全国でワクチン冷蔵庫のプラグ抜け相次ぐ 故意に抜いたらどのような罪になる?
新型コロナウイルスのワクチン接種会場で冷蔵庫や冷凍庫の電源プラグがコンセントから抜けるトラブルが相次いでいる。関係は不明だが、ツイッター上では「プラグを抜こう」といった呼び掛けも行われているという。
報道によれば、こうした事案は大阪府寝屋川市や兵庫県猪名川町、芦屋市、神戸市、横浜市、千葉県市原市、埼玉県川越市、島根県大田市などで発生しており、合わせて約2100回分のワクチンが廃棄されたという。
医療機関を含めた全国のワクチン接種会場が4万超に上ることからすると、発生件数自体は少ない。
特に臨時会場では、たとえ冷蔵庫などの電源プラグが2ピンではなく3ピンでひねりを要する抜け止め型のものであっても、延長コードやドラム型のコードリールが使用され、職員らの動線上に配線されている可能性がある。
足を引っ掛けたり踏んだりすることで、接続が緩んで抜けやすくなっていたといった人為的なミスも考えられるだろう。
意図的であれば悪質
しかし、芦屋市では、テープで固定されていたにもかかわらず、電源プラグが抜けていたという。延長コード部分ではなく、本体のプラグが根本から抜けるというのは偶然とは思われない。
もし何者かによる意図的な犯行であれば話は別であり、極めて悪質だ。
密かに電源プラグを抜くことでワクチンの接種業務を妨害しているから偽計業務妨害罪、ワクチンを廃棄させているから器物損壊罪、そのために会場に入り込んでいるから建造物侵入罪が成立する。最高刑は懲役3年だ。
ツイッター上で「プラグを抜こう」といった呼びかけをし、これに感化されて実際に誰かが犯行に及んでいれば、教唆犯に問われる可能性もある。
もちろん、実行犯らは民事的な損害賠償責任も免れない。
予防接種法では「接種を受けるよう努めなければならない」と規定されているものの、接種するか否かはあくまで本人の自由だ。接種の強制が許されないように、接種したいと思う人を妨害することも許されない。(了)