新製品!iPhone用MagSafeバッテリーパックの良い点/悪い点・5日使用後のまとめ
こんにちは。Appleユーザー歴27年 !YouTubeチャンネル「Appleが大好きなんだよ」管理人のダイスキ(大好きさんと呼ばれているので)と申します。
今週の火曜日にiPhone 12シリーズ用の純正「MagSafeバッテリーパック」という新製品がAppleから発売されました。動画レビューでは2回にわたり徹底レビューを行っていますが、その内容とその後試したり使っての感触ををもとに良い点/悪い点をそれぞれまとめたいと思います。
良い点については当たり前のことも入っていますが、なるべく細かく拾っています。悪い点はかなり詳細計測などを行い率直な内容としています。購入前に是非知っておいて欲しい内容となっています。
製品の特徴の大枠としてはiPhone 6sからiPhone 11シリーズまで発売されていた「Smart Battery Case」の後継品として捉えていい製品です。iPhoneを丸々1回分充電するというより、バッテリー容量を補完する存在と言えます。「Smart Battery Case」はテニス選手が試合の日に使っているのを見たことがあります。余計なことを気にしないでバッテリー容量が伸びるのでスポーツ選手にピッタリなのかもしれません。
<良い点>
(1)バッテリー容量にやや不安のあるiPhone 12 miniにバッテリー容量の追加が可能
小型で日本では固定ファンもついたminiサイズは持ちやすいが5GやDualSIM時代にあってはややバッテリー容量が物足りない。そう感じているユーザーにとっては嬉しいアイテム。
<バッテリーパックからiPhone 12 miniへの充電実測>
・iPhone 12 mini(本体8.57Wh):iPhone側残量1%からバッテリーパックが空になるまで充電したところ、実測69%分の加算となった。それを元に計算した実質的な合計容量は約14.48Whとなる。
・使い方によるが単純計算で、例えば通常20時間持続するユーザーが同じ使い方では33時間以上となる。
・バッテリーパックの記載容量は11.13WhだがMagSafeワイヤレス充電には充電時に発生するロスもあり、実質5.82から5.91Wh分の計算となる。充電可能容量は記載容量の52%程度のようだ。52%は有線のモバイルバッテリーの平均値60-70%と比べるとやや低い。ロス率の高さはワイヤレス充電の弱点ではある。
<12 mini 実測を元に算出した他のiPhone12の場合>
・iPhone 12/12 Pro(本体10.63wh):55.6%分追加(mini実測からの計算推定値)
・iPhone 12 Pro Max(本体14.13wh):41.4%分追加((mini実測からの計算推定値)
(2)ケーブルなどがないのでスッキリ
・背面のMagSafeに近づけてマグネットの磁力で装着するだけでいい
(3)Apple純正の設計がiPhone 12 miniにピッタリ
・サイズ設計の精度が高くピッタリ
・カメラへの干渉などはもちろんない
(4)Appleロゴがあり、それがiPhoneのセンターと同じ位置
・iPhoneに装着しても装着前のロゴと同じ位置に配置される。
(5)ケースと違いサイズがiPhone 12シリーズ全てに使える。
・iPhone 12シリーズ全サイズ対応なので、サイズごとに買い増しが不要。買い替え時にも継続的に使える。
・サードパーティのマグネット入りケースも使える。
(6)シリコンのバッテリーケースと違い、劣化が少なさそうで汚れもつきにくい。
・シリコンケースは2年くらいからベタつきがでるが、今回のバッテリーパックは表面がマット仕上げのプラスチックなので長期的にみてそれを避けられそう
(7)iOSとシステム統合され、バッテリー残量表示/ポップアップアニメーションなどがiPhoneで表示される
・サードパーティ製の近い製品には無い機能
(8)システム統合でiPhone本体のバッテリーを保護するコントロールをしている
具体的には
・バッテリーパック側からiPhoneの90%以上の充電をしない機能(オプションでオフも可能)
・iPhoneが80-90%以上充電されている場合は先にiPhone側のバッテリーを消費する
など制御全体がiPhone本体のバッテリーに負担をかけないようになっている。
昨年までの「Smart Battery Case」では常にiPhoneが100%残量になるように補填されていく設計。もちろん100%では微電流になっているようだったが、リチウムイオンバッテリーの劣化につながる80%以上の状態が長く続く制御となっていた。バッテリー関連の対応で過去に一部のユーザーとの間に諸問題を抱えた同社はバッテリーの保護にものすごく力を注いでいるのが伝わってくる。
(9)容量を抑えた分、薄型11.3mm
・容量は11.13WhとAnker PowerCore Magnetic 5000の18.5Whなので6割くらい。その分薄型設計となっている。
・ここは評価の分かれるポイントだとは思う。
(10)逆充電機能(※悪い点もあるので後半必見)
・バッテリーパックを装着してiPhone側だけにライトニングケーブルを差し込むと逆充電機能が働き、iPhone本体とバッテリーパックの充電が同時にできる。
・充電がiPhone側から高速で行われる仕様で、20Wの純正電源アダプタではiPhone側が30分で50%以上1時間で80%以上充電された。iPhone単体のPD高速充電と同じようだった。
(11)それぞれを同時充電
・装着中でもiPhoneとバッテリーパックの双方にライトニングケーブルの装着が可能で同時に充電が可能
・ケースタイプに比べ脱着が簡単なのでそれぞれ別で充電も可能
・バッテリーパック単体だと1時間20分でフル充電可能(20W純正アダプタ使用時)
・iPhone 12 mini本体はLightning有線充電で1時間40分程度(20W純正アダプタ使用時)
なので並行すれば1時間40分でiPhoneとバッテリーパックのフル充電が可能となるので。急いでいる時にはこの方法が1番速い。
(12)20W以上の電源アダプタを使うと充電台としても使える(※悪い点もあるので後半必見)
・20W以上のUSB-C電源アダプタを使用し、USB-C to Lightningケーブルを繋げば最大15WのMagSafe充電台として使える。
<悪い点>
残念ながらかなり「悪い」「残念」ポイントが多い。
(1)バッテリーパックとしての使用の際はMagSafeワイヤレス充電が5Wとなり充電速度が遅い
・これは初期のQiワイヤレス充電と同等の出力でiPhone充電に時間がかかる
・実測の概要は良い点で述べたとおりだが
バッテリーパック100%iPhone 12 mini 1%からの装着で2時間55分かかって69%(バッテリーパックはそこで0%)
<推移>
30分:16%
1時間:24%
1時間半:27%
2時間:38%(進みが遅かったのでここでオプションiPhoneの90%以上の充電する機能をオンに)
2時間半:60%
2時館42分:67%
2時間55分:69%で終了
競合品、¥3990のAnker PowerCore Magnetic 5000(18.5Wh)は2時間42分で100%充電出来ている。出力は5Wと同じ、容量は1.66倍なので充電可能な%が高いのは当然だが、速度もこちらの方が速い。
(2)5Wの非力さゆえに電力消費が供給を上回る時がある
・iPhoneのバッテリー残に余裕のある局面では気にならない事だが、残量が1桁台の場合、バッテリーパックを装着したとしても高負荷のタスクをやってしまうと消費と供給が逆転して、iPhoneのバッテリー残量が減っていく事がある。取り外して使うユーザーは早めの装着が望ましい。
・試しにiPhone 1%残で装着。その後は低負荷では2%に上がったが、4K動画撮影+最大輝度で1%に減り始め、最終的には強制シャットダウンとなった。
(3)充電台としても使えるが充電が遅い
・20W以上の電源アダプタを使うと最大15WのMagSafe充電台になるとしていますが、どうも充電速度がイマイチ。
・いつも通りiPhone 12 miniの1%から100%の計測を行なったが、5時間20分かかってしまった。(20W純正電源アダプタ使用)
・充電の最適化はオフ設定、90%以上の充電も行う設定で計測を行なった
<推移>
30分:26%
1時間:47%
1時間半:63%
2時間:72%
2時間半:80%(ここからが鈍化。低電力モードが自動的にオフになってからが進まない。)
3時館:81%(やむを得ず低電力モードにした)
4時間:92%
5時間:98%
5時間15分:99%
5時間20分:100%で終了
・MagSafe充電は温度が上がると一時的に80%で止まることがあるとサポート文書にあるが、あまりにもとまりすぎ。80%まで2時間半は許せる範囲だが、これではあてにできない。同社が販売しているDual充電パッドやBelkinの3in1充電器では同じ計測が1時間45分前後だったことを考えるとかなり物足りない。
(4)逆充電の場合iPhone 80%以降が激遅
・20W純正電源アダプタ使用でiPhone側に差し込みをし、フル充電を試みた。(iPhone1%/パック0%スタート)
・充電の最適化はオフ設定、90%以上の充電も行う設定で計測を行なった
<充電推移>
30分:本体58%/パック0%
1時間:83%/2% ここからが鈍化。
1時間半:83%/11%
2時間:86%/22%
2時間半:86%/29% 進みが悪い
やむを得ず冷やしてみた
3時間:95%/36% 3時間半:100%/49%
4時間:100%/63% 4時間半:100%/79%
5時間:100%/94%
5時間30分:100%/100%で終了
・結局ケーブル充電器2セットで別々で外して各々充電のが速いという結論。出かける前に装着が良さそう。
(5)装着時ワイヤレス充電ができない
・「Smart Battery Case」では可能だった装着時のワイヤレス充電が、このバッテリーパックでは不可能。一旦取り外して本体はワイヤレスやMagSafeで充電可能だが、ズボラに装着したままワイヤレス充電で運用していた方は一手間に感じると思われる。
(6)合計重量が重い
・iPhone 12 mini+純正シリコンケース+MagSafeバッテリーパック:279g
(充電ロスを差し引いた実質バッテリー容量が14.48Wh)
・iPhone 12 Pro Max+純正シリコンケース:261g
(バッテリー容量14.13Wh)
・iPhone 12 Pro/12x+純正シリコンケース:218g
となっており、Maxを上回ってしまった。近い実質バッテリー容量なのに、ロス分が余計な重さとなっている。ワイヤレス充電の弱点が露呈した。
操作性や価格などminiを選ぶ理由は別にあるが、バッテリー容量だけで考えるとMaxを最初から購入した方が軽い。
(7)値段が高い
・Apple価格が色濃く出た。アクセサリの割高さは他社と比べ群を抜いている。同系製品は他社では4000円前後が平均価格。
(8)色が白だけ
・製造/物販業としてSKUを減らしたい意図は伝わったが、白だけだとあまり合わないiPhoneやケースの色がある。嵩張るiMacをカラー展開している割にこういったコンパクトな製品を1色展開というのは残念。
<まとめ>
以上、MagSafeバッテリーパックの良い点/悪い点でしたが、
ケースタイプからマグネット装着に変わった事で、装着面での汎用性は少し上がりました。おそらく次期新型iPhoneでも使えるのではないかと思われます。その汎用性が上がった分MagSafeワイヤレス充電の特性が出て、性能的には見劣りする部分もあります。
また、iPhone本体のバッテリー保護機能を強化したのが理由なのか、様々な方法で計測し比べましたが、その充電速度が上がっていかない感じもあります。睡眠中に充電する場合でも、短時間睡眠の方は100%にならないこともあるかもしれないです。
固定の充電台や財布などの装着アクセサリなど、可能性が無限大のMagSafeですが、モバイルのバッテリー分野では純正・非純正ともにまだ発展途上という感じがします。熱管理の問題があるようですが出力、充電速度を考えると従来型の有線モバイルバッテリーでPowerDelivery高速充電対応のUSB-Cタイプの方に現段階では軍配が上がります。30分でiPhone 50%以上、60分で80%以上の充電が可能なので短時間で済み、装着し続ける必要がありません。
そのあたりを把握した上で、あんまり細かい事を気にしないで使う人向けの製品かと思います。
YouTubeチャンネル「Appleが大好きなんだよ」では同じテーマの動画もアップしています。動画でしか伝わらない内容もありますのでそちらも合わせてどうぞ!
「購入前に必見!使用5日目のMagSafeバッテリーパックの良い点/悪い点・iPhone 12 miniの救世主??逆充電フル充電も計測」
また、MagSafeバッテリーパックのレビュー全てをご覧いなるにはこちらの再生リストをどうぞ。
それではまた!