藤井最年少五冠か、渡辺四連覇か――第71期ALSOK杯王将戦七番勝負渡辺明王将-藤井聡太竜王戦展望
渡辺明王将(37)=名人・棋王に藤井聡太竜王(19)=王位・叡王・棋聖が挑戦する第71期ALSOK杯王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社主催)は第1局が1月9、10日に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」で行われる。
両者の保持タイトルは合わせて7つ、文字通りの「頂上決戦」となる令和4年最初の七番勝負の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。
<王将戦七番勝負日程>
第1局 1月9、10日 静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」
第2局 1月22、23日 大阪府高槻市「山水館」
第3局 1月29、30日 栃木県大田原市「ホテル花月」
第4局 2月11、12日 東京都立川市「SORANO HOTEL」
第5局 2月26、27日 佐賀県三養基郡「大幸園」
第6局 3月12、13日 島根県大田市「さんべ荘」
第7局 3月26、27日 新潟県佐渡市「きらく」
藤井竜王は絶好調
<渡辺王将の最近10局>(対戦相手の肩書は対局当時)
8月27日 お~いお茶杯王位戦予選
対千葉幸生七段 ●
9月11日 将棋日本シリーズ2回戦
対木村一基九段 ○
9月14日 銀河戦準決勝
対藤井三冠 ○
9月29日 竜王戦2組昇級者決定戦
対広瀬章人八段 ○
10月11日 NHK杯
対郷田真隆九段 ●
10月16日 将棋日本シリーズ準決勝
対豊島将之竜王 ●
10月27日 銀河戦決勝
対菅井竜也八段 ●
12月16日 叡王戦予選
対久保利明九段 ○
12月16日 叡王戦予選
対三浦弘行九段 ●
12月24日 竜王戦ランキング戦1組
対豊島九段 ○(持将棋指し直し)
<藤井竜王の最近10局>(対戦相手の肩書は対局当時)
10月30、31日
竜王戦七番勝負第3局
対豊島将之竜王 ○
11月3日 将棋日本シリーズ準決勝
対永瀬拓矢王座 ○
11月5日 ALSOK杯王将戦リーグ
対豊島竜王 ○
11月9日 ALSOK杯王将戦リーグ
対羽生善治九段 ○
11月12、13日
竜王戦七番勝負第4局
対豊島竜王 ○
11月16日 順位戦B級1組
対松尾歩八段 ○
11月19日 ALSOK杯王将戦リーグ
対近藤誠也七段 ○
11月21日 将棋日本シリーズ決勝
対豊島九段 ●
11月24日 ALSOK杯王将戦リーグ
対永瀬王座 ●
12月2日 順位戦B級1組
対近藤七段 ○
渡辺王将の直近10局は5勝5敗の五分。9月にテレビ対局の銀河戦で藤井三冠(当時)に勝っているのがプラス材料だが、他棋戦の成績を見る限り絶好調という感じではない。
対する藤井竜王は令和3年度に入ってからタイトル戦では棋聖、王位を防衛し、叡王、竜王と二冠を加えての王将挑戦。直近は8勝2敗と好調を維持しており、これといったスキが見当たらない。調子の比較からは藤井竜王優位といっていいだろう。
渡辺王将の序盤戦略に注目
直接対決は10局あって藤井竜王が8勝2敗と大きく勝ち越している。ただし、渡辺王将はタイトル戦経験豊富で竜王11期をはじめとしてタイトル獲得通算29期(歴代4位)なのが強みだ。中でも持ち時間の長い2日制に強さを発揮し、序盤戦略の巧みさが際立っている。この点、相手の作戦に素直についていくことの多い藤井竜王は対照的だ。
従って戦型は渡辺王将が誘導する展開が予想され、相居飛車になることはほぼ間違いないが藤井竜王先手の場合相掛かりか角換わり、渡辺王将先手の場合矢倉か相掛かりに進む可能性が高いだろう。
データから藤井竜王有利は明らかだが、逆境を打破するため渡辺王将がどのような序盤戦略を採用するかに注目している。