本作を観ていた子ども達はお兄さん、お姉さんになり、ひょっとしたらもう成人したよという方々もいらっしゃるかと思います。
どれだけ時が流れようとも、ゴーカイジャーと共に歩んだかけがえのない思い出は、心の中でキラキラと輝く「お宝」であり続けると信じていますー。
最後までご覧頂き、誠にありがとうございました。
(海賊戦隊ゴーカイジャーを視聴するなら)
・東映特撮ファンクラブ(TTFC)(外部リンク)
(参考文献)
・菅家洋也、「講談社シリーズMOOK スーパー戦隊シリーズ Official Mook スーパー戦隊 Official Mook 21世紀 vol.11 海賊戦隊ゴーカイジャー」、株式会社講談社
(アクセス 国内)
・岩船山採石場
住所:〒321-0201 栃木県下都賀郡 岩舟町新里1124
・岩船爆破体験ツアー 詳細URL
https://setup-japan.jp/(外部リンク)