松山英樹を含む外国人選手たちは早期再開する米ツアーに出る?出ない?「同意できない」外国人選手たちの声
コロナ禍で休止している米ツアー(PGAツアー)が6月11日のチャールズ・シュワッブ・チャレンジからの再開プランを発表したのは5月12日のことだった。
米国の主要なスポーツの中で最初に再開するスポーツとして「我々は注目されている」とうたった米ツアーは、再開時のPCR検査や入場者の制限、マスク着用やソーシャル・ディスタンスの保持、ホテルの借り上げ、選手やキャディ用のチャーター機の準備など、ことこまかなプランを発表した。
その際、松山英樹などの外国人選手たちに関して、米ツアーはこう語っていた。
「現在、米国以外に滞在している選手は25名前後と比較的少ない。彼らがスムーズに米国へ戻れるように連邦政府と調整しており、そうできるはずだと考えている」
米ツアーは「楽観(optimistic)」という言葉を用いて、外国人選手のツアー復帰への見通しを語っていた。
米ツアー選手会長のチャーリー・ホフマンも、やはりポジティブな姿勢を見せた。
「僕自身は再開に100%同意だ。選手たちから同意が得られなければツアーを再開しないけど、僕らが話を聞いた全選手から再開への同意が得られた」
しかし、その直後、3人の外国人選手たちから、米ツアー早期再開に「同意しない」意志が表明された。
【無症状感染でロープ内?】
当面、米ツアーには「出ない」「戻らない」「渡米しない」という意志を公けに示しているのは3名だ。
英国人のトミー・フリートウッドは、5月の早い時期から「渡米は考えられない」「自分の選択肢として、それはない」と語っていたが、続いて同じ英国人のリー・ウエストウッドも口を開いた。
「試合の2週間も前に英国を出て渡米し、米国入国時に14日間の隔離。試合が終わって英国に戻ったら、そこで再び隔離。結局、2試合に出るために6週間を要することになるわけで、感染リスクをおかしながら、そこまでやらなきゃいけないとしたら、ゴルフは僕のプライオリティにはならない」
2人の英国人選手に続き、オーストラリア出身で現在は母国に滞在中のアダム・スコットも「当面は米ツアーには出ない」と語ったが、その理由は、英国人選手の2人とは、やや異なっている。
米ツアーは選手たちに「現地出発前」と「現地到着時」にPCR検査、会場入場時には毎日、検温や問診を義務づけるという具合に3段階、4段階の感染防止策を講じる予定だが、スコットは「それが十分に完全に行なわれるとは思えない」と不安を感じている様子だ。
さらにスコットは「もしも自分が無症状感染で、本当は陽性なのに検査をパスしてインサイド・ロープでプレーしてしまったら、、、、と考えると困惑してしまう」。スコットはツアー再開からの6試合を欠場し、復帰するのは早くても7月下旬の世界選手権、フェデックス・セント・ジュード招待以降とする予定だという。
【グローバルなツアーゆえに期待】
米ツアーで戦う「外国人選手」という言葉で一括りにされてしまうことが多々あるが、たとえば北アイルランド出身のローリー・マキロイのように米国人と結婚して米国に拠点を置き、パンデミック下でも米国にずっととどまっている外国人もいれば、フリートウッドやウエストウッド、スコットのように、緊急事態下では「母国」に戻っている選手もいる。
そして、後者の外国人選手は、選手会長ホフマンが話を聞いたという「全員」の中に含まれていなかったのかどうか。すでに米メディアは「ホフマンの携帯は国際電話や長距離通話の割引プランに入っていないのかもしれないね」と皮肉っている。
米ツアー再開に合わせ、米国外に身を置く外国人選手は、まさに厳しい選択を求められることになる。
彼らが「スムーズに米国へ入国できるよう、連邦政府と調整中」だと語った米ツアーから、「調整」のその後の経緯や結果は発表されていないのだが、これまで国際化、グローバル化をうたってきた米ツアーなのだから、外国人選手への気遣いやケアにおいても主要なスポーツの模範を見せてくれると信じている。