年末年始は大事な人を守るために家で過ごしましょう
東京都内の新型コロナの新規報告数は連日「曜日ごとの最多」を2週間以上更新しており、最悪の状況のまま年末年始に突入してしまいました。
この年末年始は、自分の大事な人を守るためにも、家でゆっくり過ごしましょう。
年末年始は新規報告数は減るが「真の減少」を意味しない
この連日の「曜日ごとの最多」更新はどこまで続くのでしょうか。
おそらくもうすぐ止まるものと予想します。
なぜなら、年末年始の間は通常の検査体制ではなく、一日に行える検査数が限られるためです。
そのため、年末年始に新規報告数が少なくなったからといって、本当に新型コロナの患者が減っているわけではなく、単に検査が追いつかずに診断されていない人がたくさんいると考えるべきです。
もし年末年始に新規報告数が減ったとしても「症例数が減ってるから大丈夫だろう」と考えて外出して人と接触することは勧められません。
万が一、休日の検査体制にも関わらず新規報告数が増え続けるようであれば・・・東京は本当の意味で制御不能になっているということになるでしょう。
入院が遅れ適切な治療を受けられない事例が出てきている
都内では危険な事例が増えてきています。
東京都では重症化リスクの高い65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人は原則入院としていましたが、すでに高齢者であっても入院先が見つからずに自宅待機を余儀なくされている事例があります。
またそうした自宅待機していた事例が重症化し、搬送先の病院が見つかった時点ですでに人工呼吸管理を必要な状態となっていた、という事例も複数あります。
新型コロナでは発症からしばらくはウイルスが増殖している時期にあり、この時期にレムデシビルなどの抗ウイルス薬を使用することで重症化が防げる可能性があります。
しかし、重症化してしまった病態では、すでにウイルスの増殖ではなく過剰な炎症反応が主病態になっており、この時期には抗ウイルス薬は無効であり抗炎症作用を持つステロイドなどが使用されます。
前述の患者さんは、本来はすぐに入院できて適切な治療を受けることができていたはずですが、医療体制が逼迫し重症化するまで入院できずに治療の機会を逃してしまったことになります。
日本はこれまで、欧米と比べて新型コロナの患者数を少なく抑えることができていました。
そのおかげもあり、適切な医療を提供できていたため新型コロナの致死率を海外と比べて低く抑えることができていました(医療崩壊を起こしていたと言われる3月頃のイタリアでは致死率は10%を越えていました)。
しかし、こうした「入院の遅れ」が生じることで、本来救えるはずの命が救えなくなってきています。
私たち医療従事者は、こうした事例をできる限り発生させずに年末年始を乗り切ることができるのか、戦々恐々としています。
年末年始は家で過ごしましょう
現在、日本は過去最大規模の新型コロナの流行を経験しており、症例数もまだまだ増加傾向です。
すでに一部の地域では本来必要な医療が十分に提供できなくなってきており、まさに危機的状況と言えます。
日本国内でこれ以上深刻な流行を引き起こさないためにも、今こそ一人ひとりが感染対策を徹底すべき時です。
特にこの年末年始は、
・帰省・初詣・忘年会・新年会などのイベントはオンラインで済ます
・できる限り外出を控える
など、人との接触を減らし、
・屋内ではマスクを装着する
・3密を避ける
・こまめに手洗いをする
といった基本的な感染対策を遵守するようにしましょう。
感染症は人から人へとうつっていきます。
自分自身の感染対策は、あなたの大事な人を守ることにも繋がります。