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冨安健洋が移籍のボローニャ、ミハイロビッチ監督が白血病を公表 「だれにでもあり得る」と警鐘

中村大晃カルチョ・ライター
5月25日、セリエAナポリ戦でのミハイロビッチ監督(写真:ロイター/アフロ)

7月13日、冨安健洋が移籍したボローニャのシニシャ・ミハイロビッチ監督が会見を開き、白血病を患っていることを明らかにした。

チームのキャンプ地移動に帯同せず、発熱と報じられていたミハイロビッチ。だが12日、『コッリエレ・デッロ・スポルト』紙が健康問題を報じ、13日に指揮官が会見で白血病と発表した。

検査結果を知った時は、2日にわたって部屋に閉じこもり、涙も流したというミハイロビッチは、会見でも目を潤ませたうえで、「恐れからくる涙ではない」と述べている。

「私は病気をリスペクトする。だが、自分が勝つと知っている。いつもやってきたように立ち向かう。前に進む。火曜から治療を始めるが、待ち遠しい。早くに始めれば早くに終わる」

会見前には、キャンプ地のチームにもカンファレンスコールで状況を説明したそうだ。そこでも涙を見せたと明かしたうえで、ミハイロビッチは闘病への気迫を表した。

「我々は負けないためではなく、勝つために戦わなければいけない。ハイプレスを仕掛け、高い位置で攻撃しなければいけない。勇気を持たずに恐れ、引いて守れば、いずれ失点してやられる。サッカーで私は自分が好きな戦術を用いなければならない。そして、この闘いに、私は必ず勝つ。それは疑いない」

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』電子版によると、20分ほどのカンファレンスコールでは、ミハイロビッチが話し終わると、チームからは長きにわたり、愛情あふれる励ましの拍手が贈られたという。また、指揮官がキャンプ地にいられないことを謝罪すると、チームは再び拍手し、大声で励ます者もいたとのことだ。

◆エール

ミハイロビッチ監督の公表を受け、戦友や恩師、愛弟子、各クラブなど、多くの関係者からエールが寄せられている。一部であり、拙訳で恐縮だが、紹介したい。

ロベルト・マンチーニ

君はあまりに強い。これでも君はびくともしないさ。それに、私たちはパデルテニスをしなきゃいけいだろ。

アレッサンドロ・デル・ピエーロ

シニシャは素晴らしいメッセージを発してくれた。挑戦、勇気、力、模範に満ちている。シニシャ、全員一緒にあなたと戦うよ。

カルロ・マッツォーネ

特別な人物。私は君を指導できてうれしかった!がんばれ、シニシャ。私たちは君のそばにいる。

ジャンルイジ・ドンナルンマ

あなたは屈しないことを教えてくれた。次はあなたの番ですよ!あなたのほうが強い。勝つはずだ!監督、僕はあなたのそばにいます!

ミッチェル・ダイクス

監督、この知らせにショックを受けています。できるだけ早く回復できるよう、僕の力すべてを送ります。

リッカルド・オルソリーニ

戦士よ、屈しないでください。あなたの最も大事な試合に勝ってください。僕たちはみんな、あなたと一緒にいます。

マッシモ・フェレーロ

わが友、シニシャよ、がんばれ!君の力はその笑顔だ。つねに君のそばにいる。今度も一緒に勝とう。

ラツィオ

私たちは一緒に多くの勝利をあげてきた。この闘いでも、私たちはあなたと一緒にいる。

インテル

がんばれ、シニシャ。この闘いでも、インテルはあなたのそばにいる。

サンプドリア

雨が上がれば陽が昇る。がんばれ、シニシャ。いつものように闘い、勝ってくれ。あなたはそれができる。サンプドリアとその人々は、あなたと一緒だ。

トリノ(ウルバーノ・カイロ会長)

がんばれ、シニシャ。トリノの人々はみんなあなたのそばにいる。心からあなたのことを想っているよ。幸運を!

ミラン

「勝者はつねにひとつの道を見つける」。がんばれ、シニシャ。この闘いにもあなたは勝つはずだ。

フィオレンティーナ

がんばれ、シニシャ。この試合にも勝つはずだ!

ローマ

がんばれ、シニシャ。この闘いにも勝ってくれ!

サッスオーロ

闘いに勝つには、闘えなければいけない。そして、あなたは闘える!がんばれ、シニシャ。サッスオーロ全体から抱擁を。

カリアリ

がんばれ、シニシャ。あなたの計り知れないガッツで、この闘いにも勝つはずだ!

パルマ

全員が同じチームになる試合がある。これはそのひとつであり、最も重要な試合だ。がんばれ、シニシャ。パルマの全員があなたのそばにいる。

会見後には、集まったサポーターが「絶対屈しないでくれ」とのチャントで、ミハイロビッチを送り出している。

◆続投

ミハイロビッチは会見で、病気は「時間はかかるが治る」と述べた。会見に同席したドクターも、短期間での治療も可能性があると説明している。

ディレクターのワルテル・サバティーニは「これから何が起きても、ボローニャの監督はシニシャのままだ」とコメント。「人道主義的なことではなく、テクニカルな面を考えてのことだ。ほかの監督より、2、3%足りなくてもシニシャのほうがいい。それでも彼がベストなんだ」と、続投を強調した。

◆警鐘

最後に、ミハイロビッチが会見で世間に向けて発したメッセージも紹介したい。

本人によれば、兆候はまったくなかったという。ドクターも、実質的にチームのキャンプが始まる前日に判明したと明かしている。それだけ突然の出来事だったのだ。だからこそ、ミハイロビッチは、検診など予防の大切さを説いている。

「我々のだれも、自分が無敵だと考えてはいけない。だれもが『自分には関係ない』『自分には起きないことだ』と考える。それが実際に起きると、ひどい痛手なんだ。あとは早期発見だったと願うしかない」

「だれにでもあり得ることだ。とにかく、予防策を取ろうとすることは正しい。なぜなら、一瞬で人生が変わるからだ。一瞬ですべてが変わるんだよ。寝ている時なら、悪夢を見ても、目覚めれば『悪夢か、よかった』となる。だが、目覚めても悪夢ではなく、現実なんだ。そして闘わなければならない。そして当然、検査を受け、予防していれば、闘うのはより簡単になる」

日本のファンとしては、新加入の冨安への影響も気になることだろう。ただ、今はまず、ミハイロビッチの健康を、彼が病気に勝つことを願うばかりだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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