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ゴルフ界を驚かせたビッグニュース。「リブゴルフが世界ランキングを断念し、申請取り下げ」 #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:REX/アフロ)

3月5日(米国時間)の朝、米ゴルフ界に驚きのニュースが舞い込んだ。

世界ランキングのポイントを喉から手が出るほど欲し続けてきたリブゴルフが、世界ランキングをつかさどるOWGR(オフィシャル・ワールド・ゴルフ・ランキング)に提出していた申請を自ら正式に取り下げたという。

米ゴルフウィーク誌によると、リブゴルフを率いるグレッグ・ノーマンCEOは、今週のホンコン戦(3月8日~10日)の開幕に先がけ、選手たちにレターを送ったという。そのレターにはノーマンCEOの悲痛な声がしたためられていた。

「これまで私たちは、みなさんが選手として達成していることが既存のランキングシステムによって評価されることを目指し、努力を重ね、必死に戦ってきた。しかし、残念なことに、OWGRは、私たちリブゴルフとともに歩む意思はないらしい」

2021年に創設され、2022年6月に初戦を開催してキックオフしたリブゴルフは、その翌月の7月に「リブゴルフを世界ランキングの対象として認めてほしい」という承認申請をOWGRへ提出した。

しかし、その後、OWGRからは「検討中」「審議中」といった返答しか得られず、リブゴルフ選手たちは焦燥感を募らせていった。

リブゴルフの大会でどれだけ優勝しても、どんなに上位に入っても、OWGRから認められない限り、世界ランキングのポイントを稼ぐことはできず、リブゴルフ選手たちの世界ランキングは下降の一途となってしまったのだ。

世界ランキングはメジャー4大会の出場資格を得るための基準とされているため、リブゴルフがOWGRから承認されない限り、リブゴルフ選手のメジャー大会出場は、限りなく皆無になっていく。

だからこそ、OWGRから認められることはリブゴルフにとって「悲願」だった。

そんな中、OWGRは昨年10月に突然、動きを見せ、リブゴルフからの申請を正式に却下した。

その際、OWGRのピーター・ドーソン会長は、予選カット無しで3日間54ホール、そしてショットガン・スタートというフォーマットで行われるリブゴルフを、世界ランキングの対象となっている他の24のツアーと「フェアに比較することは難しい」と語り、それが却下の理由だと明かした。

さらにドーソン会長は「これは戦争ではない。リブゴルフの申請を却下したのは、ポリティカルな問題ではなく、テクニカルな問題だ」とも語り、却下の背景にあったものは、あくまでも技術上の問題のみで、政治的あるいは個人的な思考や意思によるものではないことを強調していた。

しかし、ノーマンCEOがリブゴルフ選手に送ったレターの文面は、むしろ「思考」や「意思」がそこに存在していることを指摘。そして、いくら待っていても意味はないと判断したことが示されていた。

ノーマンCEOとリブゴルフ選手たちは「それならば、そんなものはもう望まない。自分たちは自分たちの道を行く」という新たな意思をすでに抱いているのではないだろうか。

とはいえ、仮にリブゴルフが世界ランキングに代わる独自のランキング・システムを考案し、「これこそが世界のベストプレーヤーを示す指標だ」と主張したとしても、メジャー4大会の主催者がそれを認めない限り、リブゴルフ選手がメジャー大会に出場する道は、さらに狭まっていく一方である。

そして、OWGRの理事にはメジャー4大会のリーダーたちが座しているのだから、メジャー4大会の出場資格と世界ランキングが切り離される可能性はゼロに近い。

果たして、ノーマンCEOとリブゴルフは、絶望的になったと言っても過言ではない「メジャー大会出場への道」を、今後、切り開いていく妙案を考え出すことはできるのか。それとも、すでに余るほどのビッグマネーを得ている彼らは、世界ランキングもメジャー大会出場も、どうでもよくなってしまったのか。

今後の動向を見守っていきたい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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