北朝鮮のご令嬢3人組「夏休みの乱れ」で深夜に連行
北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)で先月末、安全局(地方警察本部)幹部の娘ら女子大生3人が、ひとり暮らししていた部屋から深夜に連行された事件があったと、デイリーNKの現地情報筋が伝えている。
安全局幹部は中朝国境地帯の会寧(フェリョン)市を管轄していたとされるから、相当な実力者だ。その権勢にも押されず事件化に踏み切ったのは、道の反社会主義・非社会主義連合指揮部というタスクフォースだった。
現地情報筋によれば、幹部の娘ら3人は地元の師範大学に在学中の女子大生だ。娘は大学近くでひとり暮らしをしていたというから、これもまた親の権力や財力をうかがわせる部分だ。
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彼女の部屋に集まった3人は、どうやら「韓国ドラマパーティー」をしていたもようだ。規律の緩む夏休みには、こうした楽しみに興じる大学生が多く、当局は監視の目を光らせている。
彼女らの行為がどうしてバレたのかは詳らかでないが、深夜、部屋に連合指揮部の取り締まり班が踏み込み、韓流ドラマが記録されたUSBメモリを押収した。これが、幹部の娘のものであると確認されたという。
この事件を受け、幹部は上佐(大佐と中佐の間)から少佐に2階級降格され、管轄も「市」から2段階下になる「里」に変えられた。
別名「韓流取締法」とも言われる反動思想文化排撃法の第37条4項は、「子どもに対する教育教養を無責任に行い、反動思想文化犯罪を発生させた場合は10~20万ウォンの罰金を科す」と規定している。2階級の降格はこれよりも重く、当局が司法機関幹部の子どもの逸脱行為を重大視しているためだと、現地の人々はささやき合っているという。
ちなみに、同法の最高刑は死刑である。
しかし一部には、「降格で済んだなら幸いだ」との意見もあるという。
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「以前なら、この手の事件でも家族全員を政治犯収容所に送っていた。今回そうならなかったのは、司法機関従事者(とその家族)の間で反社会主義・非社会主義行為が数多く行われており、収拾が難しい状況であるためだろう」(情報筋)
ただし、当の娘に対して、救いの手が差し伸べられることはないようだ。彼女は現在、清津(チョンジン)市の安全部拘留場に拘禁され、予審中であるという。金正恩総書記が韓国を「第1の敵国」と規定している状況の下で、彼女には重刑が下される可能性があるというのが情報筋の見立て。