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九州北部で過去4番目に遅い梅雨入り!西日本は最大300ミリ、関東や東海も警報級の大雨:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
18日昼過ぎの降水量分布予報(気象庁HPより)。他の時間帯は本文中に掲載。

気象庁は17日に九州北部の梅雨入りを発表し、平年より13日遅く、統計史上4番目に遅い梅雨入りとなります。
18日にかけて梅雨前線が北上し、西日本では1日で最大300ミリの雨が予想されているほか、関東や東海といった太平洋側の各地で警報級の大雨になるおそれが。
そして今週は九州北部を皮切りに、各地で続々と「遅い梅雨入り」が発表されそうです。

前線に向かって「梅雨本番」の暖湿気

18日9時の予想天気図(気象庁HPより)。低気圧の進行方向にあたる四国~関東でこれから大雨になるほか、全然の南側にあがる沖縄・奄美でも激しい雨に。
18日9時の予想天気図(気象庁HPより)。低気圧の進行方向にあたる四国~関東でこれから大雨になるほか、全然の南側にあがる沖縄・奄美でも激しい雨に。

18日は梅雨前線上の低気圧が発達しながら東へ進み、しかもこの梅雨前線に向かって南から暖かく湿った空気が大量に流れ込むため、西日本を中心に雨が激しく降るところがありそうです。
気象予報士の間で「暖かく湿った空気」というのは「相当温位」と呼ばれる指標の数値が高い空気のことを言うのですが、今回はその数値が梅雨の序盤ではなく梅雨本番と同じレベルです。

18日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の降水量分布予報(気象庁HPを元に作成)。最新の情報は気象庁HPで必ず確認を。
18日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の降水量分布予報(気象庁HPを元に作成)。最新の情報は気象庁HPで必ず確認を。

四国では昼前まで、近畿は昼過ぎまで、東海は夕方まで、そして関東甲信では夜のはじめごろまで激しい雨が降るおそれがあります。
夜遅くになると低気圧の雨雲は東の海上へ抜けていきますが、沖縄・奄美では夜遅くにかけても断続的に降りそうです。

各地の降水量予想(気象庁HPより)。最新の情報は気象庁HPで必ず確認を。
各地の降水量予想(気象庁HPより)。最新の情報は気象庁HPで必ず確認を。

予想される24時間降水量は九州南部と四国で最大300ミリで、特に鹿児島県と高知県で多くなりそうです。また近畿と東海ではそれぞれ和歌山と静岡で最大の降水量が予想されていて、太平洋に面した地域を中心に雨の量が多くなりそうです。
鉄道の運休や道路の通行止めなど交通に影響が出るおそれもありますので、気象情報と交通情報は最新のものを確認してください。

線状降水帯が発生するおそれも…息苦しくなるような雨に警戒

今回は、通常の降水量予想とあわせて、線状降水帯の発生予測情報も発表されています。

線状降水帯とは、積乱雲が列をなして猛烈な雨が長時間降り続ける現象で、今回は四国4県で18日午前中にかけて警戒を呼びかける情報が気象庁から出されています。

ひとたび線状降水帯が発生すると、息苦しくなるような猛烈な雨が降って、災害の危険性が一気に高まることがあります。山やがけの近くではもちろん危ないですが、周りに山もがけもない都市部でも急激に浸水してしまい身動きが取れなくなってしまうことも。
急な事態の変化に対応できるよう、発生が予想されている時間帯は無理な外出をせず、常に情報を取れるようにしておいてください。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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