親子の会話ってどんなことが話されているのだろうか
一番は「学校での出来事」
親子のコミュニケーションにおいては欠かせない「会話」だが、交わされる内容を第三者が知る機会はあまりない。一般的にはどのような話がやりとりされているのだろうか。英会話のGabaが2014年7月に発表した、小中学生を持つ保護者に対して行った「小中学生の教育とコミュニケーションに関する保護者調査」から、その実態を探ることにする。
回答者自身における親子の会話の話題として、どのような内容が交わされているのか、複数回答で尋ねた結果が次のグラフ(親子間での会話なので、必ず保護者である回答者もその内容を把握していることになる)。最上位は「(子供の)学校での出来事」で、86.8%。親子の会話では9割近くにおいて、子供が学校で体験した事柄が語られるとしている。
子供の日常生活では1日の多分を過ごし、同時に数少ない外界・他人との接触場でもある学校生活。そこで経験した出来事は毎日が新鮮なもので、喜怒哀楽すべての感情を体感しうる。その場での出来事を語るのは、本人にとって数少ない「他人に自慢できる経験談」なのはもちろん、記憶の再整理、表現の修練にもつながる。保護者は保護者で、子供の学校での振る舞い、成長を知ることができ、そして何かイレギュラーな事態が子供にあった時に、そのシグナルを感じ取る機会でもある。
「学校での出来事」同様に学校と深い関係があるのは「友達」、そして「勉強・成績」。いずれも学校と連動しての事柄である。夕食における親子の会話は、就業者ならば一日の最後に提出する「業務報告書」的なものと考えれば良いだろう。
「テレビ番組」「マンガ・アニメ」「ゲーム」などは学校とは直接関係は無い。しかし子供が興味関心を抱いた内容について他人に表現する機会として、親子の会話が用いられることになる。子供の趣向を知る良い機会にもなり、保護者は聞き流すことなく耳を傾ける必要がある。
属性で変わる親子の会話の中身
これを子供の属性別に仕切り直すと、色々と内容も変化していく。まず最初は男女別。
大よそ女子の方が回答率が高い。つまり女子の方が話題性に富んでいることになる。一方で「ゲーム」「スポーツ」「マンガ・アニメ」は男子の方が高い値が出ており、小中学生ではこれらの話題については、男子の方が高い興味関心を抱いているようだ。
「学校での出来事」「友達」の項目で、女子の方が男子を大きく上回っている点は、少々意外かもしれない。子供においても男女間では女子の方が人間関係は複雑で、それだけ話す内容が多いのだろうか。あるいは成長が早く、人間関係に関する考察も深いものとなるのかもしれない。
続いて子供の学年区分別。
進学するのと共に学校内での出来事も多様化し、「学校での出来事」「友達」などの基本的な話が話題に登ることは少しずつ減る。そして本格化する勉学の話題「勉強・成績」が増えていく。また、「ゲーム」「マンガ・アニメ」などが減り、「部活動」「スポーツ」「芸能ネタ」「映画」のように、エンタメ系関連の話題も幅広くなる。特に「部活動」は中学に入ってから本格化すること、学校内では勉学同様に長い時間を費やし、新たな交友関係を生み出すことから、多くの子供が話題にしている。
「進路・将来」のように先を見据えた話、「事件・事故」「政治・経済」「恋愛・好きな人」など、大人びた話についても、少しずつではあるが話題に登る人が増えている。保護者側も繰り返される子供との会話の中で、その中身、ジャンルが少しずつ変化するに連れ、子供の考え方、発想、周囲を見つめる視点の成長ぶりを知ることになる次第である。
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