破片が降り注ぎ死者も…北朝鮮「フライング発射」で募る懸念
北朝鮮は22日午前0時から12月1日午前0時の間に「人工衛星」を発射すると予告していたが、それより前の21日夜に打ち上げを実行した。韓国や日米は打ち上げを中止するよう強力に警告していたが、それを歯牙にもかけず強行しただけに、北朝鮮のこうした態度は今後も続くだろう。
実際、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は22日、偵察衛星の打ち上げに成功したと報じるとともに、早期に複数の偵察衛星を打ち上げる計画だと明らかにした。
そうなると心配になるのが、「不測の事態」だ。実際、北朝鮮のミサイル発射では地上に破片が降り注ぎ、被害が出た例もある。
北朝鮮は昨年3月16日、首都・平壌郊外の順安国際空港付近から、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」を発射したが失敗に終わった。その際、平壌周辺にはミサイルの破片が雨のように降り注いだと複数の韓国メディアが報じた。
韓国国防省は、同月29日の国会国防委員会の非公開報告で、16日に発射された「火星17」が高度20キロに満たないまま平壌上空で爆発し、破片が民家ではなく田んぼなどに落下したと報告した。また閔洪喆(ミン・ホンチョル)国防委員長によれば、破片により民間人に被害があったのかについて国防省は言及しなかったという。
一方、デイリーNKの内部情報筋によると、破片は北朝鮮の工作員養成機関「金正日政治軍事大学」にも落下し、2名が死亡したとの情報がある。
(参考記事:【画像】「ミサイル発射映像に炎に包まれる兵士」金正恩氏、目撃しながら大喜びか)
北朝鮮の偵察衛星は技術レベルが低く、仮にうまく周回軌道に投入できても、改良を重ねながら繰り返し打ち上げていくものと思われる。これまでと同じ方式での打ち上げならば、日本の領域を通過していくだけに懸念は尽きない。
また今回のように、自ら予告した期間すら守らず「フライング」さえ厭わないとなれば、厄介さは増すばかりと言えるだろう。