野球用品老舗メーカーが生産を一時停止へ 従業員も一時帰休措置に
【野球用具老舗メーカーが生産を一時停止に】
MLBのシーズン延期がいよいよ周辺企業にも大きな影響を及ぼし始めた。
スポーツ専門サイトの「the Score」が報じたところによれば、米国の野球用品メーカーの老舗の1つ「ルイビルスラッガー」が、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、工場と博物館を一時閉鎖し、従業員の多くを一時帰休させるこことになった。
【現在は収入ゼロに】
ルイビルスラッガーはその名の通り、ケンタッキー州のルイビルで1884年に創業した、米国を代表する老舗メーカーだ。現在もルイビルを本拠とし、同地に工場とともに博物館を構え、同州を訪れる野球ファンにとって人気観光スポットの1つになっていた。
同社はあくまで野球用品専用メーカーで、バット、グローブの他、打撃用グローブやバット用グリップなどの関連グッズを製造・販売してきた。
現在は新型コロナウイルスの影響でMLBはもとより、大学を含めアマチュア野球も活動を中断しており、同社の収入はまったく途絶えている状況だという。
そのためルイビルスラッガーは経費削減のため工場と博物館を一時閉鎖することを決め、計171人の従業員を一時帰休させることになった。対象従業員は解雇ではなく健康保険等の恩恵を受けられるものの、給与の支払いを全く受けられなくなるという。
また同社はペンシルバニア州にも工場を構えているが、こちらも一時閉鎖の方向だとしている。
【CEOは「資金が尽きる前に正常に戻れれば…」】
今回の措置について同社のジョン・ヒラリッチ4世CEOは「自分たちができるすべての支出をカットした。自分たちの資金が尽きる前に正常に戻ることを祈るばかりだ」と窮状を説明している。
その一方で、MLBはまったくシーズン開幕の目処が立っておらず、引き続き野球界が厳しい状況に置かれるのは必至で、このままの状態が長期化すれば同社が破産する可能性も十分に考えられる。
【MLBに年間5万本のバットを供給】
かつてはアレックス・ロドリゲス選手やデレック・ジーター選手もルイビルスラッガー製バットを使用するなど、現在もMLBに同社製バットを使用する選手は数多い。
記事によれば、毎年5万本のバットがMLBに供給されているという。もしルイビルスラッガーが破産するようなことになれば、シーズンが開幕できるようになった後でも、MLBに大きな影響を与えことになる。
ルイビルスラッガー以外のメーカーも、厳しい状況に置かれていることに変わりはない。今後さらに休業に追い込まれるメーカーが出てくるかもしれない。